バケ・モリニエも紹介、モードの職人技に触れる展覧会。【アールドゥヴィーヴルへの招待】

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.12
モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきたフィガロジャポン。
その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届け。
バケ・モリニエも紹介、モードの職人技に触れる展覧会。

ガリエラ宮パリ市立モード美術館では10月18日まで『織物、刺繍、装飾』展が開催されている。これは昨年ディレクターに就任したエミリー・オーメンによる、サヴォワールフェールを巡る3部作の企画の1つ目の展覧会で、18世紀から現代にいたる装飾技法の豊かさにスポットを当てるものだ。クチュールメゾンの名で発表される美しい一着。そこにはクチュリエの夢を確かな技術で支える職人たちの仕事が込められている。オーメンは織物、プリント&染色、刺繍、レース、造花という5つのテクニックについて、18世紀から愛されている「花」という共通テーマを設けて展覧会を構成した。


会場内、これら5つの技術について語るウィンドーもあれば、ヨーロッパの人々が憧れ求めたインドの刺繍とプリント、女性の身体を花に見立てたドレス、18世紀の男性用ベストの刺繍と仕立てなどといったテーマでまとめられたウィンドーも。また、今回の共通テーマとなった花のモチーフがどれほど重要なものであるか、19世紀初頭の美術学校で植物画専門のクラスが設けられていたことを語ることも忘れていない。刺繍のバッグなどを並べた脇には、緻密な職人仕事を観察できるようルーぺを置く配慮もなされている。
この第1部が「技術のギャラリー」なら、第2部は5つのサヴォワールフェールを担う15のアトリエを紹介する「メティエのギャラリー」だ。ルマリエやルサージュなど19世紀に起源を持つ老舗から21世紀生まれの若いアトリエまでを並列。古くから伝わるサヴォワールフェールが継承され、革新が加えられながら未来へと続けられている様子が明らかな展示は、職人仕事への麗しい賛歌だ。
大御所から若手まで、職人にもフォーカス。

15のアトリエの仕事が並ぶ第2部「メティエのギャラリー」。19世紀のオートクチュールの誕生以来、ドレスの装飾に不可欠なサヴォワールフェールの実践者たちだ。Hurel(ユレル)やRébé(レべ)など、100年以上の刺繍の歴史を持つが日頃あまり名前が表に出ないアトリエに目を向けさせ、またバケ・モリニエを含めクチュール界で活躍する20~21世紀生まれの若いアトリエの存在を広く知らせる機会となっている。第1部の5つの技術から幅を広げて、ボタンのFrançois Hugo(フランソワ・ユゴー)、クチュールジュエリーのScémama(セママ)も紹介している。

『Tisser, Broder, Sublimer』展
開催中~10/18
ガリエラ宮パリ市立モード美術館
Palais Galliera Musée de la Mode de la Ville de Paris
10, avenue Pierre 1er de Serbie 75116 Paris
33-(0)1-56-52-86-00 M IÉNA、ALMA – MARCEAU
開)10:00~18:00(火~木、土、日)、10:00~21:00(金)
休)月
料)一般14ユーロ
https://www.palaisgalliera.paris.fr/expositions/tisser-broder-sublimer-les-savoir-faire-de-la-mode
●1ユーロ=約184円(2026年7月現在)
●Ⓜは地下鉄の駅を示しています。
●開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。
- photography: Mohamed Khalil, ©Palais Galliera-Paris Musée-Nicolas Borel
- text: Mariko Omura
*「フィガロジャポン」2026年5月号より抜粋