【家のビフォーアフター】築50年、田舎の小さな家が一新。曲線と色使いが映える住まい。

Lifestyle

住み慣れた家のリフォームや、中古マンションを購入してリノベーションを考えていたら、まずどこから始めるべきか予備知識を入れて、実例を基に計画をスタート。日本とフランス、小さな空間を自分たち好みに仕上げた4つのお宅のビフォーアフターを拝見!


改築・改修ビフォーアフター case 4
FRANCE ー LANDES

Alice&Arnaud

明るく温もりを感じるリビングへ大改造。

カレソルのオーク材のフローリング「アルページュ」に張り替え、トゥールモンド ボシャールのサミュエル・アコセベリーがデザインしたサフラン色のウールラグ「テュミュラス」を敷いた。メルシーの陶器製ローテーブルにはマデュラのテラコッタのフラワーベース「クレイ12」。右側には、グビのフロアランプ「ティンバーライン」、ポピュ・エディシヨンのアームチェア「アンカ」にラ・ルドゥートの刺繍クッション、エルミーヌ・トルキアンの木象嵌のテーブルランプが共存している。壁にはエリティスの壁紙「アトリエ・ダルティスト」が貼られ、特注の木製シェルフを設置。向かい側には、もともと家にあったソファにハオミーのマットレスを重ね、キャラヴァンとラ・ルドゥートのクッション、メゾン・ドゥ・ヴァカンスのウールブランケットをプラス。ラタンのサイドテーブルはポピュ・エディシヨンのもの。壁にはオノレのセラミック製ブラケットライト「イネス」を配置した。

Renovation Data
[所在地] フランス・ランド県
[家族構成] 夫婦
[建物] 1970年代築
[床面積] 不明
[間取り] 2LDK
[設計・施工] オム・エディシヨン(https://www.ome-editions.com/)、リモイア(https://studiolimoia.com/
[工事期間] 非公開
[工事費用] 非公開

フランス南西部、湖と海に挟まれたオスゴールにあるこの小さな家のオーナー、アリスとアルノーは実用的でシンプル、家族のための暖かい隠れ家のようにしたい、みんなが集まり楽しい時間を共有できる場所にしたいと願い、建築事務所オム・エディシヨンとリモイアにリフォームを依頼した。課題は、バラバラな空間を家族の調和ある住まいへと生まれ変わらせることだった。1920年代のバスク=ランド様式の大きな家の増築部分として70年代に建てられたもので、趣はあるもののセンスが欠けていて、現代の暮らしには不向きな構造。さらに、時代もバラバラで統一感のない家具がモザイクのように入り交じっていた。たとえば、古いチェストとスウェーデン製のサイドボードが同居していたのだ。再構築には明確なビジョンと指針が必要だった。

Before

タイルの床だったリビングは丸ごと再構成。

デザイナーたちは壁や天井を開き、流動性と光を取り入れることを選択。動線は再構成され、閉じられていたキッチンはリビングへと開かれた。アトリエ・ゼリージュによるグラフィカルなタイルは、鮮やかな色合いで空間にエネルギーをもたらしている。大きなコーナーベンチはダイニングテーブルに沿うように配置され、空間を有効に使いつつ、会話が弾むような場所となった。

光が入るダイニングにコーナーベンチを設置。

Before

閉じられたキッチンで動線が悪く、暗かったダイニング。階段もむき出しの状態。

After

壁をなくしたことで光がより多く注ぐように。特注のコーナーベンチを備え付け、ルリエーヴルのファブリック「シヨン」の座面とエリティスの生地「オリゾン」を使ったクッションを添えた。CFOCのテーブルには、柄のコットンクロスを敷いてモノプリのアンバーグラスを置き、椅子は蚤の市で見つけたエーロ・サーリネンのチューリップチェアを。照明はアリソン・ボードマン。空間を明確に分けて独立性を持たせるため、階段を再設計し壁で囲った。CFOCのベンチは木とラタンの「ワビ」

壁を取り払い、風通しのよいオープンキッチンに。

Before

緑の壁と白いメラミン棚だったキッチン。

After

壁を取り払ってリビングと繋げ、オープンな空間に。床には青・赤・黄土色のニュアンスのあるアトリエ・ゼリージュのタイル「TRC13」を採用。収納扉はアメリカンウォールナットで特注した。調理台にはマデュラのテラコッタボウル「クレイ12」とモノプリのアンバーガラスが置かれている。水栓はトレのマットゴールド仕上げ。棚は両建築事務所が設計し、「クレイ12」の花器やアトリエJMPのうつわが並ぶ。

一方、各寝室はあえて対照的な世界観で設計。2階の夫婦の寝室はベランダへ続き、部屋の自然な延長として広がっている。1階の造作天井を取り払って高さを作り、広さと明るさを感じさせる中2階は、特注の2段ベッドを備えたファミリールームにして、大人も子どもも泊まることができるようにした。しかも機能性のために美しさを損なうこともまったくなかった。

中2階を作ってゲスト用寝室を増設。

Before

物置同然だった寝室。

After

天井を抜いて高さを確保し、複数の寝床を備えた中2階を設置。2段ベッドも新たに作られた。壁紙はエリティスの「メリダ・ペピート」、照明はシモーヌ&マルセルの「オクラ」。サイドテーブルとベンチはCFOC、ランプ「ボンボン」はオム・エディシヨンのオリジナル。ベッドはボンソワールのリネン、マデュラの刺繍クッション「ニコラ」、メゾン・ドゥ・ヴァカンスのブランケットでコーディネートされている。

使い勝手も見た目も向上したバスルーム。

Before

2階にある狭くて味気ないバスルーム。

After

設備の配置を一新、動きやすさと使い勝手が大きく向上し、見違えるように生まれ変わった。 左:シャワーとバスタブには、深い赤のアトリエ・ゼリージュのタイル「ベージュマット TC04」と41ゼロ42のタイル「ピュルプ」が組み合わされ、表情のある仕上がりに。ルスルスの「ラヴー」でラッカー仕上げした壁に、クリスティーナ・オンディーナのブラスゴールドの水栓「トリヴェルド」が上品で洗練されたアクセントを添えている。 右:宙に浮くように設えられた洗面台は木製のオーダーメイドで、コーリアンのシンクを組み合わせている。壁には、シモーヌ&マルセルのブラケット灯「エクリプソ」と、ティカムンのミンディ材の鏡「ディム」を取り付けた。

家中のあちこちに曲線が取り入れられた。ラグのカーブや2段ベッドのステップ、家具のフォルム、エリティスのラフィア素材の壁紙の模様など、家の丸窓へのさりげないオマージュとなっているのだ。

この空間の再生のプロセスでは素材と色が主役。視線を巧みに誘導することで空間そのものを美しく構築している。床は温もりのある木、ソフトな質感のモルタル、色鮮やかなタイルとさまざまな素材が溶け合うように重なる。壁には深みのあるペイントや表情豊かなテクスチャーの壁紙が各部屋のリズムを生み、周囲の風景とも呼応している。濃いブルーは海、砂色のベージュは砂丘の柔らかさ、深い赤は松林に沈む夕日を思わせる。こうして家は、ついに息を吹き返したのだ。

  • photography: Bénédicte Drummond (Madame Figaro),Ome Éditions (Before)
  • text: Laurence Dougier (Madame Figaro)

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋