8週間は長すぎる? 夏のバカンス短縮問題の行方はいかに?

Paris

祝日削減や夏休み短縮が論点に。
フランスのヴァカンス事情は変わるのか?

小学生の登校風景。パリ市は水曜日も半日授業だが、フランス全土を見ると9割以上の自治体が水曜を休校とする週4日制をとっている。

フランスの春は、日本のゴールデンウィークにまさる休日ラッシュ。4月には移動祭日である復活祭の翌月曜日と2週間の学校休暇があり、5月に入れば1日のメーデーを筆頭に、8日、14日、復活祭から7週間後の移動祭日……とほぼ毎週3連休や飛び石連休があって、働いている暇がない(?)ほど。逆に6月は忙しく、フランスはヴァカンス前のラストスパートに入る。

子どもの時間に関する市民評議会は、昨年11月23日に報告書を発表。抽選で選ばれた133人が夏休みについて出した答えは8週間の現状キープ。評議会CESEの公式YouTubeより。

昨年夏、バイル内閣(当時)は、国の負債問題への対応のひとつとして、5月のふたつの祝日をなくす方針を打ち出した。生産量アップのために労働日数を増やそうというこの案は労働組合からの猛反対にあって9月の新内閣誕生とともに立ち消えたのだが、今度は夏のヴァカンスにメスが入りそうだ。

テーマは子どもたちの学習リズムの見直し。学力低下が問題視され、1日の学習時間の見直しが検討されているのだ。学習リズムは国が定めるもので、週に4日または4日半の授業があり、休暇は6週間ごとに2週間と夏に8週間。マクロン大統領の持論は「長すぎる夏休みが学習格差を広げる。夏休みを短くし、1日の授業時間を軽減すべき」というものだ。

BRUTのインタビューで、学習リズム問題を蒸し返し、夏休みの短縮について協議を続けたいと語るマクロン大統領。公式YouTubeより。

長い夏休みの子どもの過ごし方は親にとっても悩みの種で、短縮議論は過去に何度も繰り返されてきた。昨年、子どものリズムに関する市民評議会が招集され、半年間の討議を経て11月に報告書が提出された。そこで提案されたのは週5日を授業にあてることで1日の学習時間を軽減すること。意外なことに、休暇については現状どおりという提言だった。

夏休み問題が注目されるのには訳がある。大人たちの仕事のリズムが、国の定める学校休暇に大きく左右されるからだ。塾や部活、稽古事が子どもを預かってくれる日本と違ってフランスには塾や部活がなく、休暇期間は稽古事もお休み。ゆえに学校休暇に合わせて有給休暇をとる親が多く、ビジネスのリズムが低下する。逆にいえば、子どもの休みが減れば親の休暇のあり方も変わり、ビジネスのリズムも変化するはずだ。

今年2月にマクロン大統領が子どもの学習リズムについての議論を蒸し返すとメディアも大きく反応した。2月6日のBFM局の映像より。

市民評議会で結論が出たと思われた夏休み問題だが、今年2月になって大統領がこの問題を蒸し返した。ネットメディアBRUTのインタビューに対して「夏の学校休暇は1カ月くらいがいい」と発言し、教育相もこれを支持。これに対し「市民評議会の存在意義はないのか」から「地球温暖化でますます暑くなる7月は学習に不適当」「夏休み短縮は観光地の経済に打撃」「ただでさえ他国に比べて低賃金といわれる教師への待遇は?」など世論は冷たく、反対意見が噴出している。

ひとまずこの問題は2027年に先送りされるという。任期満了まであと1年のマクロン大統領にとって、夏のヴァカンス短縮が置き土産になるのだろうか?

Masae Takata
2017年より「フィガロジャポン」のパリ支局長。世間が学校休暇に入った4月20日から3週間続いた息子の入試。5時半起床のお弁当作りで、日本のママたちに思いを馳せた。

  • photography & text: Masae Takata (Paris Office)

*「フィガロジャポン」2026年7月号より抜粋