ハリウッド・サヴォイで食事。アール・デコの店内? それともテラス?
Paris 2025.05.27
旧証券取引所(ラ・ブルス)のパレ・ブロンニァールの裏手、80年代に生まれたレストランHollywood. Savoy(ハリウッド・サヴォイ)は当時のおしゃれ人間たちが陽気に食事を楽しむための溜まり場だった。パリの中心にあるラ・ブルス界隈はかつては金融業や旅行代理店が多かったけれど、いまではIT系のスタートアップといった若い世代が集まる地区。昨年初頭にギヨーム・ブナール率いるFitz Groupという新たなオーナーを得て、陽気でグラマラスな雰囲気はそのままに洗練されたレストランとして生まれ変わった。
左:ハリウッド・サヴォイのエントランス。 右:通りに面した席からは、歴史的建造物パレ・ブロンニャールの美しい眺め。
新生ハリウッド・サヴォイのインテリアを託されたのはソフィー・ラクロワ。レストラン内に入ると、まるでオリエント・エクスプレスのワゴン車に乗った気分が味わえる。1920年代を席巻したアール・デコ調にまとめられた店内に漂うのは、シンプルでモダンな高級感だ。このインテリアも魅力なら、太陽が輝く季節はテラス席もまた誘惑的である。ランチタイムはおしゃれなブラッスリー、夜はDJが入り、エレクトロミュージックで食事をするレストランで最後は歌って踊ってとなるという。ハリウッド・サヴォイは2つの異なる顔を持つゆえ、ランチをテラスでディナーを室内で、と2度行ってみるのも悪くなさそうだ。
大理石のバーカウンターやミラーがゴージャスな雰囲気を醸し出している。
アール・デコ装飾が施された列車オリエント・エクスプレスに乗っているような気分が味わえる。photography: Mariko Omura
テラス席は店の前と通りの反対側に設けられている。
料理は前菜にフォアグラのテリーヌやウフ・ミモザ、メインに子羊のコートレットやトリュフのニョッキというように、フランス人でなくてもわかりやすいメニュー。コスモポリタンなブラッスリーという感じだろうか。シェフはモーリシャス島生まれのラウディ・ペターソン。子どもの頃テレビでフランス料理のシェフによるテレビの料理番組で、ある日、ジョエル・ロビュションがクレーム・ブリュレを作るのを見たときに閃くものがあったそうだ。料理人となり2008年にフランスにやってきた彼は、ギィ・サヴォワ、ピエール・ガニェールといったシェフたちのもとで修行をし、その後ロンドンのゴードン・ラムゼイのレストランで......とキャリアを築き、今年ハリウッド・サヴォイで働き始める前は、世界中に店を持つコンテンポラリー和食のZumaのプロジェクトに関わっていたそうだ。それゆえに彼は柚子や山椒といった和の調味料をハリウッド・サヴォイの料理にも巧みに取り入れている。ランチタイム・メニューは前菜8ユーロ、メイン19ユーロ、デザート8ユーロという手頃な価格だ。その上、レストランによってはランチタイム・メニューの内容はいまひとつ興味をそそられない料理が並んでいることがあるけれど、ハリウッド・サヴォイは選択に迷うほど。
舌平目のソテーやロブスターのパスタといったシンプルな定番料理と季節の素材を取り入れた料理でメニューは構成されている。
名物ハリウッド・ティラミス。驚くサイズだけれど、ふんわりクリームが半分を占めていてとても軽いデザートだ。
シェフのルーディ・ペターソン。
左:メニューを含め、レストランのビジュアルアイデンティティはピエール・ハジザデが担当。 右:とうもろこしパンなどとともに登場するのは、ラディッシュと紫蘇バター。photography: Mariko Omura
ある日のランチメニュー。前菜(8ユーロ)はアスパラガス&ブッラータやエスプレット唐辛子がピリッと辛いフィッシュコロッケのゆずソースなど。メイン(19ユーロ)は魚、肉、野菜のチョイスがある。photography: Mariko Omura
地下を占めるのは、35席あるミニ・プライベート・クラブのSavoy Club(サヴォイ・クラブ)。仲間たちで貸切って存分に羽目をはずすのに相応しそうなラウンジだ。
午前2時まで営業しているサヴォイ・クラブ。食後の時間を貸切で過ごすラウンジだ。
Hollywood Savoy
44, rue Notre Dame des Victoires
75002 Paris
営)12:00~15:00, 18:00~23:00(レストランのバーは26:00まで営業)
休)日
https://www.fitz-group.fr/hollywood-savoy-paris
@hollywood_savoy
★Google Map
editing: Mariko Omura