「世界最初のファッションアイコン」のスタイルへ迫る——『マリー・アントワネット・スタイル』が横浜美術館で開催!

Culture

ファッションの歴史を語るうえで、決して外すことのできない存在がいる。フランス王妃マリー・アントワネットだ。

映画『マリー・アントワネット』(ソフィア・コッポラ監督、2006年)より Photo: Courtesy of I WANT CANDY LLC. and Zoetrope Corp. 

2026年8月1日から横浜美術館で開催される『マリー・アントワネット・スタイル』は、彼女を単なる”悲劇の王妃”ではなく、世界最初のファッションアイコンとして再解釈する展覧会である。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)が企画し、日本では横浜美術館が唯一の会場となる。約200点の作品を通じて、その美意識が250年以上にわたり受け継がれてきた軌跡を辿る。

ローブ・ア・ラ・フランセーズ(フランス風ドレス) フランス製 1760年代(1770年代に加工) 絹、光沢をつけた麻 ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London

展示は、18世紀当時のドレスやジュエリー、家具、磁器、肖像画など、王妃ゆかりの品々からスタート。宮廷文化の中で生まれた優雅なシルエットやリボン、花々、パステルカラーといった意匠は、その後のファッション史に大きな足跡を残した。会場には、王妃が愛用した肘掛け椅子や食器、日本初公開となる「マリー・アントワネットの真珠とダイヤモンドの3連ネックレス」なども並び、当時のライフスタイルそのものを体感できる。

イヴニングドレス「ローブ・ド・スティル」 ジャンヌ・ランバン(作) 1922–23年頃 絹オーガンザ、絹の花かざり、パニエ ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London

本展のおもしろさは、歴史展示だけでは終わらない点だ。後半では、マリー・アントワネットが現代クリエイションへ与えた影響を紹介。ジャンヌ・ランバンによるローブ・ド・スティルをはじめ、ヴィヴィアン・ウエストウッド、モスキーノ、アーデムなど、王妃のスタイルを引用したデザインが並ぶ。時代を超えて引用され続けるリボンやパニエ、トワル・ド・ジュイのモチーフが、現代ファッションへどのように再構築されているのかを見ることができる。

さらに注目したいのが、映画やカルチャーとの接点。ソフィア・コッポラ監督『マリー・アントワネット』(2006年)の衣装や、映画のためにマノロ・ブラニクが制作したシューズも展示。18世紀の宮廷文化を現代の感性で再構築した作品群は、映画を愛する人にとっても見逃せない。

‘メルシー・アルトワ’ 映画『マリー・アントワネット』(ソフィア・コッポラ監督、2006年)のための靴 マノロ・ブラニク(作) 2005年 綿、ベルベットのリボン、ウール・シェニールの縁飾り、金属とクリスタルの装飾、革底 各 H. 15.0 x 7.5 x 25.5 cm マノロ ブラニク・アーカイヴ蔵 ©Manolo Blahnik International Limited

美意識の革新者としてのマリー・アントワネット。本展は、華麗な王妃の人生を振り返るだけでなく、250年を経てもなおファッションやデザインの源泉であり続ける”スタイル”の力をあらためて感じさせてくれるだろう。

問い合わせ先

「マリー・アントワネット・スタイル」
050-5541-8600(ハローダイヤル)
会場:横浜美術館 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
会期:2026年8月1日〜11月23日
開)10:00~18:00(11月21日、22日は20:00まで)
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休)木曜日 ※8月13日、9月24日、11月19日は開館
料)一般¥2,500(前売 ¥2,300) ほか
https://www.marie2026.jp

  • text: Izumi Akamatsu