大坂なおみ、全米オープンで大胆な衣装チェンジ。NBAレジェンドへの敬意が込められた衣装の意味。
全米オープン1回戦で、大坂なおみはまたもや大胆不敵なルックを披露した。それはNBAのファッションコードに革命をもたらした、ある人物へのオマージュだった。

全米オープン2日目の8月31日、アナスタシア・ザハロバとの1回戦で大坂なおみはドラマチックなファッションに身を包み、コートへやってきた。「WHO DECIDES WAR」によるカスタムメイドの大胆な衣装は、白いチュールのボリュームスカートと、アシンメトリーな長いフードベストで構成されており、トレーンのように長く伸びるベストの裾は、彼女の勝利を報じた過去の新聞の切り抜きで飾られている。
このスタイルを大坂なおみはバスケットボール界のスター、アレン・アイバーソンからインスピレーションを得たと明かした。「彼のことが本当に好き」だと言う。アレン・アイバーソンを象徴するスタイルといえば、ぴっちり編み込んだコーンロウと頭に巻いたバンダナだ。ともあれ大阪なおみはこの衣装の下に、アレン・アイバーソンが活躍していた時代のNBAジャージーを連想させる黒のナイキのタンクトップと、黒のメタリック素材のスカートを着用していた。

日本のテニスプレーヤー、大坂なおみはこのようにスポーツとカルチャーとファッションの境界を曖昧にしてみせたアスリートとしてアレン・アイバーソンを称えた。
アレン・アイバーソンのパイオニア精神
彼女がこだわるのには理由がある。アレン・アイバーソンは、NBA史上もっとも物議をかもしたアスリートのひとりだ。2000年代、あまりに「ストリート」ファッションすぎると批判されたにもかかわらず、フィラデルフィア・セブンティシクサーズの伝説的なポイントガードは、ヒップホップカルチャーをバスケットボールの世界へ積極的に持ち込んだ。たくさんのタトゥー、コーンロウ、だぼだぼの服にゴールドチェーン等々。彼のスタイルは、リーグの伝統的なドレスコードとは異なっていた。2005年、このスーパースターが浸透させた美学に対抗するため、NBAは選手に対して厳格なドレスコードを導入し、90年代のアメリカのラッパーたちを連想させるバギーパンツや小物類を追放した。

数々の批判を受けてもアレン・アイバーソンは個性的なスタイルを貫き、頭にバンダナを、腕にアームスリーブをつけたまま、コート上のパフォーマンスによって人々を圧倒した。そして大坂なおみはいま、それを受け継ごうとしている。「私にとって、彼はパイオニアです」と今週初め、彼女は語っている。その時彼女が着ていたのは、アイバーソンが載った雑誌「SLAM」の古い表紙がついたTシャツだった。「どこまで意図していたかはともかく、彼はスポーツにおける服装をめぐる議論を進化させ、スタイルを通じて自己表現したのです」。アイバーソン本人も大阪なおみのオマージュにびっくり、インスタグラムにこうポストした。「うわあ、なんて光栄なんだ! 大ファンだよ、会えるといいな」
テニスコートでスタイルを表現

大胆なファッションで知られる大坂なおみは選手生活を通じ、女性らしさとノスタルジー、そして社会的なメッセージ性も込めた独自のスタイル哲学を築き上げてきた。5月の全仏オープン1回戦では、黒のロングスカートでクレーコートに足を踏み入れた。その姿はおそらく彼女の並々ならぬ決意を感じさせた。この夏には日本人のルーツを称え、着物にインスパイアされたエレガントな白いコーディネートでウィンブルドンを沸かせた。昨年の全米オープンではフリルのついた赤紫のドレスにお揃いのビーズで飾ったラブブを合わせた。彼女のファッションを誰もが肯定しているわけではない。全仏オープンで彼女と対戦し、ストレート負けしたある選手は、「私はテニスをしに来たのであって、ファッションショーをしに来たのではない」と述べていた。
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Bénédicte Magen (madame.lefigaro.fr)
- edit: フィガロジャポン編集部