大好評で秋まで会期延長に! パリ装飾美術館で18世紀の個人邸宅の1日を再現。

Paris

その展覧会のタイトルは『18世紀の1日。ある個人邸宅のクロニクエル』。7月5日までだったところ、10月4日まで会期が延期されたのだ。フランス革命前、1780年代の貴族の邸宅内での早朝から深夜まで、1日を時間を追って体験できる構成で、当時の香りまでもクリエイトし、五感でタイムトリップを楽しめるイマーシブな展覧会である。

絵画、家具、ドレス、ジュエリー、ミニチュア……18世紀の貴族の私邸にお邪魔したような気分に。photograpphy: Mariko Omura

当時のヨーロッパ、アメリカからの熱い視線を集めていたのが18世紀のパリのエリートたちの暮らし。ヴォルテール言う所の“余計でありながら、非常に必要なもの”である贅沢がそこに満ちていたのだ。常に革新を追求する18世紀のパリは贅沢の中心地。生きる喜びに溢れていた。戦争のない時代で、景気も良く政治的にも安定していた時代である。快楽と利便性が求められ、実用における美という理念の追求において芸術が隆盛しやすい好ましい環境があった。その時代の日常生活を装飾美術館の所蔵品を多数含む約550点の展示で、展覧会はテーマを設けて時間を追って、1日を再現している。

左:中庭のテーマにて。女性が外出時に着た袖なしハーフコート。顔を隠すフードつきだ。下に並ぶのはフラットシューズとそれに重ねるオーバーシューズ。 右:庭のテーマより。ルイ14世の統治下後半から、人々は花への愛を深めていった。セーヴル国立製陶所では自然を自宅へ!と磁器の花を製造。 photography: Mariko Omura
入浴の時間。長椅子のような浴槽、ドレッシングテーブルといった家具から、石鹸・スポンジ容器、洗眼用の器など小さなオブジェ類も展示。photography: Mariko Omura
左:18世紀は時間についての意識が進み、時計が家の中に存在するように。ベッドサイド・テーブルの陶製キャンドルスタンドは底に水が入っていて、水の高さでキャンドルが自然に消える仕組みだ。 右:午前7時、夫妻の目覚め。使用人がワードロープからその日の衣装を持ってくる。photography: Mariko Omura

通りに面したパリ市内の個人邸宅内、時間を追っての1日のテーマは次の通りだ。

5:30 邸宅の中庭
5:45 庭
6:15 玄関
7:15 朝 – 寝室と付属部屋
10:15 昼食前 – ムッシューの執務室または図書室
16:15 昼食後 – マダムの閨房
18:00 祈祷室
21:15 昼食と夕食 – 食堂
23:15 夕べの時間 – ゲストと過ごすサロンと小さなサロン

このような早朝から深夜までの展開に加え、邸宅中の邸宅、家族世帯、時間と日にちという3テーマの展示も コースに散りばめられている。展示品はモード関連もあるが、この展覧会は18世紀のアール・ドゥ・ヴィーヴルを見せるものなので、家具、装飾品、小さなオブジェ類に注目したい。

この時代の邸宅の作り、その中で過ごされる時間……18世紀は朝食がdéjeuner(デジュネ)、昼食がdîner(ディネ)、夕食がsouper(スーペ)だったことや、働いていない両親だが子供と日中顔をあわせることなく家庭教師に預けていたことなど文字要素(英仏)も読むとなると、いくら時間があっても見足りないとなる展覧会だ。

主人は昼食前、自身の執務室で所有地から上がる収入を計算したり、科学の学びなども。装いはシンプルな着物風の部屋着で。photography: Mariko Omura
昼食後、マダムは自身の部屋で過ごす。針仕事、糸巻き、ゲーム……ホットチョコレートで憩いの時間も。 photography: Mariko Omura
昼食、夕食をとる食卓。食器、グラス、模造の料理だけでなく、テーブルの装飾品も見どころだ。photography: Mariko Omura
21時、ゲストを招いて夕食。2時間以上をかけて5皿の食事を。シャンティイ城に展示されている18世紀の絵画に貴族たちが牡蠣を食べている光景が描かれているように、この時代人々は牡蠣を食べ始め、そしてそれは贅沢な食事だった。この展示にも牡蠣が見える。photography: Mariko Omura
23時15分からは夜会。室内楽の演奏も行われた。photography: Mariko Omura
左:夜会は中庭で開催されることもあった。 右:室内ではロト・ゲームなどに興じて。photography: Mariko Omura
Hugues Taravalの作とされる『睡眠』(1797年ごろ)を展示。宵のゲストが帰宅すると就寝の時間だ。夫妻はそれぞれの寝室へ。photography: Mariko Omura

もっとこの時代のファッションが見たい!となったら、マレ地区のコニャック・ジェイ美術館へ。ここでは9月20日まで18世紀のフェミニティに特化してファッションと外見についての展覧会を開催している。

『Une journée au XVIIIe siècle : Chronique d’un hôtel particulier』展
開催中~10月4日
Musée des arts décoratifs
117, rue de Rivoli
75001 Paris
開)11:00~18:00(火、水、金~日)、11:00~21:00(木)
休)月
料)15ユーロ
https://madparis.fr/
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大村 真理子

madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。