コール・ド・バレエのコンクール、昇級が決まった女性6名は?
パリ・オペラ座バレエ団コール・ド・バレエの昇級コンクール女性の部は10月30日に開催された。カドリーユからコリフェのコンクールは4席を巡って、26名のカドリーユ中22名が参加。ここ4~5年の入団者たちの若い世代に多く入れ替わっているせいか、高いパーセンテージだ。参加者は自分の持ち味をアピールできる課題曲を3つの中から選び、さらに今後進みたい方向を示す自由曲を選び、22名と参加者は多いものの彼女たちが見せたレベルの高さはオペラ座の未来の安心材料といえよう。コリフェからスジェのコンクールは2席を巡っては9名が参加した。コリフェは現在19名で、不参加の10名は今シーズンで引退というダンサー3名を含む入団15年以上のキャリアの長いダンサーたちだ。9名のパフォーマンスはなかなかの接戦だった。なおコンクールの結果昇級が決まったダンサーたちが新しい階級にあがるのは、2027年1月1日から。
女性|カドリーユからコリフェ (参加者22名/4空席)
課題曲
A. ピエール・ラコット版『パキータ』第2幕から結婚式のパ・ド・ドゥのヴァリエーション(9名が選択)
B. ジョージ・バランシン『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』(12名が選択)
C. イムル&マルヌ・ヴァン・オプスタル『Drift Wood』からイダ・ヴィイキンコスキーのソロ(1名が選択)
昇級決定 4名
- Laudeline Schor(ロードゥリーヌ・ショール)
課題曲A/自由曲 ジェローム・ロビンス『Four Seasons』より秋のヴァリエーション - Tosca Auba(トスカ・オーバ)
課題曲A/自由曲 ローラン・プティ『ノートルダム・ド・パリ』第1幕エスメラルダのヴァリエーション - Sarah Barthez(サラ・バルテーズ)
課題曲A/自由曲 ジャン=ギヨーム・バール『Bergamasque』 - Nathalie Henry(ナタリー・アンリ)
課題曲A/自由曲 セルジュ・リファール振付『白の組曲』ラ・シガレット
1位のロードゥリーヌは6年間パリ・オペラ座バレエ学校に学び、2022年に入団したダンサーだ。課題曲、自由曲ともにテクニックの確かさと丁寧な仕事を証明し、アームスから爪先まで気品にあふれるダンスを見せた。

2位のトスカも2022年の入団だ。課題曲では無駄のないテクニックで軽やかにパキータを踊り、自由曲ではエスメラルダの激しい気性をステップに込めて。今後、幅広いタイプの作品に配役されておかしくないダンサーだ。

3位のサラ・バルテーズは2025年に外部入団試験の結果カンパニー入りした。トゥールーズのVMバレエでダンスを学び、オペラ座の契約団員を3年務めるなど入団前にすでに経験を積んでいる。課題曲で彼女が見せた優美な腕の動き、自由曲では美しいポワント・ワークとフェッテが目に焼きつくよう。ステージでコール・ド・バレエの中にいても、ダンスの美しさで一際目立つサラ。今後彼女がカンパニー内で、どのようにキャリアを展開していくか興味深い。

4位のナタリー・アンリはオペラ座バレエ学校を経て、2024年に入団。課題曲ではテクニックの確かさとどこかおっとりとした雰囲気が魅力だった。自由曲には2024年の学校公演で踊った『白の組曲』のラ・シガレットを選び、踊り慣れただけあり余裕あるパフォーマンスだ。かつてブルーエン・バティストーニがコンクールでこの作品を踊った時のように、ストーリーのないソロの中に物語性を込めていた。10月〜11月はガルニエ宮で『Vers un pay sage』で12名のダンサーのひとりとしてカドリーユながら頼もしい活躍!

課題曲でコンテンポラリー作品を選んだ唯一のダンサーは、Adèle Belem(アデル・ベレム)。ほかの2つに比べ若干短いせいか、彼女が持つ身体能力や個性をフルに示すことができなかったようで残念だ。自由曲には意外にもコンテンポラリーではなくジェローム・ロビンスの『Dances at the Gathering』の緑色のドレスを着た女性のソロを彼女は選んだ。のびのびと、それでいて憂いを感じさせる踊りでステージ上での存在感は見事だった。2021年の入団前、2016年から契約団員として踊っていた彼女。今回昇級は叶わなかったけれど、彼女にはガッツを持ち続けて欲しいと願いたい。昨年入団し今回が初めてのコンクールだったJeanne Larchevêque(ジャンヌ・ラルシュヴェック)は、繊細な爪先の仕事、しっかりとした軸足で初々しいパキータを課題曲で見せた。自由曲にはロビンスの『Four Seasons』から秋のヴァリエーション。1位のローデリーヌに引けを取らぬ、見事なパフォーマンス。彼女の身体の周りで揺れる赤いコスチュームは秋の紅葉が舞うようだった。踊る喜びをステージから振りまいたのは、2023年入団のLisa Petit(リザ・プティ)だ。来年のコンクールでの彼女たちの活躍を楽しみにしたい。
このほかコンクールに参加したカドリーユのダンサーは次のとおり(順不同)。Indira Sas(インディラ・サス)、Alexa Torres-Alvarez(アレクサ・トレス=アルバレズ)、Seojun Yoon(セオジュン・ヨーン)、Jasmine Atrous(ジャスミン・アトゥロス)、Manon Baranger(マノン・バランジェ)、Ysée Brétignière(イゼ・ブレティニエール)、Ilona Cabley(イロナ・カブレ)、Felicia Calazans(フェリシア・カラザン)、Lilian Di Piazzi(リリアン・ディ・ピアッツィ)、Alyssia Ferreira,(アリシア・フェレラ)、Lisa Gaillard-Bortolotti(リザ・ガイヤール=ボルトロティ)、Alycia Hyddinga(アリシア・イディンガ)、Anaïs Morin(アナイス・モラン)、Lilas Parras(リラ・パラ)、Gloria Poubeau(グロリア・プボー)。
女性|コリフェからスジェ(参加者9名/2空席)
課題曲
A. ルドルフ・ヌレエフ版『ドン・キホーテ』第2幕キトリのヴァリエーション(7名が選択)
B. パトリス・バール版『ディアーヌとアクテオン』ディアーヌのヴァリエーション(2名が選択)
C. モーガン・ルナークル=テンプル&ジェシカ・ライト『Arena』キャロリーヌ・オスモンのソロ(選択者なし)
昇級決定 2名
- Claire Teisseyre (クレール・テセール)
課題曲A/自由曲 セルジュ・リファール振付『白の組曲』ラ・シガレット - Luciana Sagioro(リュシアナ・サジオロ)
課題曲B/自由曲 ジョン・ノイマイヤー『Magnificat』 La Badinerie
1位はクレール・テセール。入団は2024年と最近だが、それ以前はボルドー国立オペラ座バレエ団、チェコ国立バレエ団、フィンランド国立バレエ団でソリストだったという経歴の持ち主である。オペラ座の入団試験に挑戦したのは30歳の時で、契約団員として1年踊った後に入団した。初参加のコンクールで2025年からコリフェに。ローラン・プティの『ノートルダム・ド・パリ』で主役エスメラルダ役に抜擢され、上層部の期待が感じられる。課題曲では物語を感じさせ、そしてエレガントなアームスと爪先の仕事が素晴らしかった。自由曲に選んだ『白の組曲』のラ・シガレットは彼女の特徴のひとつである身体のしなやかさを生かした、余裕あるパフォーマンス。華奢な身体ながら、威厳を感じさせるものがあった。12月にガルニエ宮で踊られる『白の組曲』に配役されているが、彼女が踊るのはラ・シガレットではなくラ・シエスタ。これも楽しみだ。

2位はこの夏日本でジル・イゾアールがプロデュースしたガラ『エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス』のメンバーのひとりだったブラジル出身のリュシアナ・サジオロだ。2023年に入団し、2025年にコリフェに上がった彼女は、躍動感あふれるダンスが魅力。自由曲ではバッハのハイテンポの曲にリズミカルに乗って、巧みな足さばきを見せた。申し分のないテクニシャンだ。

昇級がお預けとなった7名のダンサーたち。課題曲ではポワント・ホップに苦戦気味だったダンサーが少なくなかった中で、Saki Kuwabara(桑原サキ)は軸となる脚の足首をしっかりと、綺麗な姿勢を保ちつつポワント・ホップで滑らかに移動した。Yeeun Lee(イェーウン・リー)は課題曲のキトリも、自由曲のシルヴィアも美しいテクニックを披露。Diane Adellach(ディアーヌ・アデラック)は課題曲で美しいポールドブラと淀みのないダンスを見せ、自由曲に選んだジョージ・バランシンの『Who Cares?』I’ll buildea Staiway to Paradaiseを豊かな音楽性で、軽やかに若々しく踊った。この階級の女性ダンサーは課題曲に誰もコンテンポラリー作品を選んでいないのは、興味深いことだ。なお、来シーズンからオペラ・ガルニエが5年間閉鎖される。コンクールもオペラ・バスティーユでの開催となるのか、気になるところだ。
このほかコンクールに参加したコリフェのダンサーは次のとおり(順不同)。Sofia Rosoni(ソフィア・ロゾニ)、Koharu Yamamoto(山本小春)、Victoire Anquetil(ヴィクトワール・アンクティル)、Katherine Higgins(カトリーヌ・イギンズ)。
審査員
アレクサンダー・ネーフ(パリ・オペラ座総監督)、ジョゼ・マルティネス(パリ・オペラ座バレエ団芸術監督)
ゲスト
クセニア・ウィースト(振付家)、レミー・フィシェ(ライプツィヒ歌劇場バレエ団芸術監督)、サブリナ・マレム(ダンスのディレクションと共同のバレエ・マスター)、リュドミラ・パリエロ(ダンスのディレクションと共同のプログラム担当芸術コーディネーター)、ジャレッド・マシューズ(バレエ・マスター)
上記代理人
エリザベット・モーラン
くじ引きにより選ばれた団員の審査員
エロイーズ・ブルドン、トマ・ドキール、レティティア・ガロニ、オルタンス・パジュラー、ルーシー・ドゥヴィニュ、アクセル・イボ、ジャン=バティスト・シュヴィニエ、ミカエル・ラフォン
上記代理人
マリーヌ・ガニオ、アレクサンドル・ボカラ