南青山で、アフリカ現代アートの「いま」を感じて。

Culture 2024.04.19

4月20日、東京・南青山に新たな芸術文化のプラットフォーム「space Un(スペース・アン)」が誕生。

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展示スペースの内装は、東京を拠点に世界的に活躍する建築家、長谷川豪によるコミッションワーク。「既存の鉄骨梁をヒノキで覆ってその間に膜照明を仕込むことで天井面を『巨大な障子』に見立て、全体を柔らかい光で包み込むことで、アートとコミュニケーションの両方が主役になる空間を考えた」と語っている。

「スペース・アン設立のアイデアは、アフリカの現代アートの知名度を高め、異なった文化間の架け橋を築き上げるため、日本だけでなく、アジア地域におけるユニークなプラットフォームをつくることが重要だという認識から生まれました」と創業者のひとりで、神戸、パリ、ベルリンを拠点に活動するアートコレクターのエドナ・デュマは語る。スペース・アンの共同創立者には、俳優でアーティストの中野裕太、文化起業家でありベルリンを拠点とするアート&ファッション誌の創刊者でもあるロータ・エックシュタインが名を連ねる。

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エドナ・デュマ:スペース・アン創業者。アフリカの豊かな芸術的伝統に見られる多様なスタイル、技法、文化的表現と深いつながりを見出し、アフリカの現代アートに高い関心を抱く。2008年からアフリカ現代アートを収集。Photography: Jorinde

今後は、年に4〜6回の展覧会を企画し、日本とアフリカ諸国、ディアスポラとの間の文化交流、アフリカの現代アート、文化芸術に関する対話をさらに生み出すことを目的としたアーティスト・トーク、ワークショップ、教育活動、音楽イベント、映画上映、朗読会など、分野横断的なプログラムを展開していく。なかでもとくに重要な役割を担うのはレジデンス・プログラムだ。

オープニングを飾る初展覧会『Anastomosis(アナストモーシス:吻合)』では、セネガル人アーティスト、アリウ・ディアックを招聘し、奈良県吉野町にあるスペース・アンのレジデンス「吉野杉の家」での滞在を通して制作した新作シリーズが発表される。「アリウのレジデンス期間の成果、また素晴らしい開幕展にまでつながったことを心から喜んでいます」とスペース・アン設立者のひとりであるロータ・エックシュタインはコメントを寄せている。

日本ではまだ取り上げられる機会が少ないアフリカ現代アートに触れられるプラットフォームとして始動するスペース・アンに、ぜひ注目して。

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スペース・アンの開幕を彩るのは、アリウ・ディアックの作品。
Aliou Diack Earth memory #2 2022-2023 Mixed media on canvas 210 × 385cm
Copyright and courtesy : OH GALLERY

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アリウ・ディアック:アーティスト。1987年、セネガル・ダカール(シディ・ブグー)生まれ。幼少期より自然や動物に興味をもち、形や色、質感をつぶさに観察して描写を行う。10歳の時に自身の芸術の探究のためにダカールの中心部に移り住む。その後ダカールの国立芸術学校に入学して美術の勉強を始め、さまざまな絵画的手法を学ぶ。彼のプリミティブでありどこか宇宙を感じさせる世界観はほかのアーティストと一線を画しており、近年高い評価を受けている。
Photography: Badr El Hardag

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スペース・アンは単なる展示スペースに留まらず、アフリカと日本の文化的コミュニケーションの場となることを目指す。そのための重要なプロジェクトのひとつがレジデンシー・プログラム。第一回目の本拠地は、世界初のコミュニティハウス「吉野杉の家」。この施設は2016年に建築家の長谷川豪とAirbnbにより共同設計された。スペース・アンのレジデンシーは、地域の人々と協力してアイデアを共有し、押し広げ、探究し、日本とアフリカが文化的・歴史的にどのようにつながるかを学ぶ場所となることを目的としている。

スペース・アン

東京都港区南青山2-4-9 KLO 南青山ビル1F
www.spaceUn.tokyo

展覧会『Anastomosis』
会期:2024年4月20日(土)〜7月18日(木)
開)12:00〜19:00(水〜日)
休)月、火
問い合わせ先:hello@spaceun.tokyo

text: Natsuko Kadokura

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