オリンピックの時を司るオフィシャルタイムキーパー、オメガの歴史とは?
Paris 2024.07.26
7月26日に華やかに幕を開ける、パリ2024オリンピック。オメガは、3年前の東京大会に続くオフィシャルタイムキーパー。オメガにとって、32競技329種目すべての計時を担当する31回目の大会となる。
単に時間を正確に計測するストップウォッチだけではない。正確な判定のためのカメラやスターティングブロック、スコアボードまで、オメガはタイムキーパーとしてさまざまな技術を提供している。いまでは当たり前になった数々の技術が、オリンピックゲームの判定ばかりか、観戦のしかたにも大きな影響を与えてきた。90年以上の間、ほぼすべてのオリンピックでオフィシャルタイムキーパーとして計時を行い、今大会で31回目となるオメガ。そのレガシーを振り返れば、オリンピック観戦がより興味深いものになるはずだ。
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1932年、30個の高性能ストップウォッチ。
スポーツの計時と聞けば、ほとんどの人はストップウォッチを思い浮かべるのではないだろうか。1932年、ロサンゼルス大会にオメガが初めて単独のオフィシャルタイムキーパーに選ばれるまでは、オリンピックではさまざまな会社が製造するそれぞれのストップウォッチが使用され、精度にばらつきがあったという。この大会のために、オメガはヌーシャテル天文台のクロノメーター認定を受けたストップウォッチ30個とともに、ひとりの時計職人を送り込んだ。10分の1秒単位まで正確に測定し、中間タイムを記録できるスプリットセコンド機能を備えた高性能ストップウォッチとともに、オメガとオリンピックの歴史が始まった。
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1948年、「マジックアイ」
第二次世界大戦による12年の空白を経て行われたサンモリッツとロンドンの2大会。この時登場した光電子セルの技術は、トップの選手がゴールラインを超えた瞬間にレースタイムを電子的にストップさせるもの。1000分の1秒の精度を誇り、ゴールラインを選手が通過する瞬間を正確に示す写真判定カメラとのコンビは「マジックアイ」と呼ばれて接戦レースの判定に革新をもたらした。
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1968年、競泳用「タッチ パッド」
水の中で競われる競泳は、競技中の様子が分かりにくく、ゴールの瞬間の判定も極めて難しい競技。1968年は、競泳にとって新たな時代の幕開けとなった。スターティング ピストルと連動するスピーカーが各スターティングブロックに配置され、音の伝達速度に影響されることなく全選手が同時にスタートすることが可能になったのに加え、「タッチ パッド」が誕生。従来のタイムキーパーが手動で電子式タイマーを止める仕組みから、選手がゴールの際に自らカウンターを止めるシステムが実現したことで、順位判定の正確さが飛躍的にアップした。
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1984年、フライングを探知
ゴールにおける計時の精度アップだけではない。スタートにまつわる技術革新も正確なタイムキーピングには欠かすことのできないものだ。この年のロサンゼルス大会では、フライング検知システムを導入したスターティングブロックが導入された。ブロックにかかる圧力を測定する技術で、スタートシグナル以前に動き出した選手を検知することが可能になった。陸上競技と水泳で導入されたこのシステムで、アスリートの記録への挑戦はさらに平等な条件のもとで行われることになる。また84年は、カラーによる写真判定画像が登場した。
2006年のトリノ冬季オリンピックでは、選手自身の足首にトランスポンダー(応答装置)を装着するシステムを導入。2010年のバンクーバー大会では音、光、計器スタートの3つを同時に発生させる電子スターティングピストルが取り入れられた。2012年のロンドン大会では100万分の1秒という極めて精巧な掲示機器を繰り出すなど、アスリートの記録への挑戦をより精密にサポートしてきたオメガ。68年のメキシコ大会で初登場し、記録を写し出した巨大なスコアボードは、その後進化を続け、モノクロの録画ビデオからカラーの動画表示へと進化を続けている。
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リアルタイムで記録を追うことができる現在のテレビ観戦のあり方も、オメガが手がけてき技術革新の賜物だ。
より正確にタイムを測り、分析し、目に見える形で記録を伝えること。時を測る技術だけではない、オリンピックの競技者と観戦者を結ぶこともまた、オフィシャルタイムキーパーの担うミッションなのだ。
text: madame FIGARO japon