オペラ座のダンサー 、42歳定年後の人生。

以前は、男性は45歳、女性は40歳だった。今では男女問わず、42歳がオペラ座のダンサーたちが定年を迎える年齢である。この数年間、アニエス・ルテスチュ、イザベル・シアラヴォラ、オーレリー・デュポンといったエトワールが引退公演を行い、オペラ座を去った。つい最近、2月20日にはバンジャマン・ペッシュも......。引退後の人生は人さまざまだ。例えば、オーレリー・デュポン。オペラ座から提案されたポストを、ダンス活動を続けたいと拒否したものの、この夏からバンジャマン・ミルピエの後を受けて芸術監督に就任することが決定した。何年か前に引退したマニュエル・ルグリはウィーン、ジョゼ・マルティネスはマドリッドで、カンパニーのディレクターとして活躍中だ。アニエスはオペラ座在籍中に始めた衣装デザインを続け、またオペラ座でクラシック作品の公演がある時は、リハーサルコーチも務めている。イザベルはコンセルヴァトワールで教鞭をとりながら、本人もSNSで積極的にスケジュールを掲載しているように、週末やバカンス時期には世界各地でレッスンを開催。エトワールに限らず、引退後空席次第だがオペラ座バレエ学校の教師になるケースもある。ダンスから全く離れてしまう人もいるが、多くの場合は何かしらダンスに関わった仕事を続けているようだ。


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左:2月4日、オペラ座での記者会見より。オペラ座総裁ステファン・リスナーから次期芸術監督として紹介されたオーレリー・デュポン。右:芸術監督辞任を発表し、オーレリーに挨拶をして会見会場を去るバンジャマン・ミルピエ。photos:Mariko OMURA

 

夫婦揃ってオペラ座のエトワールだった珍しいカップル、ニコラ・ル・リッシュとクレールマリ・オスタ。彼女は2012年に、彼は2014年に引退している。ふたりは昨年、シャンゼリゼ劇場内で 振付芸術のためのアトリエLAAC(http://lelaac.fr/en/actualite/)を立ち上げた。ダンスの指導に情熱を傾けるふたりのレッスンは年齢不問でアマチュアにも開かれているが、プロを目指す生徒の中からは優秀な未来のダンサーが育っているという。彼らの活動はそれにとどまらず。オペラ座時代、バレエ作品『カリギュラ』を創作したニコラ。いまも振り付け活動を続けていて、 クレールマリとふたりで踊る1時間20分の作品『PARA-ll- ÈLES(パラレル)』が最新作だ。Mという名前でフランスでは有名な音楽家マチュー・シェディッドに音楽を依頼し、衣装は『カリギュラ』のときと同様にオリヴィエ・ベリオが担当する。2月後半に地方都市で公演が始まり、パリでは3月10、11、12日にシャンゼリゼ劇場で披露される。


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新作『PARA-ll- ÈLES』のポスター用に撮影されたポラロイド写真から。photo:Lisa Roze(www.lisaroze.com)。「Etoiles」の会場では、同じシリーズの別の写真も展示されている。

 


こうした彼らの新しい活動を紹介しつつ、ふたりのダンス人生をたどる展覧会「Etoiles」がパリのエレファント・パナムで開催中だ。3フロアを使っての展示中、バレエファンを楽しませるのは、1階のスクリーンで流される数々の過去の映像だろう。バレエ公演、学校時代、ニコラやクレールマリのインタビューなどさまざまなビデオを椅子席でじっくり鑑賞できる。中にはシルヴィ・ギエムとニコラが日本で踊った『椿姫』『白鳥の湖』も......。スクリーンの左右は、それぞれのコスチュームを展示している。2つめのフロアはフラッシュバックのオンパレードといった感じの構成だ。ふたりがまだ若かった時代から子供と一緒の写真まで、プライヴェート・アルバムから惜しみなく展示。オペラ座のそれぞれの楽屋を連想させるスペースでは、ニコラが愛用していた大きな革のソファやトランク......。ふたりのファンのためのフロアといっていいだろう。そしてその上が、上記の活動を紹介するふたりの今と未来のフロアとなっている。


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最初のフロアより。

 

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2つめのフロアより。

 

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左:最上階の展示。右:エレファント・パナムは19世紀の美しい石の建物内にある。
photos:Mariko OMURA

 

「Etoiles」展
会期:開催中~2016年5月29日
Elephant Paname
10, rue Volney
75002 Paris
開館)11:00~19:00
休館)月
入場料:9ユーロ
http://www.elephantpaname.com/

 

 

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