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DIOR

ミス ディオールに咲く、グラースのローズを訪ねて。

Beauty

ディオール家の兄妹が丹精込めて育てたグラース ローズは、いまも引き継がれフレグランスに使われている。南仏プロヴァンス地方のカリアンからモントルーへ、ふたりが愛した土地とそこに咲く花の歴史を紐解く。

5月の朝、フレッシュなバラの香りに包まれるドメーヌ デ ネイス。戦後、カトリーヌはここに戻り、2008年に91歳で亡くなるまで暮らした。現在、敷地内に2棟増築され、一般にも公開されている。
5月の朝、フレッシュなバラの香りに包まれるドメーヌ デ ネイス。戦後、カトリーヌはここに戻り、2008年に91歳で亡くなるまで暮らした。現在、敷地内に2棟増築され、一般にも公開されている。@domaine_les_naysses

1947年、ディオール最初のコレクション「ニュールック」とともに誕生したフレグランス、ミス ディオール。その名は、ミューズのミッツァ・ブリカールが、モンテーニュ通り30番地の本店に現れたクリスチャンの妹カトリーヌを見つけて「ほら、ミス ディオールよ!」と声を上げた瞬間に決まったといわれている。

1930年代に一家でパリからカリアンの地に移り住んだ。50年頃のカトリーヌ。
1930年代に一家でパリからカリアンの地に移り住んだ。50年頃のカトリーヌ。
1947年の発売当初は、グリーンが際立つシプレーの香調で、ニュールックのシルエット8ラインを想起させるアンフォラボトルに収められていた。2年後には現在のボトルの原型となる千鳥格子のスクエアボトルが登場。
1947年の発売当初は、グリーンが際立つシプレーの香調で、ニュールックのシルエット8ラインを想起させるアンフォラボトルに収められていた。2年後には現在のボトルの原型となる千鳥格子のスクエアボトルが登場。

ノルマンディ地方のグランヴィルにあるレ リュンブ邸で生まれ、裕福なブルジョワの家で育ったカトリーヌだが、17歳の時に父モーリスの事業が世界恐慌の余波を受け、プロヴァンス地方のカリアンに移り住むことに。その後パリで働くも、第2次世界大戦中は再びカリアン近郊の農園、ドメーヌ デ ネイスに身を寄せ、野菜を育てながら生き抜く。この時期にニースで出会ったエルヴェ・デ・シャルボネリをきっかけにレジスタンス運動に加わるが、逮捕され強制収容所に移送された。生還後は、エルヴェとともに生花の取引に携わり、思い出の地でグラース地方を象徴する香り高いバラ、センティフォリア ローズを育てるようになった。


クリスチャン・ディオールは、30歳の時にカリアンで2カ月間デッサンを描きため、「Le Figaro」などに販売。才能を開花させ、パリでデザイナーの道を歩むことに。写真は37歳の頃の姿。
クリスチャン・ディオールは、30歳の時にカリアンで2カ月間デッサンを描きため、「Le Figaro」などに販売。才能を開花させ、パリでデザイナーの道を歩むことに。写真は37歳の頃の姿。
1959年から、ドメーヌ デ ネイスの畑でセンティフォリア ローズの栽培を始めたカトリーヌ。当時の株は保存され、現在はその子孫のローズが栽培されている。写真は65年頃。
1959年から、ドメーヌ デ ネイスの畑でセンティフォリア ローズの栽培を始めたカトリーヌ。当時の株は保存され、現在はその子孫のローズが栽培されている。写真は65年頃。
戦後、カトリーヌはパートナーのエルヴェ・デ・シャルボネリと生花の栽培と販売に携わる。
戦後、カトリーヌはパートナーのエルヴェ・デ・シャルボネリと生花の栽培と販売に携わる。

時を同じくして、兄クリスチャンはドメーヌ デ ネイス近くのモントルーにあるラ コル ノワール城を購入し、敷地内で同じローズを育て始める。暗い時代に過ごした南仏は、ふたりにとって安息の地でもあったのだろう。ふたつの場所で咲くローズは、いま、新しくなったフレグランス、ミスディオールの中心で豊かに香る。

モントルーにあるラ コル ノワール城は、クリスチャン・ディオールが1950年に購入し、6年かけて改装。広大な敷地には、ローズはもちろん、ジャスミン、ブドウやオリーブなどの果樹も植えられている。非公開。
モントルーにあるラ コル ノワール城は、クリスチャン・ディオールが1950年に購入し、6年かけて改装。広大な敷地には、ローズはもちろん、ジャスミン、ブドウやオリーブなどの果樹も植えられている。非公開。

過酷な時を過ごしても輝きを失わず、花を愛し続けたカトリーヌは、内なる強さとエレガンスを併せ持った、理想の女性像を体現する存在。“愛のように香り立つ”ディオール初のフレグランスは、家族と自然への深い愛の物語でもあったのだ。

ドメーヌ デ ネイスとラ コル ノワール城で栽培されるセンティフォリア ローズは、グラースの12の農園で栽培される花々とともに、ディオール フレグランスに使用されている。
ドメーヌ デ ネイスとラ コル ノワール城で栽培されるセンティフォリア ローズは、グラースの12の農園で栽培される花々とともに、ディオール フレグランスに使用されている。
問い合わせ先

パルファン・クリスチャン・ディオール
03-3239-0618
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  • photography: ©Christian Dior Parfums Collection, Paris