レティシア王妃、ヨーロッパ随一とも称されるダイヤモンドコレクションの輝き。
スペインのレティシア王妃は洗練されたモダンなファッションセンスの持ち主として有名。スペイン王室所有のジュエリー・コレクションも伝統的なジュエリーから現代的な感覚のものまで揃っており、ヨーロッパのどの王室のコレクションと比べても遜色ない。

レティシア王妃と言えばクラシカルなエレガンスとモダンさを兼ね備えた真のファッション・アイコンとして知られている。そして王妃のジュエリー選びには服選びと同じ基準が用いられている。それは控えめであること。王妃としての立場上、スペイン王室が有する最高級のジュエリーを着用することもできるが、スペイン国王フェリペ6世の妻はミニマリズム志向だ。2026年5月4日、バルセロナで開催されたスペインの日刊紙「エル・パイス」創刊50周年記念式典に出席した折も王妃は王室のジュエリーを実にさりげなくつけていた。
そしてなによりも重視するのはそのジュエリーが何を象徴しているかということ。豪華さよりもそのジュエリーが持つ意味や伝統に注目して慎重に選び抜く。こうした姿勢はレティシア王妃が王家の生まれではなく、20年以上前に結婚で王室の一員となったことも関係しているのかもしれない。だからこそ、スペイン王室のジュエリー・コレクションを身につけることも含め、現在自分が享受する特権に敏感なのだろう。
注目を集めることを好まないレティシア王妃は王室コレクションのジュエリーを独自のスタイルで身につける。フルセットで着用するよりも、一点だけ身につけて際立たせることを好むのだ。華美な服装を慎まなくてはならない場面で彼女のようにジュエリーをほとんど、あるいはまったく着けずに堂々としていられるヨーロッパの王室女性がどれだけいるだろうか。そしてジュエリーを身に着けるときには常にどのような文脈でどのような結果をもたらす選択なのかを意識している。
情報を媒介するジュエリー
小さなイヤリングや細いブレスレット、上品なブローチ等、普段レティシア王妃が身につける私物ジュエリーはさりげないものばかり。しかしながら王妃だって目立つジュエリーを身につけることもある。
なにしろスペイン王室のジュエリーコレクションは、7つのティアラを含む壮麗なもの。とりわけ有名なのは「ラ・ブエナ(La Buena)」の愛称で知られる「フルール・ド・リス・ティアラ」だ。スペイン国王アルフォンソ13世(在位1886-1931)が妻となるイギリスのヴィクトリア・エウヘニア王女に贈ったティアラは時価1200万ユーロ以上とされ、現在のスペイン王室のジュエリー・コレクションのメインアイテムとなっている。スペイン王室御用達ジュエラー、アンソレナによって制作されたこのティアラのモチーフは、3つの大きなフルール・ド・リス(ユリの紋章)で、それぞれにラウンドダイヤモンドが敷き詰められている。レティシア王妃がこれを初めて着用したのは2017年、当時のアルゼンチン大統領夫妻を迎えての公式晩餐会の席だった。王妃はスペイン人デザイナーフェリーペ・バレラによるシンプルな黒のベルベットドレスを着用することで視線がティアラに集中するよう演出。この晩餐会はフェリペ6世が即位してから3年後のことであり、レティシア王妃のイメージの転機ともなった。

王妃がティアラを着用する機会は決して多くない。だがスペイン王室のティアラはどれも素晴らしく、由緒あるものだ。たとえば、代々スペイン王室に受け継がれてきたパールとダイヤモンドの「カルティエ・ティアラ」。あるいは元ジャーナリストだったレティシア王妃が結婚式で着用した「プロイセン・ティアラ」。このティアラをレティシアが結婚式に選んだのは訳がある。繊細な月桂樹の花模様で飾られたこのティアラは勝利を象徴するが、同時に永遠の愛も象徴しているのだ。
受け継がれる宝石
スペイン王室のジュエリーコレクションに含まれる数々の名品ティアラのほかにも、レティシア王妃だけが使えるジュエリーが存在する。それは「ジョヤス・デ・パサール(Joyas de Pasar)」、すなわち「受け継がれる宝石」と呼ばれるものだ。スペイン王妃となったヴィクトリア・エウヘニアが歴代の王妃にのみ受け継がれるべきものとして指定した特別なコレクションであり、伝統に従って代々継承されている。そのひとつが「シャトン」ネックレス。もともとは30個のブリリアントカット・ダイヤモンドから構成されるネックレスだった。だが夫のアルフォンソ13世は妻に贈り物をするたびにダイヤモンドを2個ずつネックレスに足していったため、現在のネックレスは腰に届くほどの長さがある。
レティシア王妃は、アンソレナによるイヤリングもよく着用している。これは10カラットのダイヤモンドの周囲に12個のラウンドダイヤモンドを配してマーガレットをかたどったデザインだ。さらに、かつて王冠の一部だった双子のブレスレットもある。カルティエあるいはブルガリによってブレスレットに作り直されたと言われているが、真相はいまだ謎のままだ。王妃はふたつを同じ手首に重ねて着けたり、別々に使ったりしている。これらのジュエリーは、いずれ王位を継承するレオノール王女へ受け継がれていくのだろう。
レティシア王妃の圧巻のダイヤモンド・コレクション
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
From madameFIGARO.fr
- text: Louise Ginies (madame.lefigaro.fr)