【家のビフォーアフター】日本のマンションでもここまで素敵に! キッチンが主役、大きな窓から光が差し込む住まいへ。
住み慣れた家のリフォームや、中古マンションを購入してリノベーションを考えていたら、まずどこから始めるべきか予備知識を入れて、実例を基に計画をスタート。日本とフランス、小さな空間を自分たち好みに仕上げた4つのお宅のビフォーアフターを拝見!
改築・改修ビフォーアフター case 1
JAPAN ー KANAGAWA
MIKI
モデル、フォトグラファー
木とステンレスが調和する、美しいキッチン。

Renovation Data
[所在地] 神奈川県横浜市
[家族構成] 夫婦(50代)
[建物] 1986年築 RC造低層マンション
[床面積] 79.45㎡
[間取り] 3LDK → 2LDK
[設計] ピュウデザイン 白木昭嘉
[施工] FIND
[工事期間] 2カ月
[工事費用] 非公開
開放的なエントランスの先、ガラス戸越しに光あふれる暮らしの空間が広がる。テラスを覆う桜の木々の隙間から日差しを取り込み、LDKがひと繋がりとなった住まい。その中心で、ひときわ存在感を放つのが、チーク材のキッチンだ。
築40年の低層マンションは、起伏の多い町の高台に立つ。購入当初、内装はリフォーム直後で十分に美しかったが、旅を重ね各地の住まいに触れてきたMIKIの中に少しずつ「自分らしい暮らし」の輪郭が育っていった。いつか心から納得できる生活空間を。その想いが形になったのは、この家に暮らし始めて13年目のことだった。
「大きなリノベーションは一生に一度できるかどうか。私にとってキッチンは、休日に夫が焼くパンと、日々丁寧に淹れてくれるコーヒーブレイクの至福な場所。キッチンだけは妥協しないと決めていました」

美術館のようなエントランス。
Before

After

アクセントに採用した、真鍮製のスイッチプレート。

かつての間取りは3LDK。廊下で部屋同士を繋ぐやや閉じた構成だった。1年半の準備期間を経て選んだのは、暮らしの中心となる南側のみを大胆に刷新するハーフリノベーション。設計を託したのは、岐阜に事務所を構える友人の設計士だった。
「光の扱いが巧みで、空間そのものをアートに仕立ててくれる人。戸建てで培った技術を制約の多いマンションにも生かしてくれました」
壁で区切られていた一室を取り払い、LDKを一体化。窓の光が届く、大空間が誕生した。その中心に据えられたのが、壁付けとアイランドを組み合わせた、セパレート型キッチンだ。愛用してきたヴィンテージ家具に合わせ、突板はチーク材で統一。天板にはヘアライン仕上げのステンレスを採用し、木の多い空間にほどよい緊張感を添えた。床はキッチン部分のみタイル張りとし、レンジフードも造作で美しく納めている。
天井に残されたドラマティックな光の陰影。
Before

After

目指したのは、北欧やフランス、イタリアの田舎町にあるような、キッチンが主役の家。旅先で出合った理想の風景と、長年連れ添ってきたヴィンテージ家具、そして夫婦でゆったりと過ごす時間。そのすべてが、この場所に自然と重なり合うようだ。マンションならではの制約もあったが、「取り払えない壁や梁があるからこそ、光の表情が生まれた」とMIKIは言う。使い込まれたパーツや天井のカーブといった、ヴィンテージマンションならではの魅力を残せたことも、いまでは誇らしい。
最近旅したスウェーデンで触れた“フィーカ”の時間に倣い、キッチンでカルダモンロールを焼くのが夫婦の楽しみに。リノベーションは、住まいを変えることではなく、暮らしのリズムを整え直すこと。その答えが、温もりに満ちたキッチンに、静かに表れている。
コーヒータイムを楽しむカフェスペース。

ヴィンテージの飾り棚をリビング側に移動。

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- photography: Akemi Kurosaka
- text: Miki Suka
*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋