箱根はつはなが開催する平川ワインのペアリングディナーで、夏の贅沢リトリート!

FIGARO Wine Club

箱根・湯坂山の懐に抱かれた温泉宿「はつはな」がこの夏、北海道余市の平川ワイナリーとコラボレーションディナーを開催。近年、目覚ましい飛躍を遂げる日本ワインをたっぷり堪能できる、ワンランク上の温泉旅へ出かけよう。

湯坂山を望む斜面に建つはつはな。山あいには須雲川が流れ、非日常の世界へと誘う。

取材やプライベートで、数々の温泉をめぐってきた筆者。木造二階建ての昭和の風情が残る温泉宿、猿も顔を出す秘境の混浴露天風呂、全国秘湯の会の暖簾を掲げるワイルドな湯、スタイリッシュなインフィニティ風呂、海外では火山国であるイタリアやアイスランド、間欠泉で有名なアメリカのイエローストーン国立公園まで、温泉があると聞けば貪欲に湯に浸かってきた。

今回箱根の温泉宿「はつはな」が北海道の平川ワイナリーとのペアリングディナーを開催するとのことで、ひと足早く体験してきた。箱根といえば、東京から最も近い温泉地のひとつ。泉質の良さは言わずもがなであるが、身近であるがゆえご無沙汰していた。「いつでも行ける」という安心感から足が遠のいてしまうのは、商業柄か。

急峻な山あいを川が流れる箱根には、数え切れぬほどの温泉宿が点在するが、はつはなは激戦区である強羅エリアとは少し離れた場所にある。箱根湯本から強羅方面に向かう東海道は、週末ともなれば路線バスと自家用車で渋滞必至だが、はつはなのある須雲川方面へ向かう旧東海道は観光スポットが少ないせいか、比較的落ち着いている。混んでいなければ湯本駅から車でわずか10分というアクセスのよさだ。

宿に到着すると、なだらかな稜線を描く湯坂山が出迎えてくれる。自然に溶け込んだ奥ゆかしいエントランスは「東京の奥座敷」と呼ばれてきたこの温泉地にふさわしい。しかし中へ入ってみると、この宿の奥深さを実感することになる。入り口から続くロビーフロアはなんと6階で、客室と温泉が階下へと続いている。聞けば2022年の改装の際、全客室に露天風呂を、温泉棟2階と1階には男女入れ替え性の大浴場を、そのほか趣向を凝らした4種の貸切風呂を完備したのだという。急斜面を下るためのスロープカーは箱根登山鉄道を思わせ、鉄道ファンならずともワクワクしてしまう。

全客室には露天風呂が備えられており、鳥のさえずりを聞きながら朝からのんびり湯浴みできる。

斜面に建設されたこの宿は全客室と浴室から湯坂山を望む設計で、大自然の景観が楽しめる。それにしても1階から6階まで、35ある客室の露天風呂と貸切風呂、大浴場まで汲み上げる湯量の豊富さには恐れ入る。わずかにとろみのある湯と眼前に広がる新緑に包まれていると、江戸時代から旅人の疲れを癒してきた箱根の湯の底力を実感する。

予約制の貸切風呂。本館1階の「川音(かわと)の湯」は大自然と一体化したインフィニティスタイル。
温泉棟4階にある貸切風呂「明灯(あかり)の湯」。夜は幻想的な雰囲気に包まれる。

平川ワイナリーとのペアリングディナー

温泉宿の料理もここ数十年でだいぶ変化した。とくに箱根は外国人観光客も多く、東京からやってくる舌の超えた宿泊客も多い。はつはなでも、和食をベースに洋のエッセンスを取り入れたモダン懐石料理を展開している。この夏の目玉は北海道余市の平川ワイナリーとのペアリングディナーだ。

平川敦雄氏はフランス各地の銘醸地で12年間、ブドウ栽培やワイン醸造を学び、2015年に平川ワイナリーを設立。北海道から世界に通ずるワインづくりを目指している。09年にはミシェル・ブラストーヤジャポンのシェフソムリエを務めていた経験もあり、料理とのマリアージュに対する造詣も深い。

平川ワインの個性豊かな6種類のペアリング。食事を引き立てるよう、レストラン仕様に作られた銘柄もある。

今回中條正人料理長の作る料理に合わせ、平川氏がセレクトしたワインは全6種。
酒匂川産鮎のリエット、夏野菜と湯葉のミルフィーユなどを華やかに盛り合わせた前菜には、爽やかで繊細な喉ごしのスパークリング「クレマンス ブラン メトード・トラディショネル」を、鱧のコンソメ仕立てには果実やミネラルを感じさせる「ピュルテ キュベ・ガストロノミック」を、相州和牛ロース焼きしゃぶ仕立てには樽熟成による複雑な味わいが魅力的な「エロージュ グランドキュベ」をペアリング。幅広い料理に対応できる充実のワインラインナップとなっている。

キンキの上品な旨味とヴァンブランソースには、白ワイン「2024アンテュシオン グランドキュベ」がよく合う。
鱧のお椀に合わせた爽やかな酸味のある白ワインが、初夏の味覚を鮮やかに引き出す。
メインの相州和牛には平川ワイナリーの赤ワインをソースに使用。ペアリングした「2024エロージュ グランドキュベ」は樽香のきいたエレガントな口当たりで、日本食の出汁とも相性がいい。

季節感をふんだんに盛り込んだ繊細な料理を引き立てながら、その先の味覚の楽しみを広げてくれる平川ワイン。バラエティ豊かな味わいを楽しめるのはペアリングならではの醍醐味だ。ここには現代の感性に響く、ジャパニーズガストロノミーの理想形がある

古より変わらずに湧き出る偉大なる箱根の湯、そして進化する日本ワインと日本料理が生み出す新しい食体験。この夏は、自然と人とが織りなすリトリートを堪能してみたい。

「平川ワイナリーコラボレーションプラン」
開催場所:はつはな
神奈川県足柄下郡箱根町宿須雲川20-1
開催期間:2026年7月18日(土)〜8月31日(月)
料金:大人2名1室 1名様あたり¥100,150〜(税・サービス料込)
※予約受付は宿泊日4日前まで。7/17(金)には平川氏を招いた特別イベント付き
宿泊プランもある。

問い合わせ先

はつはな
0460-85-7321(受付時間 10:00~19:00)

https://go-odakyu-resorts.reservation.jp/ja/hotels/hakone-hatsuhana/

  • text: Junko Kubodera