18㎡の難あり物件が大変身。パリを一望する“空に浮かぶ船室”のような住まいへ。
Studio Louis Morganは、1960年代のパリの集合住宅にあった間取りの良くない18㎡の空間を、15㎡のテラスからパリを一望できる、機能的なステュディオへと生まれ変わらせた。この息をのむリノベーションを貫くテーマは、「船のキャビン」である。

インテリア建築家であり、Studio Louis Morganの創設者でもあるルイ・アスパールは、ホテルやレストランなど大規模なプロジェクトを数多く手がけてきた人物だ。けれど、彼はこの小さな現場とそのミッションを引き受けた。パリ、ビュット・オ・カイユの建物内にある、使い勝手のよくない18㎡の空間と放置されていた15㎡のテラス。これを息をのむような眺望を備えた魅力的なステュディオへ変えるというミッションに彼は抗うことができなかったのだ。このリノベーションを構想するにあたり、彼がインスピレーションを得たのは船のキャビンだった。いま、この小さな居住空間は、空に浮かぶ小さな帆船を思わせる。ルイ・アスパールが、そのクリエイションのプロセスを語ってくれた。
リビングスペース
Before

「ステュディオは1960年代に建てられた集合住宅の5階、そして最上階にあります。外観だけを見ると、特別目を引くような建物ではありません。でも実は、この時代の集合住宅は内部設計が非常によく考えられていることが多いんです。そのため、今回は全面的に解体する必要はなく、空間を“着せ替える”ようなアプローチを取りました。」
After

「メインスペースには、コーヒーブラウンに染色したオーク材のパネルを使用しています。とても温かみがあり、まるで船のキャビンにいるような感覚を生み出してくれる。そして何より、空間全体に統一感をもたらしてくれるのです。玄関扉もその一部で、住空間へ直接つながる入口でありながら、まるで存在を消したかのように空間へ溶け込んでいます。このワンルームにほどよい区切りを与えるため、いくつかの要素も加えました。たとえば、幅140cmのベッドを玄関側からやさしく隠す低い壁。よくある“秘密道具”のような収納式ベッドは好みではなく、快適性を優先した選択です。この低壁は光の流れを遮らないだけでなく、電気設備を隠す役割も担っていて、さらに小さなハイテーブルも取り付けました。」

「また、シャワールームとトイレへ続く既存の扉は、“マジックドア”と呼ばれる扉へ変更しています。枠がなく、蝶番も見えない仕様で、小さな丸窓も取り付けました。収納も徹底的に最適化しています。木装パネルの内部や隠れたスペースに組み込むことで、視界から消しながら、以前よりも多くの収納量を確保しました。床については、傷んだグレーのカーペットを剥がすとコンクリート床が現れました。そこに、Ressource社の“R-998 Nirvana”という空色のペイントを施し、その上から超光沢のレジンを流し込んでいます。木装のマットな質感との対比として、どこか“ネイルポリッシュ”のような艶感を出したかったのです。」
キッチンコーナー
Before

After

「以前の簡易キッチンは、扉の枠に囲まれ、まるで収納棚の奥に押し込められたような窮屈な状態でした。そこで空間を開放し、その手前にある構造壁にはミラーを設置。視覚的な広がりを生み出しています。また、開口部のバランスとラインを整えることで、光がより自然に入り込むようになりました。

「キッチンブロックには、Bisazzaのガラスモザイクタイルを使用しています。ブラックの目地を合わせることで、バックスプラッシュにグラフィカルでモダニズム的なリズム感を与えました。ラジエーターはオリジナルのまま残しています。よくあるようなカバーで隠すのではなく、床の色、そして空(あるいは水)を思わせるブルーに塗装しました。」
シャワールームとトイレ
Before


「もともとトイレは斜めに配置されていて、シャワールームとトイレの扉の位置も揃っていませんでした。そこでまず、空間全体のラインを整え、直線性を取り戻す必要がありました。」
After


「ここでも、空間づくりの指針となったのは“船のキャビン”というタイポロジーです。船内のように、余計なものが突出せず、すべてがすっきりと収まっていることを意識しました。既存のシャワーは新しく入れ替え、洗面台まわりには、Mutinaのクリーム色の陶器タイルを使ってカウンターを造作しています。壁面には大きなミラーを設置し、光をより広げられるようにしました。そして空間全体をつなぐ糸のように、トイレ内部もブルーで塗装しています。全体として、とても調和の取れた空間になりました。」
テラス
Before

After

「このテラスは、まさに宝石のような場所です。エッフェル塔からサクレ・クール寺院まで、パリの屋根景色を一望できる圧巻の眺めを備えているにもかかわらず、長いあいだ完全に放置されていました。まずは床のレベル調整を行い、その後、室内と同じブルーで塗装しています。ステュディオの内部から視線がそのまま外へと伸びていくよう、視覚的な連続性をつくりたかったのです。窓際には、収納を兼ねたオーダーメイドのベンチを設置しました。15㎡あるこのテラスは、いまでは本格的なアウトドアリビングへと生まれ変わっています。天気のいい日には、まるでもうひとつの部屋のように機能する空間です。」
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Zahra Muyal (madame.lefigaro.fr)