「ラベルデザインが気に入ったワインは、味わいも好み」は本当なのか⁉︎ ワインエキスパートの編集者4名が試してみると......?

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今回は、ワインクラブ初の実証企画! 「ボトルに貼られたラベルのデザインが自分の好みだと、味も自分の好みなのか」という検証をしていきます。造り手の感性が、味だけでなくデザインにも反映されていると考えれば、大いにあり得ること。「ラベルが好みだと味も好み」という仮説が成り立てば、自信を持ってジャケットでワイン選びができることになりますよね。

ラベルでワインを選んだ4本、見事に方向性が分かれました(笑)。写真に写っているワインバスケットは料理家・平野由希子さんが南フランス・ラングドッグ地方で見つけたアンティークの一点もの。「フィガロマルシェ」にて販売中です!

ワインエキスパートの資格を持つエディター4人それぞれがワインショップを訪れ、ブドウの品種や産地にとらわれず、ピンときたジャケットだけでワインを選びました。唯一の条件は予算4000円未満。さて、どんな結果になったのでしょうか。

今回の試飲参加者:
浅妻千映子 J.S.A.認定ワインエキスパート。雑誌やウェブメディアで取材、執筆する傍ら、ワインスクールのアカデミー・デュ・ヴァンでワイン&クッキングクラスの講師をしていた経験も。『東京最高のレストラン』(ぴあ 刊)の採点者を約20年務めている。好きなワインのタイプは海、汗、火花、キノコ、鉄棒、鉛筆など感じる、ミネラル系。

まりモグ フィガロジャポン編集部、本誌グルメ担当、「ワインクラブ部長」(自称)。2021年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。幼少期から北京を拠点にアジア、欧米、太平洋の島々などを旅し、モンゴルの羊鍋からフランスのエスカルゴまで、さまざまな現地の料理を食べ歩く。特に香港は、多い時で年4回のペースで通うほどの”香港迷”。食べ過ぎ飲みすぎがたたり、28歳で逆流性胃腸炎を発症。好きなワインのタイプはブルゴーニュをはじめとした冷涼地系。

カナイ フィガロデジタル編集部、WEBグルメ担当、「ワインクラブ副部長」(自称)。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、グルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。好きなワインのタイプはイタリアをはじめとした日当たり良好系。

エザワ Pen編集部グルメ担当。2024年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。大学時代にフランスのホームステイ先で毎日ワインを振る舞われた結果、どっぷりとワイン沼にハマる。ワインとチョコレートに目がない。好きなワインのタイプは、スパイス味の強いクセ強系と、酵母感じる微発泡など。

>>これまでの「フィガロジャポン編集部の、ワイン本気飲み!」連載はこちら


カナイ 12月発売号の特集「ワインがあれば、人生は楽しい。」が一段落して、自分へのご褒美にラギオールを買いました。今日はこれを使って開けていきます。

まりモグ 今回のテーマは「ラベルのデザインが自分好みだと、味も好みなのか」を検証するというラボです。

カナイ 1本目は私のセレクトの白ワインです。人、特に女性の顔や身体が細い曲線で描いてあるものが好きでして。過去にもこうした絵で当たりを引くことが多く。アルザスとイタリア全体、中でもシチリアのボトルに多い印象です。

まりモグ つまり「性的なエチケット」が好きだと?

カナイ ……セクシー路線に惹かれる傾向はありますね(苦笑)。これを見つけたのは、麻布十番のディーン&デルーカのワインショップです。

浅妻 グレープフルーツ? レモングラス? そんないい香りがします。

まりモグ ビオの香りにちょっとペトロール香(※)も。あとは酸味。
(※編集部註:主にリースリング系の品種に感じることが多い香り。「石油のような香り」と表現する人もいれば、「新品のゴムホース」「開けたてのテニスボールの缶」などと表現するソムリエも)

浅妻 食欲をそそるというか、よだれが出てくるような酸味を感じる。

カナイ 「マウスウォータリング」的なやつですね。飲むと喉の奥までくる酸。

まりモグ 飲むと……うん、香りと味は一致。

浅妻 食欲をそそるので、何かを食べたらもっとおいしくなりそう。

まりモグ 度数を当てたい。13%。

浅妻 12.5%。

カナイ 同じく。

エザワ 12%。

まりモグ なるほど。本当はもっと低い気がするんですが、いつも自分が思うよりも0.5%上げないと当たらないんです(笑)。
(編集部註:ソムリエ/ワインエキスパートの二次試験では、素性のわからないワインをテイスティング。香りや味わいの特徴、アルコール度数を感じ取り、そこから品種、産地、ヴィンテージを推理していく)

カナイ (ボトルを裏返し)エザワさん正解、12%でした。

まりモグ 輸入元はトレジャーフロムネイチャー。ここが入れているもの、結構好きなことが多いんです。

カナイ ちなみにこのワインはヴェネト州(イタリア)の自然派。(スマホを調べながら)品種はリースリングとタイ・ビアンコだそうです。

浅妻 なんとユニークなブレンド。

まりモグ おかわりタイムも楽しみです。

カナイ 次は微発泡をいきますか。エザワさんのチョイス。うっ、ボトルが重いっす。

エザワ 日本の山形県のワイナリー、イエローマジックワイナリー。ちょっとレトロっぽい、64年の東京オリンピックを彷彿させるエチケットが可愛いなと思って選びました。

カナイ 完全に『サタデー・ナイト・フィーバー』感が。

まりモグ ジャケットのイメージと香りがかなり違いますよ。

カナイ キャンディ香が。

まりモグ 駄菓子屋に売っていた、粉と水を混ぜて、シャーってブクブクするやつ…….。

カナイ ラムネを作れるやつですね。

まりモグ その匂いに似てる。

エザワ ジュースみたいでおいしい!

浅妻 微発泡というけれど、微も感じないのですが?

まりモグ 加えて、アルコールも感じません(笑)。体感で言うと0.5%くらいでしょうか。

カナイ いやいや「9%」とありますよ(笑)。日本ワインらしく低アルコールですね。

浅妻 頭に鍋料理が浮かびました。ふうふう言いながら食べて、ゴクゴク飲みたい。

エザワ 牡蠣なんか合いそうです。牡蠣白菜鍋。和と相性が良さそうですね。

まりモグ 甘味はあるけど少し皮の苦味があって。ちょっと酸っぱい発酵白菜なんかもいいかもしれない。

浅妻 少しビールっぽい香りもしません? 最初の1杯に気持ちよく飲めそう。

カナイ ブドウは山形産デラウェアですね。でも甘すぎない。生食用デラウェアとは違うよ、という主張を感じます。

エザワ デラウェアでも、60日醸した「ピンクデラ」という新しいカテゴリーの重さを追求した1本だそうです。細かい乳酸発酵菌の酸とあります。確かに、温度が上がるとビール感が出てきますね。それも柑橘の香りのクラフトビール感。好みだな。しかし本当に全然発泡してないですね。いろいろ、いい意味で裏切られました。

まりモグ 次は赤へ。細身のボトルから行きましょうか。

カナイ 開けますね。ん? 上が蝋封です。

まりモグ ナチュールなのかな。これもカナイ君と同じく、麻布十番のディーン&デルーカのワインショップで購入。1年以上前に店を訪れた時、このジャケットの犬バージョンがあったんです。友だちの家のわんこ(ビションフリーゼのもふ子)にそっくりで、気になっていて。絶対飲みたいと思っていたのに、なんと今回品切れ。ほかにヤギとネコがあって、予算の関係上(4,000円未満)、ヤギになりました。

左:プラネット・モウラス ボリーニャ 750ml ¥4,200/カサ・デ・モウラス(岸本)  右:フィガロジャポン公式犬のもふ子(「初めて聞きましたよ?」by副部長)

浅妻 イヌとヤギとネコ。その心が知りたい。

カナイ ポルトガルのダンって書いてありますね。

浅妻 ダン! 昨年ポルトガルに行った人が、イチオシの産地と言っていました。

まりモグ そう、いま注目ですよね。しかもこのシュールで洗練されたジャケット。ビビビッときまして。

カナイ お、濁ってます。清澄度ナシ。

まりモグ 私は好きです、この色の感じ。

浅妻 ん? いい香りが全然してこないです。

まりモグ これ大丈夫? ブショネじゃない?

浅妻 何か状態が良くない気がする。ポテンシャルが閉じこもっちゃっているような、モヤつく味です。

カナイ ちょっとデキャンタしちゃいましょうか。

(空いていたカップに移してみるも、状態は変わらず)

まりモグ ショック。品種には、なんとアルバリーニョが入っています。赤なのに! 畑は土着品種20種類以上の赤白混醸だそうです。

カナイ 「フィールドブレンド」ってことですかね。

まりモグ (サイトを調べてみて)「ラズベリー系の赤系果実味に生き生きとした酸が感じる」。それはないですね(笑)。でも状態が良かったら多分好きな味です。

エザワ 私、全然飲めるんですけど。

まりモグ ナチュールっぽいねっていう言い方もできそう。

まりモグ とりあえず次に。チェコですね。いちばん不思議なチェコ。

ジョージ ウヘレク ネロネット 2019 750ml ¥3,960/ジョージ・ウヘレク(アズマコーポレーション)

浅妻 東急本店から独立しているワインショップで、値段を見ながら、好みのジャケで3本ぐらいに絞った中のひとつ。変わった国で探したわけではないのですが、結果がチェコでした。

まりモグ ジャケットのお気に入りポイントは?

浅妻 小紋風の模様、テキスタイルデザインみたいなのに惹かれる傾向ありなんです。

エザワ (グラスの中の色を見て)すごい。中国ワイン以来の濃い色ですね! 

浅妻 なんと! なで肩ボトル(ブルゴーニュ系に多い。ボルドー系はイカリ形ボトルが多い)なので、ここまで濃い色とは想像していませんでした。

カナイ 黒いっすね。注いでいたらエザワさんの手が見えなくなりました。そしてボトルが重いっす。

浅妻 未知のチェコ土着品種、ネロネット。

まりモグ 木の枝の匂いがします。シナモン。 それからほんのちょっと甘いスパイスの入った腸詰の香り。

浅妻 中華料理系の香りですよね。そこに濃厚黒系ベリー。「飲むとシルキーなタンニン」とありますが。

エザワ タンニンがすごいです。酸味もすごい。

まりモグ 果実っぽい感じも。そして口の中がタンニンでマスキングされました。

カナイ 存在感はあるんですけど、そこまでドシドシ残ってこないかな。

浅妻 意外と複雑。何食べたいですか?

まりモグ ベタにチーズ。食後のチョコもあり。

カナイ ダークチョコいいですね。あとは赤身の肉。でも鴨とか、豚とかじゃない。

浅妻 牛も違うな。

まりモグ 鹿。あと猪。

浅妻 調べてみたら、チェコはこの30年でワイナリーが増えて700軒くらいあるみたいです。近年のクオリティーの向上も目覚ましいそう。オーストリアやスロバキア寄りのモラヴィアという地方で造られることが多く、このワインもそうです。

まりモグ チェコ、行ったことあります。世界でひとりあたりのビールを飲む量がいちばん多い国。ビール文化だから、ワインのイメージはなかった。

エザワ 味もこの間の中国のものに近い感じで、私は大好き。アルコール13.5%が意外です。もっと高そう。

カナイ チェコワイン、初めて飲みました。

まりモグ 私も。マイ・ファースト・チェコワインになりました。

浅妻 ちなみに、造り手の写真を見つけたんですけど。

カナイ あ、なんかスマートな。農家の、というよりいま風な。

エザワ ソムリエさんみたい。

浅妻 若い造り手がどんどん出てきているんだろうなって勢いを感じますよね。ほかのチェコも飲んでみたくなった。

おかわりタイム! 時間をおいて飲んでみると

カナイ では恒例のおかわりタイム、白からいきます。リースリングと、タイ・ビアンコの。

まりモグ さっきよりも甘い匂いがしてきてる。

エザワ 本当ですね。温度が上がったからでしょうか。リースリングがより出てきた。

浅妻 華やかな白い花。さっきのスッとする感じの方が好きではある。

まりモグ 私もです。冷えていた方が、引き締まった冷涼感があった。

カナイ 僕はこっちのほうが好きですね。酸味が少し収まって、ふくよかさが出てきました。好みです。

まりモグ 冷やしたらまたあの味に戻るかな。

カナイ レモンパスタが食べたくなりました。

エザワ 温度が上がっても私も好きです。おいしい。次は泡にいきます。

カナイ ほんのり色が濃くなったような? 気のせいか。

エザワ それにしても、多分吹き出るからか、しっかり冷やしてくださいって買う時にすごく言われたんですけれど……。

カナイ プシュとも言わなかった笑 でも、ここに来てほんの少し、舌の上に発泡感を感じますよ。

まりモグ なますのような酸っぱい匂い。

カナイ そう言われると、お正月感があります。デラウェアだからでしょうか、懐かしい昔の日本を思い出させるというか。

浅妻 ぐびぐび飲んじゃう。やっぱり鍋が欲しいです。

まりモグ 熱々の鍋と冷え冷えのこれ。

カナイ 柔らかくなってきたぐらいのネギが欲しいっすね。ポン酢かな。

まりモグ できれば橙を使ったポン酢。

浅妻 わかる。角のない酸味が欲しいですよね。そして白菜もネギもクタッと煮た感じがいいの。

カナイ シャキシャキ感はいらない。

エザワ あとは、もんじゃなんかのトロッとしたソース味が意外と合いそうな。

カナイ ラムネを彷彿させ、もんじゃや鍋に合う。やはり古き良き日本のものによく合いそうということで。

まりモグ ポルトガル赤、これは保留で。ちなみにこれはユニークな夫婦が手がけたアルチザンワイナリーなんです。人的介入をできるだけ避け、 酸化防止の目的で「栗花茶」というのを入れているそう。初めて聞きましたね。

浅妻 では最後はチェコ。濃いけどおいしいです。

カナイ 甘みも出てきましたね。さて、検証の結果、自分の美的感覚と味の好み、一致しましたか? 

エザワ いつも選ぶタイプではなかったけれど、よかったですね。

まりモグ カナイくんは「性的な女性」。

カナイ 「フロイト的」と言ってください。細い線画。当たりだったのではと思います。

浅妻 私も、いつも選ぶ味と違っても、大きく外すことはないという気はしました。

まりモグ 私もこれ好きだったんですけどね……。 第1希望の犬ではなかったものの、この動物の可愛さとシュールさが。状態が良ければ多分好みと合うと思います。

エザワ じゃあ、自信を持って「ジャケットで選んでいい」って結論でいいですね!

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text: Chieko Asazuma

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/gourmet/250214-rabel-of-wine.html