パリ5月「私の好きな春から初夏にかけてのマルシェ」
パリのマルシェとレシピ。
マルシェは5月12日から再開したものの、パリは依然としてレッドゾーンなので、先月に引き続きバーチャル・マルシェ散歩に出かけましょう!
NO,1 パリ12区 Marché Cours de vincennes マルシェ・クール・ド・ヴァンセンヌ
メトロのナシオン(Nation)駅から地上に上がると、広場に高くそびえ立っている2本の巨大な円柱。待ち合わせは、いつもこのランドマークです。
ここは、パリ最大のマルシェと言われていて、スタンドがメトロの次の駅ポルト・ド・ヴァンセンヌ(Porte de vincennes)まで続き、なかなかの見応え。
まず入ってすぐ右手にあるポーランド人のスタンドで、ニシンのマリネを買います。
それから先に進んで、最近気に入っている、ル・ムーラン・ド・ラベイ(Le Moulin de l’Abbaye)の農家で水菜やハーブを。
その向かいのイタリア惣菜の店で、バッファローのモッツアレラを買ってから……
少し歩いて左側、若いスタッフたちが元気なところ。フランス産のものだけを集めた八百屋で、なかなか質が良いのです。夏のメロンが甘かったこと! 5月は、さくらんぼの季節。
ピカルディーの農園のスタンドには旬のアスパラがたくさん!いつもは、ジャガイモ、リンゴ、梨がここの看板ですが、この時期は、イチゴや木の実も人気です。
パリ産はちみつ屋に寄ってから先に進んで、このマルシェの中でいちばん好きな魚屋へ。
鯖やいわし、青魚がいつも新鮮。
パリ近郊農家の2人のおばあちゃんのスタンドでラディッシュやレタスを買ってから、最後はいちばん端にある肉屋デヴォスト・エリック(Davost Eric)へ。
ささやかな贅沢、春の子牛や子羊がおいしいので、週末のランチ用に買ってゴキゲン!
買い出しが終わったら、広場のカフェでひと息。いつもの小道を廻って壁に掲げたポエムを見に行きます。
それからNation広場の12番地にあるビオのパンで有名なデポ・ドゥ・パン・ドゥ・ロートル・ブランジュ(Dépot de Pain de l’Autre Boulange )へ。 近くの本店にある100年前に造られた薪釜にカバノキをくべて昔ながらの手法で焼き上げたカンパーニュ(Campagne)を切って貰い家路へ着きます。
■Marché Cours de vincennes (マルシェ・クール・ド・ヴァンセンヌ)
Cours de vincennes 75012 Paris
営)水・土 7~14時30分
メトロ1・2・6・9番線Nation駅下車
---fadeinpager---
NO,2 パリ5区 Marché Port Royal マルシェ・ポール・ロワイヤル
このマルシェに出かける時の、もうひとつの愉しみは買い物後、リュクサンブール公園に寄り道して大好きなバラ”ピエール・ド・ロンサール”を見ること。
そのバラ見たさにパリと近郊を廻って歩くバラ巡りツアーが毎年恒例の行事です。
さて、美しいポール・ロワイヤル(Port Royal)の駅舎を出て左、大通りを歩くとマルシェが見えてきます。
最初に目に飛び込んできたのは、アイユ・デ・ゾウス(Ail des ours)。直訳すると“クマのニンニク”和名クマニラ、味はニンニク&ニラのようです。旬が短いので、見つけたら逃さず。
そして、春らしい緑はプチポワ(Petit pois)グリンピース。
待ってました!春~初夏のうれしいもののひとつ。柔らかい新にんにくです。
先に進んで行きましょう。このマルシェのお目当てはここ!パリ近郊エッソンヌ(Essonne)、家族で営む農家マルク・マセッティ(Marc Mascetti)。常に露地物だけ、無骨ながら味わい深い野菜ばかりです。
よい香りに振り向くと芍薬。これが出てくると、ああ~初夏が来た!と思いますね。
さて、帰り道。もし平日ならば、近くのブーランジェリー・ソルク(Boulangerie Solques)のおいしいパンを買ってリュクサンブール公園に行きましょう。
店の前サンジャック通りを少し北に歩いてパンテオン側から公園に入ると花盛り。
そこから、オランジェリー(Orangerie:温室)を目指して歩くと、その前には、毎年の開花を心待ちにしている バラ”ピエール・ド・ロンサール”が!
さあ、ベンチに座って、さっき買った焼きたてのヴィエノワズリ―でも食べましょうか?
■Marché Port Royal マルシェ・ポール・ロワイヤル
Boulevard de Port Royal 75005 Paris
営)火・木・土 7時~14時
メトロ:RER B2番線 Port Royal 駅下車
---fadeinpager---
NO,3 パリ14区 Marché Edgar Quinet マルシェ・エドガー・キネ
エドガー・キネ駅を出ると古いシャンソンを歌いながら手回しオルガンを奏でる芸人さん。
おばあちゃんが懐かしそうに口ずさみながら通り過ぎて行く。いいな、この風景。
モンパルナスタワーに向かって進むとすぐ左手にノルマンディーから直送の魚屋さん、いつも新鮮なものが揃っています。
近郊農家、豚肉専門のスタンドで買い物してから、いちばん端のバー・ア・パタット(Bar à Patates)という八百屋へ。ここはキノコ、ハーブ、葉物がいい。それにジャガイモの種類の多いこと!
今日はイチゴが並んで一層華やか。
ここから折り返して、マルシェの反対側の端まで歩きます。
買い物を終えて素敵なカートを引いているムッシューがいたので写真を撮らせてもらいましょう。
しばらく歩くと、行列ができているチーズ屋さん。おいしそうだから並んじゃおう。
モンパルナス・タワーにカメラを向けていると、肩をトントン。「そんなのより、こっちを撮らなきゃ!これぞ本当のパリ、モンパルナスよ!」と言うのは、メトロ入口にナイフや雑貨のスタンドを構えるマダム。指差す方向、タワーの左側のアパルトマンにはキュビスム風の壁画が。
「ここはピカソ、モディリアーニ……多くの芸術家のアトリエがあった処、だからいまでも画材屋が多いのよ。」なるほどね。
いまもその面影を残す界隈、古い映画のロケ地、ここからダンフェール・ロシュロー方面までの散歩道をインスタでご紹介します。
■Marché Edgar Quinet マルシェ・エドガー・キネ
Boulevard Edgar Quinet 75014 Paris
営)水曜・土曜 8~13時
メトロ:6番線 Edger Quinet 駅下車
家の片付けをしていたら、昔フィレンツェで買った懐かしい手帳が出てきて、中には忘れていたキャロットケーキのレシピが。フムフム……と言いながら久々に作ってみました。
---fadeinpager---
■『ニンジンとナッツのケーキ』
Gâteau aux carottes et aux noisettes
― 材料(18cmの角型1個分)
ニンジン 300g
ナッツ(ノワゼット、クルミなど) 50~100g
オレンジの皮をおろしたもの、搾り汁 1/4個分
マデラ酒(又はラム酒などのリキュール) 大さじ2
A)
薄力粉 180g
ベーキングパウダー 15g
シナモンパウダー、ナツメグ 各少々
B)
卵 2個
砂糖(精製していないもの) 150g
グレープシードオイル(又はサラダ油)100㏄
― 作り方
1. 型に合わせてオーブンペーパーを敷く。
2. ニンジンの皮をむき、1/3を粗めに(おろし器の大きな穴で)、2/3を細かくおろす(大根おろしくらい)。
3. 大きめのボールに、Aの材料を合わせてふるい入れる。
4. 別のボールに、B卵→砂糖→オイルの順に入れながら、その都度泡だて器でよく混ぜて乳化させる。
5. 3の粉の中に4を注ぎながら泡だて器で混ぜる。ニンジン、ナッツ、オレンジの皮と汁、マデラ酒を加える。
6. 型に流し込み、180℃に温めておいたオーブン中段で約40分焼く。竹串を刺して何もついてこなければ焼き上がり。
焼きたての熱々もいいけれど、翌日以降がしっとりとしておいしい。大量にあったニンジンとナッツを、ちょっと入れ過ぎかな?と思ったのですが大成功!
*家にあったマデラ酒を入れてみたのですが、なければ、みりんを入れるとニンジン臭さが消えて、 これもおいしい。あと、レーズンがあれば更によし!
*いつもは砂糖控えめですが、これは断然多めの方がおいしい。
*ニンジンは量が多いので、野菜カッターにも使えるミキサーで細かくするのも。
これからの季節は春にんじんで作ると、より甘く瑞々しいですね。
ぜひ、お試しください!
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。2016年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
Instagram : @haradasachiyo
【関連記事】パリから田舎へ イル・ド・フランス5月のマルシェ