世界遺産を眺める建築にステイ。瀬戸内の絶景と古式サウナに浸る宿「界 宮島」が誕生。

Lifestyle

世界遺産の嚴島神社を望む宮島口温泉。ここに星野リゾートの温泉旅館「界 宮島」が誕生した。癒やしを与え、知的好奇心を掻き立てる、旅人たちの新名所へとご案内しよう。

kai-miyajima1
牡蠣いかだが浮かぶ穏やかな海、幾重にも重なる島影。穏やかな瀬戸内の旅に逃避行。

かつて見たことのない、赤い鳥居を囲む景色。

kai-miyajima2
宮島や弥山の景観を引き立てる“額縁”として楽しめる、エントランスの回廊。

建物へのアプローチを彩るのは、古くから嚴島神社にも使われてきた日本の伝統色「丹色」。回廊の先には大鳥居が借景のように切り取られ、砂浜を思わせる床が、対岸にある嚴島神社との緩やかなつながりを描き出す。

玄関を入り、上がり框(かまち)に足を載せると、凹凸のある名栗加工を足裏に感じ、早くも心地よさを味わえる。そして柔らかな畳敷きの館内へ進むうちに、心身が解きほぐされていくような感覚になる。

kai-miyajima3
フロントはあえて眺望を見せないシンプルなデザイン。客室に入った瞬間に現れる絶景を、ドラマティックに感じさせる仕掛けだ。
kai-miyajima4
広島を代表する家具メーカー、マルニ木工のさまざまな椅子を配置したトラベルライブラリー。かつて瀬戸内海を行き交った村上水軍の和船の帆をモチーフにした照明は、窓の外をゆっくりと進む船の姿と呼応する。

全室が瀬戸内の海霧を眺める“ご当地部屋”。

kai-miyajima5
幻想的な海霧を表現した色彩と、地域が育んできた工芸品が調和する「海霧の間」。

客室に入ると、宮島と瀬戸内海が織りなす絶景がゲストを歓迎する。なんと全室に、霧によって島影の輪郭が柔らかく溶け合う幻想的な風景を取り込んでいるそうだ。

kai-miyajima6
窓からの美景とインテリアがリンク。アートな世界観に没入するように過ごして。

和室には外に広がる多島美を写し取ったカーテンを、露天風呂付き客室には繊細な左官壁のグラデーションを採用。福山デニムのクッションや庵治ガラスの照明、大竹和紙などを設えた空間では、地域の工芸を身近に感じることができる。

  • kai-miyajima7

    外に広がる多島美を写し取ったカーテン

  • kai-miyajima8

    庵治ガラスの照明

  • kai-miyajima9

    福山デニムクッション

01 / 03

海と湯船の境界が消えるインフィニティ温泉。

  • kai-miyajima10

    大浴場露天風呂

  • kai-miyajima11

    湯上がり処

01 / 02

宿のハイライトとなるのが、最上階に設けられた大浴場だ。南側の露天風呂では、湯船の水面と瀬戸内海がひと続きになり、まるで海にそのまま身を委ねているような感覚に。北側の内風呂には、山並みを望む「あつ湯」と源泉かけ流しの「ぬる湯」が用意され、海と山、ふたつの異なる景色に浸ることができる。

洞窟のような石風呂で、知られざる温泉文化を体験。

kai-miyajima14
鎌倉時代に起源を持つとされる古式サウナの一種、石風呂。源泉温度が低い瀬戸内沿岸で、湯だけでは十分に身体を温めにくかったことから、独自の温浴文化として発展したのだとか。

絶景温泉だけでなく、少し意外性のある体験を求める旅人なら、海辺に設けられた石風呂に注目したい。最盛期には瀬戸内海周辺に約80カ所存在したものの、現在では触れる機会がほとんどないという石風呂。界 宮島は、遺構や文献をもとにその文化を現代のくつろぎへと再構築した。土地の風土から生まれた、希少なウェルネス体験をぜひ一度は試したい。

kai-miyajima12
外壁には地域で採れる花崗岩を積み上げ、内部は光を抑えた洞窟のような空間に。熱を逃がさないよう低く造られた入口を身体を屈めてくぐると、約50度に温められた石からの輻射熱が、前後左右からじんわりと全身を包み込む。

宮島の歴史と食を五感で堪能。

kai-miyajima15
昼間に眺めた宮島を、歴史という別の角度から見つめ直す文化体験も。

夜には、地域文化を体験する“ご当地楽”として、白拍子の舞「厳島物語」を毎晩上演。平安時代に活躍した男装の舞姫・白拍子と語り部による雅な歌舞は、平清盛によって再建された嚴島神社の物語を紡いでいく。

  • kai-miyajima16

    安芸の海遊会席の水軍鍋

  • kai-miyajima18

    「タルトシトロン」に見立てた、安芸の海遊会席の先付け

  • kai-miyajima17

    海遊会席の甘味

01 / 03

夕食は、広島のレモンや牡蠣、お好み焼きといった食文化を再解釈した「安芸の海遊会席」。タコや鯛、穴子を盛り込んだ村上水軍ゆかりの「水軍鍋」。締めくくりには、お好み焼きに見立てた甘味が登場するなど、見た目と味覚の意外性が旅の記憶を鮮やかにしてくれる。

対岸から海霧や島影の変化に身を委ね、工芸に触れ、平安の物語に耳を澄ます。「界 宮島」が提案するのは、観光地を急いで消費するのではなく、土地の風景や営みを静かに“いつくしむ”旅。世界遺産のすぐそばにありながら、まだ知らなかった宮島と出合える滞在になるだろう。

界 宮島

広島県廿日市市宮島口西1-1-6
050-3134-8092(界予約センター)
料金:1泊32,000円~/1名(2名1室利用時、税・サービス料込み、夕朝食付き)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaimiyajima/