樽熟成の時間も成分のひとつ。変容が創りあげるメゾン・プシシェの希少な香り。
香水好きには、なんとも気になるメゾンの登場である。300年のコニャック造りの歴史とサヴォワールフェールを持つレミー・コアントロー社から、ラグジュアリーな香水メゾンPscyché(プシシェ)が2021年に誕生。レミー・コアントローのセラーマスターであるバティスト・ロワゾーと調光師のソフィー・ラベとの対話によって生まれる香り。前者はコニャック作りのサヴォワールフェールをもたらし、後者は調香技術と厳選の原料をもたらすので、スピリッツの世界と香水の世界のコー・クリエーションと呼ぶにふさわしい。メゾン・プシシェのCEOであるカトリーヌ・サルダンはメゾン独自の香り創りを“新しい職業”と表現する。それは調合した香りをすぐにボトルに詰めるのではなく小さな木樽の中でコニャックのように寝かせるという、香水界において画期的な製法を行なっていることからだ。


そこにあるのは変容の芸術。メゾン・プシシェの香りのために、コニャックがその中で40~50年眠った樽の木を利用してミニチュアサイズの樽が作られた。ちなみに樽には300年の昔からリムーザン地方のオーク材が用いられているそうだ。自然原料だけをシンプルに調香した香りは樽に詰められ、地下貯蔵庫で保管される。原料によって樽の木、時間から受ける反応は異なるそうで、それゆえにどれだけの時間を樽で寝かせるかが香り創りの鍵となるので、これは企業秘密。2022年に発表された「コレクション・エディション」の神秘的な5種の香りにはいずれも官能的なまろやかさがあり、それは熟成されたコニャックの香りが決して鼻をつくことがないことにも通じる。バラやヴァニラなどよく知る原料の名前に思い浮かぶ香りは、心地よい裏切りに会うといっていいだろう。男女問わず、自分の香りが選べる。香りの購入は、アポイントを取ってヴァンドーム広場を見下ろすメゾンのサロンにて。広場の斜め向かいに位置するリッツ・パリのアーケイド内のホテルのブティックとスパでも販売されているので、香りを試して購入することができる。



コレクション・エディション、5つの香り
メゾン名のプシシェは英語読みするとプシケだ。ギリシャ神話の美しき登場人物の名前であり、また霊魂の意味も持つが、さらに蝶々も意味する。幼虫、さなぎを経て蝶となるその変容はメゾン・プシシェの香りにも喩えられること。メゾンは蝶の姿をイメージシンボルとし、「コレクション・エディション」の5つの香りにはそれぞれ変容の優美さが輝く蝶の名前が付けられた。蝶に導かれて、新たな香りの旅に出かけよう。

Alexanor(アレクサノール)
ベルガモットがベースの淡い黄色のフレッシュな香り。酸味に加えてどことなくレモンのコンフィやレモンチェロのようなほのかな甘さがあり、またウッディさも漂う。

Belle-Dame(ベル・ダム)
ピンク色したベル・ダムは朝摘みの南仏グラースの薔薇が原料。グリーンぽくもウッディでもあり、神秘的に薫る。

Alcyone(アルシヨーヌ)
インドのジャスミンがベース。花の香りに杏などフルーティなまろやかさが混じり合い、太陽の輝きを感じさせる。

Nymphalis(ナンファリス)
インドネシアのパチョリに樹脂がミックスされ、温かみがあり、包み込むような香りはとてもエレガント。

Hamadryas(ハマドリヤス)
マダガスカルで採れる最高のブルボン・バニラにアイリスがミックスされ、パウダータッチの繊細さが漂う。大人びたバニラの香りに驚かされる。
30点限定のエクスクルーシブな香りも
メゾン創設後、最初に生まれた上記の「コレクション・エディション」5種の香りに次ぐ6つ目の香りは、シプレ系のオード・パルファムEclat d’ambre(エクラ・ダンブル)である。オスマンチュスがバラの香りを引き立て、パチョリの持つ土っぽさがセラーをイメージさせ、そこに混じり合うのは柑橘類のフルーツノート……樽での熟成時間が香りにさらなるエレガンスとまろやかさを醸し出す贅沢な香りだ。これを含め、感動をもたらす卓越を愛する大人を酔わせるのがメゾン・プシシェの香りである。

Maison Psyché
6, place Vendôme
75001 Paris
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