マルニの"第三章"が始まる、メリル・ロッゲが描く継承と革新。

Fashion 2026.03.25

昨年7月にマルニのクリエイティブ・ディレクターに就任し、今年2月に初のショーを開催したメリル・ロッゲ。ベルギー出身で2005年よりアントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学んだ後、マーク ジェイコブスやドリス ヴァン ノッテンに関わりながら自身の名を冠したブランドを手がけていた新星は、マルニをどのように継承していこうとしているのか。2026年秋冬コレクションのプレゼンテーションとカクテルパーティのために来日した彼女に話を聞いた。

初のショーに向けては、ふたつのことを念頭に置いていたという。

「ひとつは、ブランドのアイデンティティをしっかりと理解していることを示し、マルニのファンが"自分たちの居場所だ"と安心できるものにすること。そしてもうひとつは、驚きを与えること。ブランド創業者であるコンスエロ・カスティリオーニ期(1994〜2016)、フランチェスコ・リッソ期(2016〜25)に続く"第三章"で、新しい視点を提示したいと考えているんです。オフィスに保管されていたハードディスクの中で発見したごく初期のコレクションのカラーパレットは、意外にもブラウン、ブラック、グレー、そしてホワイトでした。鮮やかな色が登場したのは1995年で、初出のプリントは赤い花です。そこでファーストルックはその時代にオマージュを捧げましたが、次のルックからは新しい章を展開させています」。

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イタリア・ミラノとオランダ・ロッテルダムを拠点とするデザインスタジオ「フォルマファンタズマ」とコラボレーションし、「ファッションを"現実の世界"へと引き戻すこと」を目指して「どこか"抽象的な親近感"が漂う家、あるいは役所や美術館といった公共の場所を想起させるような空間」を作り上げ、コレクションを披露した。

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マルニのコミュニティとは、「自立し、唯一無二の声を持っていて、"自分をどう表現し、どう着こなすか"独自のアプローチをする」人々で構成されていると考えるメリル。彼らに向けて、例えば「トランクバッグ」(2013・本コレクションで新デザインに再解釈され「トランケットバッグ」へ改名)や「フスベットサンダル」(2006)といったアイコンを復活させ、サンダルにはキトゥンヒールを付けるなどして再解釈した。アイレットやポルカドット、グラデーションのストライプ、バイアスチェック、パッチワークなど、アーカイブを彷彿とさせるモチーフも多く見られる。

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「初期の柄をいくつか忍ばせましたが、配色を変えたりアレンジを加えたりして、あえて"隠しメッセージ"のような形に留めたつもりです。でも、昔からのファンの方々は気づいてくださるんですよね。それが楽しくて仕方ありません」。

また、シルエットは「いま新鮮に感じられたので」膝丈のスカート、タイトな肩のラインのコート、ローウエスト、ベルト使いといった1990年代後半から2000年代初頭のスタイルに立ち返っている。

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「ただ、私たちはブランドを前進させたいと考えているので、単なるノスタルジーに浸るつもりはありません。マルニの本質や精神を守ることは第一ですが、新しい方法で再解釈したいんです」。

色鮮やかなプリントやさまざまな要素の融合を得意とするメリルの作風はマルニのブランドイメージにリンクするが、それは彼女自身も感じているよう。

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「デザインは自分の中にある純粋な部分から湧き上がってくるもので、自分自身と切り離して生み出すことはできません。私が幼い頃からずっとマルニを見てきたので、きっと美意識やデザインへのアプローチが重なり合っているのでは。ありのままの私とブランドの世界観が一致しているという実感があり、このブランドに身を置けることが本当に幸せです」。

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ファッションには「ポジティブさ」や「夢」を届ける役割もあると指摘していたメリル。「マルニらしさ」の理解を充分に示したその次は、より「驚き」を盛り込んだ内容になっていくのか。今後の展開を楽しみにしたい。

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Meryll Rogge/メリル・ロッゲ
ベルギー・ゲント出身。アントワープ王立芸術アカデミーでファッションデザインを学んだ後、マーク ジェイコブスのデザインチームに参加。 約7年を経てアントワープに戻り、ドリス ヴァン ノッテンのウィメンズ・デザインの責任者に(18年まで)。2020年自身のブランドをスタート。25年にはANDAMファッションアワードでグランプリを受賞。同年7月、マルニのクリエイティブ・ディレクターに就任した。

Interview & text: Itoi Kuriyama

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