舌平目のムニエルからビーフ・タルタルまで。パリ8区、ベルエポック薫る「ル・マレスキエ」で現代のブラッスリー体験。

ル・マレスキエがあるのは、住所にもあるようにサントギュスタン教会の建つ広場。屋根のドームが特徴のこの教会は、ナポレオン3世時代の建築物で初めて鉄骨が使用された教会として知られている。建築したのはヴィクトール・バルタール。ランジスに移動する前のパリの中央市場を建築したことで知られる建築家で、この教会は彼の唯一の現存の仕事だ。この時代、教会周辺にはブルジョワのファミリーが多く集まり、いまも高級住宅地である。サンラザール駅からもそう遠くないので、ル・マレスキエにはいったことがあるという人もいるかもしれない。でも、それは昔のル・マレスキエ。店名はそのままに新しいオーナーが内装も一新し、昨秋に新たなアイデンティティによる章をスタートしたのだ。

ブラッスリーなので朝食に始まり、閉店までノンストップ営業で日曜もオープン。半端な時間でも食事のオーダーができるし、またグラスワインとスモークサーモンやチーズ&シャルキュトリィの盛り合わせ、といった組み合わせの軽食タイムを楽しむことも。シェフのアルノー・ボワシエによる新しいメニューは、フランスのクラシックな料理に光を当てている。スパイスや調理法を複雑に駆使する料理をクリエイトするのではなく、彼は昔ながらの味を厳選した素材と的確な火加減・味加減で料理。

ブラッスリーの定番料理が並ぶメニューで、前菜はウフ・マヨネーズ、パテ・アン・クルート、ソーセージ詰めブリオッシュなど。珍しいのは黒トリュフのスープVGE。これはヴァレレイー・ジスカール・デスタン元大統領が好んだスープで、パイ皮の帽子が被されて登場する。メインは舌平目のムニエル、シーザース・サラダ、モリーユ茸添チキン・スープレム、アンガス・ビーフのベアルネーズ・ソース……。デザートのメニューもクラシックな味が並ぶのだが、ユニークなのはここにエスプレッソ・マルティーニが見つかることだ。カクテル時代ならではの発想だろう。
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メインのビーフ・タルタル。
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パテ・アン・クルートは最近のブラッスリーの人気メニューのひとつ。
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牛フィレステーキ、胡椒ソース。
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パリ・ブレスト(15ユーロ)を始め、ムース・オ・ショコラやイル・フロッタントといったデザートのクラシックがメニューに見つかる。
住所:
12,Place Saint-Augustin 75008 Paris
営:
7:30~24:00(月~水)、7:30~25:00(木、金)、10:00~24:00(土、日)
大村 真理子
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
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