18世紀のモード展を目指し、マレのコニャック=ジェイ美術館に出かけよう。

Paris

コニャック=ジェイ美術館で9月20日まで、パリ市立のモード美術館であるガリエラ宮とのコラボレーションで『Révéler le féminin / Mode et Apparences au XVIIIe siècle(女性らしさを顕現する/18世紀のモードと外見)』展を開催している。小部屋6つを使っての小規模ながらもチャーミングな展覧会なので、マレ地区に行く機会があったらぜひ! デパートLa Samaritaineの創立者であるエルネスト・コニャック(1839~1928年)が妻のマリ=ルイーズ・ジェイと収集した18世紀の家具調度品や絵画などのアートピースがパリ市に寄贈されて生まれたこの美術館。この展覧会でもいくつか展示されている彼らのコレクションは常設展で見ることができるので、館内では18世紀に存分に浸れる。

展示より。啓蒙の時代、貴族もブルジョワもその富と地位の証として、ヴィジェ・ル・ブランなど優れた画家に肖像画を描かせることが大ブームとなった。その中に描かれた装いに18世紀社会の輝き、エレガンスが見て取れる。© Paris Musées, musée Cognacq-Jay – photo Nicolas Bore
左:美術館所蔵の18世紀の青い竪琴型置き時計(1785年)も展示した第1室。 右:もともとは農婦たちが着ていたキャラコ(上着)は18世紀後半、貴族の女性たちのワードローブに。photography: Mariko Omura

企画展はタイトルにあるように18世紀ならではのフェミニニティにフォーカスが置かれている。展示品は絵画、ドレス、アクセサリーなどで第1&2室のテーマは「宝飾品と装飾品」、第3室は「肖像画、アイデンティティと社会的地位の劇場」、第4室は「感情の肖像画:家庭の至福と子供達の幸福」、第5室は「夢のフェミニニティと愛情ゲーム:田園の雅宴」、第6室は「田園の雅宴と肖像画:新しい社交文化」で、展示品は絵画、ドレス、アクセサリーなどだ。

左:装飾が見事なローブ・ア・ラ・フランセーズ。背中のプリーツを見せるようにドレスの後方には鏡が設置されている。これは、隣に肖像画が飾られているアルトワ伯爵夫人が着ているものと思われる。 右:ルイ15世の6番目の娘ソフィーの肖像画の一部。驚くほど凝った刺繍がドレスを飾っている。photography: Mariko Omura
幾何学的なフランス式庭園より自然の風景を取り入れた英国式庭園が好まれたように、自然嗜好が芽生えた18世紀。装いには軽いモスリン素材が取り入れられ、日常においては家族間の幸せが大切にされ、肖像画も家族で描かれるように。© Paris Musées, musée Cognacq-Jay – photo Nicolas Bore
庭園や自然の中での時間が愛される18世紀。左はフランソワ・ブーシェの作品『若い娘と庭師』を元にボーヴェの王立マニュファクチャーで織られたタペストリー(1750〜1790年)。庭や田舎で過ごす時、若い女性は羊飼いの装いをするのが流行りだったことが見て取れる。右はフランソワ・ブシェの作とされる『音楽のレッスン』。優雅に装った男女。この時代のエリートたちにおける音楽への趣味が描かれている。photography: Mariko Omura

18世紀ならではの言葉を写真やデッサンとともに説明している解説書を入り口で無料配布しているので、入手しておくと役立つだろう。ローブ・ア・ラ・フランセーズに始まり、ガーズやムスリン、タフタなど布の説明、さらにEngageantes(アンガジャント)が広がった付け袖口だったり、Barbes(バルブ)が細長いレースなどの髪の装飾品であることも学べ、18世紀通になれそうな……。

入り口で入手するパンフレット(左)で紹介されている、ドレスの上腹部を飾る装飾が施されたストマッカー(右)。photogarphy: Mariko Omura
左:レースの装飾の展示の中には、つけ袖(アンガジャント)や髪飾り(バルブ)が。 右:鯨の骨を入れたコルセット。背中の紐で締め、前の紐は農婦スタイルをイメージさせるための装飾。photograrphy: Mariko Omura

展覧会では最近の傾向に習って、この展覧会でもテーマに関連する現代のアート作品も展示。18世紀が現代のアーティストたちにどのような影響を与えたかを見るのも興味深い。

展示の最後の部屋。カール・ラガーフェルドによるシャネルの2019年春夏 クチュールコレクションからビスチェ・ドレス。壁の左の写真は、ステイーヴン・マイゼルが1991年に「Allure」誌のために撮影した、コルセットをつけたリンダ・エヴァンジェリスタ。© Paris Musées, musée Cognacq-Jay – photo Nicolas Bore
左:上のビスチェ・ドレスのアップ。コニャック=ジェイ美術館で2018年に開催された展覧会『La Fabrique du luxe』で展示された18世紀の陶器の花にインスパイアされ、陶器の花に見える装飾を施した。 右:シンディー・シャーマンがポンパドール夫人に扮した写真があしらわれたベルナルドーのスープチューリンとプラトー(1990年)。photograrphy: Mariko Omura

『Révéler le féminin / Mode et Apparences au XVIIIe siècle』展
開催中~9月20日
Musée Cognacq-Jay
8, rue Elzevir
75003 Paris
開)10:00〜18:00
休)月
料)11ユーロ
https://www.museecognacqjay.paris.fr/
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大村 真理子

madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。