【韓国・済州島旅行】アート&カルチャー発信地「塔洞(タプトン)」を巡る。
Travel 2026.03.25
韓国旅行で新たに注目されているのが、済州島の海岸沿いエリア「塔洞」。かつて廃れていたこの場所は、映画館やモーテルを改装した美術館を中心に、アートとカルチャーの街へと生まれ変わった。世界的コレクターが仕掛けた、済州の新しい文化拠点を巡る。
塔洞
タプトン
탑동
海岸沿いを埋め立てて拡張した塔洞(タプトン)は、かつて島いちばんの繁華街だった。2000年代に入ると中心地は空港南部のエリアに移ってしまう。そんな寂れた街を再稼働させたのがアート事業や百貨店などを運営する企業、アラリオだった。世界有数のアートコレクターであり、自身もアーティストである代表のシー・キムがアトリエを持ち、縁があった済州島に着目。息子で副会長を務めるキム・ジワンが島に移住し、運営を担う。街の活性化のための最初の一手として、廃墟だった映画館を14年にコンバージョンした。「映画館を私設美術館、塔洞シネマとして再起させた後、車で数分の先にあり、動線的に良かったふたつのモーテルもギャラリーに替えました。街を周遊してもらうことが大切だと思ったのです」
塔洞シネマにはシー・キムの作品のほか、名和晃平、アンディ・ウォーホルによる現代アートを展示。東門モテルⅠには簡易宿泊所だった記憶を呼び覚ますような、部屋の造りを生かした作品を、Ⅱにはひとりのアーティストによる「韓国のお父さん」の肖像を展開。
少しずつ再稼働を始めた塔洞をさらに加速させるため、複合施設、D&DEPARTMENT JEJU by ARARIOを20年に開業。ジワン自らスキーマ建築計画の長坂常やナガオカケンメイにアタックし、実現にいたった。国や自治体の支援は求めない主義と言う。「援助が入るとやりたいことができなくなる。あくまでもアーティスト目線を第一に」
塔洞はまだまだ成長中。だが、韓国随一のアート島に昇華させ、済州の可能性を広げることに大きく貢献している。
1. アラリオミュジオム 塔洞シネマ
ARARIO MUSEUM Tapdong Cinema
아라리오뮤지엄 탑동시네마
街の映画館が現代アートのワンダーランドに。
プロジェクト第1弾となった塔洞シネマは、ホワイトキューブにせず、あえて元の骨子や素材を残したユニークな造り。巨大な空間を生かした大胆な展示が見もので、インドのスボード・グプタによる船を使った作品や中国のジャン・ホアンによる巨人を模った作品など、シー・キムのコレクションが惜しみなく公開されている。絵画、立体、映像作品と、幅広い分野で存分に現代アートを鑑賞できる。
アラリオミュジオム 塔洞シネマ
ARARIO MUSEUM Tapdong Cinema
아라리오뮤지엄 탑동시네마
제주시 탑동로 14
14 Tapdong-ro, Jeju-si
Tel)064-720-8201
開)10:00〜18:00 最終入場
休)月
料)一般15,000ウォン
※東門モテルⅠ・Ⅱとのセットで24,000ウォン
https://www.arariomuseum.org/
※済州空港から車で約20分
D&DEPARTMENT JEJU by ARARIO
ディエンディパトゥモントゥ チェジュ バイ アラリオ
디앤디파트먼트 제주 바이 아라리오
제주시 탑동로2길 3
3 Tapdong-ro 2-gil, Jeju-si
https://d-jeju.arario.com/
Phaidros
パイドゥロス
파이드로스
@phaidros_official
許商店
ホサンジョム
허상점
https://d-jeju.arari o.com/
@heosangjeom
---fadeinpager---
2. アラリオミュジオム 東門モテルⅠ
ARARIO MUSEUM Dongmun Motel Ⅰ
아라리오뮤지엄 동문모텔 Ⅰ
部屋の造りを生かした個性豊かな展示。
薄暗い館内を彷徨うと、小さな部屋それぞれに並ぶ写真や映像、おもちゃのフィギュアに出合える。ジワンが元の空間を見てから作品を配置したという。見どころは廃棄物を活用し循環をテーマに活動する青野文昭による2階。長期滞在型の民宿だった場所を再現した、宿泊者の息遣いまで感じるベッドサイドは細部まで注目だ。
アラリオミュジオム 東門モテル Ⅰ
ARARIO MUSEUM Dongmun Motel Ⅰ
아라리오뮤지엄 동문모텔 Ⅰ
제주시 산지로 37-5
37-5 Sanji-ro, Jeju-si
Tel)064-720-8202
開)10:00〜18:00最終入場
休)月
料)東門モーテルⅠ・Ⅱとのセットで20,000ウォン
※済州空港から車で約20分
3. アラリオミュジオム 東門モテル Ⅱ
ARARIO MUSEUM Dongmun Motel Ⅱ
아라리오뮤지엄 동문모텔 Ⅱ
かつての家父長制への伝言、アート"韓国のお父さん"。
2003年に事故で亡くなるまで韓国全土で活躍したアーティスト、ク・ボンジュの作品を全フロアで展開。1900年代後半、家父長制が色濃く残る韓国激動の時代の父像に焦点を当て、さまざまな場面をブロンズや焼きもので表現する。4階では約1000個の"星になったお父さん"が空中を舞う、圧巻の光景が見られる。
アラリオミュジオム 東門モテル Ⅱ
ARARIO MUSEUM Dongmun Motel Ⅱ
아라리오뮤지엄 동문모텔 Ⅱ
제주시 산지로 23
23 Sanji-ro, Jeju-si
Tel)064-720-8203
開)10:00〜18:00最終入場
休)月
料)東門モーテルⅠ・Ⅱとのセットで20,000ウォン
※済州空港から車で約20分
立ち寄りスポット
MURYOHI
ムリョヒ/무로이
ミニマルな中に技が光る、日常のうつわ。
2025年10月にオープンしたうつわの専門店。白で統一されたミニマルな空間に並ぶのは、若手から巨匠まで幅広い作家の作品。10〜15人の作家と交流を持つ店主が選ぶのは、すべて日常にフィットするシンプルなデザインのものばかり。この店のために作られた焼きものや済州の菜の花で染めたランチョンマットも見逃せない。
MURYOHI
ムリョヒ
무로이
제주시 관덕로8길 35
35 Gwandeok-ro 8-gil, Jeju-si
Tel)0507-1354-1756
営)11:00〜17:00
休)無休
@muryohi_
※済州空港から車で約20分
*「フィガロジャポン」2026年2月号より抜粋
photography: Youngwoong Yim, coordination: Shinhae Song (Tano International), 協賛:韓国観光公社(@kto.japan)




