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私が私である理由 with マックスマーラ vol.5 俳優、上坂樹里「まだ途中にいる、その感覚を大切にしたい」。

Fashion

自分はどんな人間なのか。まだ形の定まらない二十歳の揺らぎの中に、確かに輝く光がある。モデルとしてキャリアをスタートし、俳優として着実に歩みを進めてきた上坂樹里。話題作への出演が続き、NHK連続テレビ小説「風、薫る」で主演を務めるなど、その存在感は大きく広がりつつある。マックスマーラが讃える“Remarkable Women”とは、完璧であることではなく、自分自身の本質と向き合い続ける存在のこと。変化の途中にいる彼女はいま、何を見つめているのだろうか。

上坂樹里を紐解く3つのこと

自分らしさは、まだ発見の途中にある

繊細な部分に
助けられることもあるし
苦しめられることもある

朝ドラヒロインの出演を夢見て、16歳でモデルデビューをはたした。あれから4年。その願いは現実となり、上坂樹里はいま、新たなスタートラインに立っている。眩しいほどの透明感と、どこか落ち着いた佇まい。その両方をあわせ持つ彼女は、自分自身をこう見つめる。

「周りの方からは『真面目だね』と言われることが多いです。どんな人かと聞かれたときも、自分でこういう人間ですと考える前に、『周りからどう思われているんだろう』と考えてしまうくらい、他者の視点を気にする癖があって」

そう語る一方で、「自分に対してはすごく負けず嫌いな性格でもある」と続ける。周囲に目を配りながらも、内側には強い意思がある。人の期待や空気を敏感に受け取りながら、それでも自分の中にある基準を手放さない。その両方を抱えながら立っているのが、いまの彼女だ。

そのバランスについて問うと、「正直、取れているのかどうかは自分でもわからないんです」と率直に語る。「その感覚が繊細であるがゆえに、助けられることもありますし、同時に苦しめられることもある。だから無理にバランスを取ろうとするよりも、そのときの自分の心情に合わせて、自然に行動できたらいいなと思っています

自分らしさについても、まだまだ発展途上。その答えは定まっていないという。デビューからわずか数年で大きな節目に立ちながらも、自分という像を急いで定義しようとはしていない。

「20年間生きてきて、『これが自分らしさです』と言い切れるものがまだ分かっていないのが正直なところで。これから少しずつ輪郭が見えてくるものだと思うので、無理に形を決めるのではなくて、好きなことや、日々の中で感じる小さな違和感や心地よさを大切にしていきたいです」

その言葉には、未完成であることを否定せず、まっすぐに受け入れる強さがにじむ。

近道じゃなくていい。遠回りの中で見つけたもの

2026年前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』では、W主演のひとりに抜擢。オーディションで2410人の中から役を射止めたその瞬間は、「これまでの中で一番と言っていいほど嬉しい瞬間でした」と振り返る。その言葉の奥には、ひとつの夢が叶った心からの喜びが詰まっていた。しかし、その道のりは決して順風満帆ではない。思うようにいかない経験や、結果に結びつかなかった挑戦も積み重ねてきた。

「たとえ挑戦した先に何も結果がなかったとしても、必ず自分のもとに返ってくるものがあると思うんです。嬉しさだったり、悔しさだったり、そういう感情も含めて自分にとって必要な経験。これまでの経験で無駄だったと思ったことはひとつもありません」

その言葉どおり、彼女にとって経験は結果だけで測られるものではない。その道中に向き合ったさまざまな感情や理不尽なども含めて、自分をつくる大切な要素として受け止めている。落ち込むときは「とことん落ちるタイプ」。それでも、現場に立つことで気持ちが整理されていくことが多い。


ジャケット¥309,100、スカーフ付きのボーダートップス¥108,900、ショートパンツ¥97,900、ブレスレット¥110,000、 バッグ¥238,700、シューズ¥115,500/以上マックスマーラ(マックスマーラ ジャパン)

「ひとりでは見えなかったものが、人と関わることで見えてくることがあって。違う考え方に触れたり、すごく熱量を持って向き合っている姿を見たりすると、自分の中で何か発見があり、殻が破れる瞬間があったりするんです」

俳優という仕事は、他者と関わることで自分を知り直していく営みでもあるのだろう。これまでの役作りは「自分と照らし合わせることから入ることが多かった」と話すが、「風、薫る」で演じている役は、自分とは異なる背景を持つ人物だ。

「自分にないものをたくさん持っている人物なので、これまでとはまったく違う役の作り方で、毎日壁にぶつかりながら挑戦している感覚です」

その違いに向き合う時間は、俳優としての幅を広げるだけでなく、自分自身の捉え方にも変化をもたらしている。その転機となったのは、ある現場でかけられたひと言だった。

「『周りを気にしすぎている』と指摘されたことがあって、その言葉がすごく刺さりました。自分の意見を伝えることが少なかったなと気づいて、そこからは思ったことを素直に伝えることを大切にしています。お芝居以外のことでも、自分が嬉しかったことや日常の出来事を共有するようになって。感情を共有できる嬉しさみたいなものを初めて実感したことが、自分の中でも大きな変化だなと思います」

周りの目に向いていた意識が、少しずつ自分へと戻り始めている。

「言葉はすごく大切なもの。自分の言葉ひとつで誰かに影響を与えることもあると思うし、私自身も誰かの言葉で考え方が変わる瞬間があるので、自分の中でも大事にしていきたいです」

いま、そしてこれからの自分

華やかさだけでなく
その裏にある努力や葛藤を
持っている人に憧れる

装うことは、内面と呼応する行為でもある。上質でありながら、日常にも寄り添う軽やかなジャケットを羽織った彼女からは、凛とした気高さと同時に、等身大の柔らかい笑顔がこぼれた。
「着る前は『自分が着たら少し背伸びした感じになるのかな』と思う部分もあったのですが、実際に袖を通してみると、お洋服自体が自分にフィットしてくれるというか、素材を含め、私らしさを引き出してくれるような感覚がありました。ジャケットのシルエットが素敵でグッと背筋が伸びるような気持ちになりました」

流行に左右されることなく、長く愛し続けることのできるマックスマーラ。その魅力を実際に感じながら彼女が思い描いたのは、何年、何十年先の自分の姿だった。

このジャケットを一枚持っていることで、これから歳を重ねていく中で、また新しい自分に出会えるんじゃないかなと思います。今日このお洋服を着てみて、これからの自分がすごく楽しみになりました」。いまの自分にフィットするだけでなく、未来の自分へと想像を広げてくれる存在。

「大切なときに着たいものだったり、日々の中で原点に立ち返れるもの。お守りのような存在だなと感じます。洋服が自分に自信を与えてくれて、背中を押してくれるものだと思っています」


カーディガン¥134,200、シャツ¥155,100、スカート¥171,600、シューズ141,900/以上マックスマーラ(マックスマーラ ジャパン)

では、彼女が思い描く“Remarkable Women”とはどのような存在なのか。

「この言葉を調べて、それぞれの個性や背景を尊重しながら自分の道を歩んでいく、というメッセージに共感しました。華やかさだけでなく、その裏にある努力や葛藤も含めて、そういうものを持っている人に憧れます

特別であることは、何かを完璧に成し遂げることではない。積み重ねてきた時間や、その過程にある葛藤ごと引き受けていること。その在り方にこそ、彼女は惹かれている。そして最後に、言葉を選ぶようにこう語った。

自分に嘘をつかずに生きていきたいです。日々感じる幸せや違和感もちゃんと受け止めていきたい。これから環境が変わる中で、自分も変化していくと思うので、その変化した自分もちゃんと受け入れていきたいと思っています。 「私が私である理由」は、まだはっきりとは言えない。けれど、その途中にいることを受け止めながら進んでいくことが、いまの彼女なのだ。

マックスマーラ ジャパン
0120-030-535(フリーダイヤル)
https://jp.maxmara.com/
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Juri Kosaka
「ミスセブンティーン2021」に選ばれ「Seventeen」専属モデルとなり、同年俳優デビュー。ドラマ「生理のおじさんとその娘」(23)や、「ビリオン×スクール」(24)、「御上先生」(25)、NHKの夜ドラ「いつか、無重力の宙で」などに出演。2025年に映画『ロマンティック・キラー』で初出演を果たす。また、2025-2026年シーズンの「JR SKISKI」新ヒロインに決定、2026年にはNHK連続テレビ小説『風、薫る』のW主演のひとりに大抜擢。現在、出演中の映画『山口くんはワルくない』が公開中と、活躍の場を広げている。

  • photography: Yuki Kumagai
  • styling: Megumi Yoshida
  • hair: Hirokazu Naka
  • makeup: Nobuko Maerkawa(perle)
  • video director: Rei Takaji
  • video assistant : Haruto Tanaka,Sora Yamazaki
  • music: Y-man
  • interview & text: Rieko Shibazaki