シカ、PDRN、レチノール。成分からスキンケアを選ぶなら?

Beauty

“成分推し”の韓国コスメ、中国では“成分党”なる言葉も生まれ、スキンケアは“成分美容”が話題。成分名だけではなく、その働きや効能を正しく知って肌に合う化粧品を探す近道にしたい。


数十年にわたり、化粧品研究に携わってきたビューティサイエンティストの岡部美代治は、昨今の成分ブームをどう見ている?

「成分への興味が高まり、化粧品を正しく理解したい、という流れはいいことです。私自身もシカやバクチオールなどに注目しています。ただ、化粧品は流行りの成分をやみくもに配合すればいいものではありません。30種の成分を配合したからといって効果がすべて出るほど単純ではありません」

つまり、配合量や配合バランスにより効果に大きな差が出る。問われるのは開発側の“処方の妙”。

「化粧品で最も大事なのは“処方”と“テクスチャー”。浸透性や肌内部での働き、細胞変化までを実証・実験し、きちんとした開発・研究を経て、化粧品は世に出るべきものです。また、わずかの配合の差で、テクスチャーも変わる。実際に肌に効果をもたらすかどうかは、開発研究背景も含めて多角的に判断するなど、消費者側も見極める“目”が必要です」

本企画では、岡部が注目成分を解説。成分知識をコスメ選びに生かすためのポイントは?

「どんな効果目的でその成分を採用しているか、メーカーのHP等で開発背景を読み取るのもポイント。目新しさや成分数のギミックに惑わされず、肌に感じるテクスチャーや、効果実感がいいと気に入ったら、使い続けることが自分にとっての正解です」

ビタミンC|Vitamin C

シミに毛穴にハリ不足に。No.1万能選手!

高い抗酸化力が特徴で、シミ、皮脂抑制、ハリ不足などあらゆる肌悩みに一挙にアプローチできるスーパースター成分。化粧品におけるビタミンCは大きく「ピュア(純粋型)」と「誘導体」に分類される。ビタミンC誘導体のうち、3-O-エチルアスコルビン酸(VCエチル)やL-アスコルビン酸 2-グルコシドなどは国の認証を受けた「薬用成分」で、「美白(メラニン生成抑制)」の効果効能が認められている。ちなみに、ビタミンCに限らず薬用成分を配合した「医薬部外品」は、化粧品と医薬品の中間に位置し、予防などの効能効果を明確に表示できる点が特徴で、私たちが選ぶ際の信頼性の目安となる。たとえば美白表記のある医薬部外品は、全成分表示の冒頭に有効成分名が記載されているのでチェックしてみて。ただし、医薬部外品は申請コストや処方量の制約などを伴うため、あえて申請をしないメーカーも。「そのひとつがビタミンCで有名なオバジ。25年ものビタミンC研究の歴史があり、即効性が高く安定性の低いピュアビタミンCの高濃度配合に成功しています。ビタミンCは毛穴やシミ対策などいろいろな用途があるので、製品ごとの配合目的をチェックすることも、自分に合った商品を見つけるポイントです」(岡部)

  • オバジC25セラム NEO 12ml ¥11,000/ロート製薬
    浸透性を高める新技術を搭載し、細胞内のビタミンC濃度をアップ。シミや毛穴だけでなく、シワにもアプローチ。

  • VC100エッセンスローションEX 150ml ¥5,390/ドクターシーラボ
    水にも油にもなじむ両親媒性の性質を持つ高浸透ビタミンC誘導体、APPSを配合した人気化粧水。毛穴やくすみが気になる肌に。

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レチノール|Retinol

肌再生を促す“攻め”のアンチエイジング成分。

昨今の成分ブームを牽引するレチノールは、肌のターンオーバーを促進することでハリや小ジワ、くすみ、ニキビ跡、毛穴など、あらゆる肌悩みに働く成分。レチノールは安定配合が難しく、配合量や取り入れ方によっては“A反応”といわれる皮むけや赤みが生じることもあるのが長年ネックだったが、研究が進み、低刺激・高安定のレチノール商品が増えているのもブームの背景に。ビタミンCと同様、「ピュアレチノール」と、パルミチン酸レチノールなどの「ビタミンA誘導体」に分類。「レチノール研究といえば資生堂が有名です。2017年に承認された純粋レチノールは、レチノールとして唯一、『シワ改善』の有効成分として認可されている成分。レチノールの魅力は、シワだけでなく肌の状態を正常化するスキンノーマライザーとして、あらゆる効果が期待できるところ。非常にありがたい成分なのです」(岡部)。最近は、“植物レチノール”と称される、天然カロテノイド由来レチノールも話題。ちなみに、植物レチノールと、レチノール様成分として注目のバクチオールは別物だ。

  • レチノパワー リンクルクリーム ba S〈医薬部外品〉15g ¥6,600(編集部調べ)/エリクシール
    純粋レチノールの安定配合&刺激レスな処方を叶えた、目元や口元のシワに確かな手ごたえを残す部分用クリーム。

  • レヴィータ デュー 30ml ¥4,950/ビオールオーガニクス
    皮膚科学に基づく機能性を備えた国産オーガニックブランド。天然カロテノイド由来のバイオサイエンスレチノールを配合。敏感肌や初めてレチノールを使う人にもおすすめ。

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バクチオール|Bakuchiol

レチノールに似た効果を持つ、期待の植物由来成分。

“次世代レチノール”や“ヴィーガンレチノール”とも称されるバクチオール。「私がいま注目している成分のひとつです。オランダビユという種子由来の天然成分ですが、レチノールに似た生理作用を持つ“レチノール様成分”。安定性が高く、刺激が少ないバクチオールは、オーガニックコスメに配合されることも多く、今後一層普及していくのではと思います」(岡部)。本家のレチノールと違い、紫外線による分解を気にせず朝晩どちらの時間帯でも使用できる。また、ビタミンAではないのでA反応の心配もない。ただし、あくまでもバクチオールはレチノールとは別物! エイジングケアしたいが、まずは刺激の少ない製品から始めたい、という人向きかも。

  • アルジェラン バウンスグロウ バイタル スポット セラム 15g ¥2,640/マツキヨココカラ&カンパニー
    高濃度バクチオール配合の目元&口元用セラム。肌にスッと浸透してハリ感をブースト。

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CICA(シカ)|Centella Asiatica

韓国がブーム発信源。鎮静ケアの新定番。

成分ブームの火付け役ともいえるCICA(シカ)。コロナ禍に、ゆらぎ肌や“鎮静”という概念がトレンドとして浸透し、マスク着用による肌トラブルの増加もブームの追い風に。「ツボクサ由来の成分で、もともと国産の化粧品にも配合されてきたのですが、韓国の美容業界が“CICA”という名称を巧みにブランディングし、市民権を得たと言えるでしょう。ツボクサエキス自体は、細胞実験でもその有用性が確認されており、炎症を抑えて鎮静する作用に優れています」(岡部)。主要構成成分であるマデカッソシドやアシアチコシドをキー成分として謳う商品のほか、CICAから抽出・高純度精製されたTECAなる成分まで登場。CICAコスメの世界は広がり続けている。

  • N Organic Basic バランシング エッセンスミルク〈医薬部外品〉60ml ¥6,380/シロク
    伊豆大島産赤ツボクサエキスを採用。一般的な青ツボクサより抗炎症作用がパワフル。

  • メディヒール マデカッソシド エッセンシャルマスク ブレミッシュリペア ¥275/韓国高麗人蔘社
    マデカッソシドを150時間低温熟成&リポソーム化。くすみや肌荒れを手軽にケア。

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グリチルリチン酸ジカリウム|Dipotassium Glycyrrhizate

美白や敏感肌コスメに欠かせない抗炎症成分。

日焼けによる肌ダメージが気になるこれからの季節、チェックしておきたい成分が、グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)。ニキビや肌荒れを防ぐことで知られ、抗炎症の薬用成分としても承認されている定番成分だ。「研究者の視点から率直に言えば、皮膚刺激が少なく肌トラブルを引き起こしにくいという処方上の知見が蓄積されており、安心感のある成分として多くの製品に採用される成分。甘草由来で、炎症を抑える作用があるため、トローチなどの薬品にも配合されています」(岡部)。赤みや刺激が気になる時も取り入れやすい。美白や敏感肌向けコスメに配合されていることも非常に多いので、手持ちのコスメの外箱などに記載された全成分をチェックしてみて。

  • フィトソリューション リファイニング エッセンス 150ml ¥5,500/ジョンマスターオーガニック
    グリチルリチン酸2Kやナイアシンアミドが炎症をケア。白濁テクスチャーがまろやかに浸透。

  • テンダー ピュア ローション〈医薬部外品〉 150ml ¥6,600/イグニス
    薬用成分としてグリチルリチン酸2Kを配合。ドクダミエキス、ツボクサ葉エキスが肌荒れから守る。

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トラネキサム酸|Tranexamic Acid

内服薬発の抗炎症パワーでシミをブロック。

トラネキサム酸といえば肝斑にアプローチできる成分としても有名だが、上記2成分と同じく炎症を抑える定番の成分でもある。シミの原因となる炎症性因子プラスミンの働きを抑えて、メラノサイトの活性化を防ぐとともに、抗炎症作用でシミをW予防。化粧品成分としても内服としても人気。「もともと内服薬として医療現場で長年使用されてきた歴史があり、のちに肌荒れを防ぐ美容成分として用いられるようになった。第一三共ヘルスケアが研究と臨床応用を長年リードし、成分が安定配合されるよう研究を重ねてきました」(岡部)。紫外線や酷暑ストレスなどの影響を受けた肌内部の炎症によるシミはもちろん、肝斑が気になる肌にも適している。

  • トランシーノ®薬用メラノシグナルエッセンス〈医薬部外品〉30g ¥4,950(編集部調べ)/第一三共ヘルスケア
    トラネキサム酸の美白+グリチルリチン酸2Kの抗炎症作用でシミを作らせない。

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ナイアシンアミド|Niacinamide

高い安全性と多機能性のマルチプレイヤー。

美白とシワを同時ケアしたいなら有力な選択肢。「ビタミンB3の一種であるナイアシンアミドは、長寿研究で世界的に注目され、生体の細胞エネルギー代謝に関与する物質NMN、NAD+の前駆体です。昔から『ニコチンアミド』として化粧品に配合されてきましたが、2007年に美白の、18年までにシワ改善の成分として厚生労働省から認可されたことで、認知と普及が一気に進みました。ビタミンとして多様な代謝に働きかけることでマルチな作用があり、肌荒れを防いだりバリア機能を整えたりする作用も持つ。即効的というよりは、長く安心して使い続けたい成分です」(岡部)。NMNやNAD+は点滴やサプリでもやや高額。その前駆体であるナイアシンアミドの摂取で十分、という識者も多いので日常的に取り入れてみては。

  • ディオール スノー マイクロ インフューズド ローション〈医薬部外品〉 175ml ¥8,800/パルファン・クリスチャン・ディオール 
    ナイアシンアミドを5%配合。エーデルワイス エキスやビタミンEも加わり、高い透明感と潤いで肌を満たす。

  • 薬用ABC-GプレミアムクリームTA〈医薬部外品〉 30g ¥8,250/ドクターケイ
    “炎症老化”に徹底対抗するクリニック発のクリーム。ナイアシンアミド+トラネキサム酸+グリチルリチン酸2Kの3種有効成分で、肌トラブルや毛穴を抑制する。

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PDRN|Polydeoxyribonucleotide

本来はサケ由来成分。見極めて選ぶのが鍵!

美容医療の“サーモン注射”で一躍有名になったPDRN。サーモンの生殖細胞から抽出されるDNAの断片で高い細胞修復力や再生能力があるとされる。「ポリデオキシリボヌクレオチドの略称で、実は昔からヨーロッパで医療や医薬品に活用されてきた歴史ある成分。DNAの断片を細胞に与えることで賦活化するという実証もあり、ターンオーバーを正常化し、ハリやニキビ跡の改善が期待できます」(岡部)。一方、ローズや緑茶など植物由来のPDRNは、植物のDNA断片や核酸関連成分を指すケースが多いが、動物であるサーモン由来のPDRNとは分子配列が違うので同じ作用があるか未解明。サステイナブルで安全、植物ならではのイメージもあるので、商品特性を見極めてチョイスして。

  • アプソリュ ザ リッチ クリーム 60ml ¥48,400/ランコム
    100本のローズから1gしか抽出できないアプソリュPDRNを開発。細胞エネルギーに働きかけて密度とハリに満ちた肌土台を育む。

  • バイオダンス キャビアPDRN リアルディープマスク 4枚入り¥2,640/サン・スマイル
    サーモン由来のPDRNを高純度配合。キャビアエキスとともに海洋由来のリッチな栄養をしぼみ肌にチャージ。

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>>発酵、グルタチオン、幹細胞、アゼライン酸などを解説。【後編】はこちら

岡部美代治|Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。コーセーの研究所、アルビオンで商品開発などを経て、2008年に独立。科学的観点からスキンケアについてわかりやすく解説。処方や成分の事情通。

問い合わせ先

エリクシールお客さま窓口
0120-770-933(フリーダイヤル)
https://www.shiseido.co.jp/elixir/index.html

韓国高麗人蔘社
03-6279-3606
https://www.instagram.com/mediheal_jp/

サン・スマイル
03-6672-6480
https://sunsmarche.jp/

ジョンマスターオーガニック
0120-207-217(フリーダイヤル)
https://johnmastersorganics.jp/

シロク
0120-150-508(フリーダイヤル)
https://sirok.jp/norganic

第一三共ヘルスケア
0120-013-416(フリーダイヤル)
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_transino/

ドクターケイ
0120-68-1217(フリーダイヤル)
https://doctork.jp/

パルファン・クリスチャン・ディオール
03-3239-0618
https://www.dior.com/ja_jp/beauty

ビオールオーガニクス
https://biororganics.com/

マツキヨココカラ&カンパニー お客様相談室
0120-845-533(フリーダイヤル)
https://www.matsukiyococokara-online.com/mkc/wmaaa/

ランコム お客様相談室
0120-483-666(フリーダイヤル)
https://www.lancome.jp/

ロート製薬コミュニケーションコール
0120-234-610(フリーダイヤル)
https://www.rohto.co.jp/

  • editing: Naho Sasaki

*「フィガロジャポン」2026年7月号より抜粋