シャネルの「おとぎ話」とは? 2026年秋冬オートクチュール コレクションで見せた服に宿る物語。
「おとぎ話」。
マチュ・ブレイジーは2度目のオートクチュール コレクションにこのテーマを選び、メゾンに受け継がれるサヴォアフェールと服に宿る物語性を新たな視点で描き出した。

おとぎ話といまを生きる女性の日常が溶け合って。
2026年7月8日にパリで発表された、2026年秋冬 オートクチュール コレクションでシャネルが描いたのは、おとぎ話の幻想と、現実を生きる女性たちの日常が交差する世界。メゾンのサヴォアフェールを駆使して新たな物語を紡ぎ始めた。


「私は自分で自分の人生を創り上げてきました。それまでの人生が嫌いだったからです」。
ガブリエル・シャネルのこの言葉を起点に構想された今季のオートクチュール コレクション。マチュー・ブレイジーは、「ガブリエル シャネルの生涯は、ひとつのおとぎ話だったのではないでしょうか。彼女の本棚で、『Les Fées, Contes des Contes(妖精たち―おとぎ話集)』と題された小さな本を見つけました。これをきっかけに、オートクチュール アトリエの職人と共に、まるで本のように服を通して物語を語るということを追求しました」と語る。
纏う人だけが知っている贅沢な秘密。

ショーの幕開けを飾ったのはギピュールレースと透け感のあるシルクモスリンを重ね合わせた軽やかなルック。まるで『ジャックと豆の木』の魔法で蔦が伸びていく瞬間を投影したかのようなレースと身体に寄り添う立体的なカッティング、柔らかく揺れるシルエット、繊細なレイヤーなど、クラシックなコードを受け継ぎながらも、その佇まいは軽やかで自由だ。
物語は服の表面だけでは終わらない。ツイードに咲く花々、ヒールへと絡みつく蔦、ブレードを彩るカササギと随所に散りばめられた宝物たち。さらにジャケットやドレスの内側には、To Doリストやイニシャル、手書きのメモ、小さなチャームを忍ばせ、纏う人だけが知る秘密が縫い込まれている。

服の裏側にこそ宿る細かい装飾は、オートクチュールだからこそ実現できる贅沢な遊び心。身体と服、作り手と纏う人。その距離をぐっと近づけるディテールの数々が、一着一着を唯一無二の存在へと導いていく。
le19Mの卓越したクラフツマンシップで紡ぐ物語。
その豊かな世界観を支えるのは、シャネルが誇るクラフツマンシップだ。タイユール、フルー、ガロンをはじめ、刺繍やプリーツ、帽子、金細工、靴など、それぞれのメティエ ダールの技術が集結。異なる素材を重ね、織りやアップリケ、刺繍によって植物や動物たちを立体的に描き出し、服そのものが物語を映し出す。精巧な手仕事は決して技巧を誇示するためではなく、着る人の動きとともに初めて完成する美しさへと繋がっている。
そして今季、ブレイジーが着目したのは、ガブリエル・シャネルが大切にしてきた「動くための服」という思想。卓越したカッティングが身体を解放し、ドレスはしなやかに揺れ、スーツは軽やかに歩みに寄り添う。オートクチュールでありながら、日常を生きる女性のための服であること。その考えは、意図された不完全さを取り入れながらの新たな表現として解釈されている。

「シャネルにとって、オートクチュールとは単なるおとぎ話以上のものです。女性たちと彼女たちの現実、そして日々の冒険に寄り添うために存在します」。
ブレイジーのこの言葉は、コレクション全体を貫くメッセージでもある。幻想を描きながら、決して現実から離れない。その絶妙なバランスこそ、シャネルがオートクチュールで描き続ける女性像なのだ。
Youtubeで公開された、ソフトテキスタイルを手がけたアトリエ「フルー」の映像にもその世界観を示唆。植物が生命を宿したように広がる幻想的な空間と、繊細な手仕事を思わせるディテール。本の扉を開くように物語の世界へと誘う映像は、ランウェイを彩る服たちに秘められたストーリーを如実に語っていた。
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シャネル カスタマー ケア センター
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