エルメスがベル・エアで実現した美しい地平線のストーリー。2026年秋冬コレクション第2章。

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ロサンゼルス西部、ビバリーヒルズと並び称される有数の最高級住宅街ベル・エア。その街並みを見下ろす小高い丘の上に、数ヶ月かけて建設された壮大な特設パビリオンが出現。ここで披露されたのは、アーティスティック・ディレクターのナデージュ・ヴァンヘが手がける、エルメス2026年秋冬ウィメンズ・コレクションの第2章ランウェイショー。

ⓒ Vincent Tullo
ⓒSalvatore Dragone + Gianluca Carraro

夕暮れ時、世界のセレブリティに愛される隠れ家的名門ホテル・ベル・エアで支度を済ませた招待客たちが、高揚感を胸に続々と会場へ到着。ショーは太陽が沈む瞬間に合わせて緻密にプランされており、シーティングが完了する頃には、ロサンゼルス特有の美しい黄昏時の光が会場いっぱいに差し込んでいた。ナデージュのアイディアを具現化した特設会場は、外観から壁、天井、そしてゲストの座席にいたるまで、すべてが優しく淡い黄色――「バターイエロー」で統一されている。ゴールデンアワーを迎えたカリフォルニアの太陽の光と、空間が見事なハーモニーを奏でる中、ドラマチックな幕が開いた。

ⓒFilippo Fior

会場のファサードに鮮やかなネオンサインで掲げられたのは、今コレクションのテーマであるSILHOUETTES ON THE HORIZON(地平線のシルエット)。特設会場から見渡せる壮大な地平線を背景に、ナデージュが生み出す服のシルエットが美しく浮かび上がるという、ロケーションと演出が完璧に融合した壮大な演出に参加者も思わず息をのむ。ロサンゼルスという都市から得たインスピレーションである「ダンス」や「軽やかさ」というキーワードが昇華されたルックが次々に登場。型にはまることなく、まるでダンサーのようにしなやかに動く、自由で現代的な女性のシルエットがランウェイを彩った。

ⓒFilippo Fior

ショーは、ゴールデンアワーの光に同調するかのような、優しいゴールデンイエローのジャケットやワンピースでスタート。

エルメスの伝統的な職人の技と、今回のテーマであるダンス的しなやかさが完璧に融合したレザーアイテムが多数発表された。曲線的なカットやギャザーを用いて体のラインを美しくなぞるジャケットやワンピースは、この上なく上質なレザーによって表現された。

ⓒFilippo Fior

3月にパリで発表された2026年秋冬コレクション第1章に比べて、イブニング的なアイテムやスタイリングが加えられていた点も注目。シルクタフタ、シフォン、ラメ、レザー、ベルベットなどさまざまな素材の黒でエルメスらしいシックなグラマラスを表現。

ⓒFilippo Fior

ウエストの高い位置で切り替のある、ノーカラーのボディコンシャスなジャケットが新鮮。ウエスト部分のペプラムが、細身のパンツやタイトスカートを組みあわせたスリークな着こなしに小粋でスイートなアクセントを添えていた。

ⓒFilippo Fior
ⓒSalvatore Dragone + Gianluca Carraro

アクセサリーや小物のスタイリングにも、メゾンのクリエイティビティが光る。おなじみの伝統的なエルメスのバッグ、ケリーやボリードには、チェーンストラップが組み合わされエッジーな要素がプラス。

ⓒSalvatore Dragone + Gianluca Carraro

ゲストの視線を集めたのが、襟元を飾るスカーフのスタイリングだ。新たな「カレ」の巻き方と、ジュエリーやアクセサリーを複雑に絡め合う高度な技が登場。ディテールに至るまで、今すぐ真似したくなるような新鮮なスタイリングアイディアに溢れていた。

ⓒSalvatore Dragone + Gianluca Carraro

いわゆるセレブをフロントローに並べるハリウッド的なプロモーションを行わないエルメス。今回のベル・エアでのショーに招かれたのは、エルメスの本当の顧客であり、ブランドの友人と呼ばれるセレブたち。マイリー・サイラスやケリー・ワシントン、ジュリア・ルイ=ドレイファスら、エルメスを愛する人々が最愛のエルメスアイテムを纏って大集結。極上のラグジュアリーでありながら会場には温かい空気が流れ、終始リラックスしたムードに包まれていた。西海岸の壮大な自然とナデージュのクリエイティビティ、そしてエルメスの卓越した職人技のすべてがカリフォルニアの雄大な地平線の上で結実した、特別な一夜となった。

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  • text: Junko Takaku