マリメッコ、ムーミンのテキスタイルでも活躍、鈴木マサルさんの傘展。「持ち歩くテキスタイル」
デザイン・ジャーナル 2014.04.30
自身のファブリックブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」を中心に、海外でも活躍中のテキスタイルデザイナー、鈴木マサルさん。これまでの代表的なデザインもあわせた展覧会「鈴木マサル傘展 持ち歩くテキスタイル」が5月8日より開催されます。会場はスパイラル1Fのスパイラルガーデンです。

鈴木さんデザインの新作雨傘から、こちらは「polar bear」。
鈴木さんを私に紹介くださったのはマリメッコのデザイナーとして活躍され、現在は同じくヘルシンキ市内にあるアラビアで作陶に励む石本藤雄さん、そしてテキスタイルに関わるギャラリーの皆さんでした。
偶然の出会いは必然......!? と驚かされることは日々多いのですが、北欧デザインを取材するたびに、あるいはインテリアデザインを取材しても、鈴木さんとの接点があちこちに......!
日本のテキスタイルデザイナーとしては草分け的存在である粟辻 博さんのデザイン室に所属した後、1995年に独立した鈴木さん。冒頭で触れたファブリックブランド「OTTAIPNU」は2005年の始動です。

鈴木マサルさんのテキスタイルを購入できる「OTTAIPINU」。
2010年からはマリメッコのテキスタイルデザインにも関わっています。ほかに、日本発の「ムーミン」テキスタイルシリーズ「MOOMIN TRIBUTE WORKS」も鈴木さんによるもの。ムーミンの世界観を大切に、鈴木さんのクリエーションが多いに活かされています。
「原作者のトーベ・ヤンソンになりきって、すべて手で描きおろしています」と鈴木さん。そのデザインは、トーベの姪でもあるムーミンキャラクター社のソフィア・ヤンソンさんをして、「トーベ本人が描いたもの以外では一番すてき!」と言わしめたほど。日本のムーミン製品としては初めて、ムーミン誕生の地フィンランドでも販売されているほどです。

鈴木さんがデザインしたムーミンのテキスタイルデザイン。
また、フィンランドのリネンメーカーであるラプアン・カンクリのためにデザインしたウールブランケットも大ヒット。スペインのカンペールとのプロジェクトなど、活動の場をますます広げています。
今回の展覧会は、そうした鈴木さんの「柄や色」を、傘を通して堪能できるまたとない機会。



展覧会で紹介されるのは、雨傘、日傘、折りたたみ傘。これらは雨傘のデザインです。順に「wool」「suzume」「neko」。会場では傘の販売も予定されています。
鈴木さんが「OTTAIPNU」から発表しているテキスタイルはどれも、鮮やかで伸びやかなハンドプリントが特色。「表現したいものを自由に表現したい」という本人の想いは、傘からもしっかり伝わってきます。
「使いやすいテキスタイルの柄を考えていくと、一般的には柄が小さくなって、無地になってしまうことが多いんです。でも僕は、いま表現したいものをかたちにしたいと思っています。すると、どんどん柄が大きくなっていって(笑)。それぞれに完結させたデザインを、使う人が自由にカットし、使ってくれることが、僕自身、とても楽しいんです」


折りたたみ傘のデザインから。
ディテールを見るほどに発見も多い「大きな柄」は新作の傘でも同じ。傘に仕上げられることで、さらなる魅力に包まれます。動物や植物が登場するのも、鈴木さんのデザインの特色です。
「動物のフォルムに興味を持っています。でも、可愛らしい動物を描こうとしているわけではないんですよ」。だからこそ、味のある表情、姿なのですね。たとえば昨年の傘コレクションのフクロウもナマケモノも、見るほどに気になります。


私も大好きなフクロウとナマケモノの柄。本展ではこれまでの代表作も紹介されます。
独特の温かさやユーモアにも溢れ、明るい気分にさせてくれる傘。雨の日の外出が楽しみになってきます。そう、これこそがデザインの力ですね!


日傘から「poodle」と「shimashimasaru」。色違いも。
5月10日には会場で鈴木さんのトークが予定されており、私も聞き手としてトークにご一緒します。会場の皆さんと一緒に、鈴木さんのお仕事やテキスタイルデザインの魅力をたっぷりうかがいたいなあと、今から楽しみにしているところです。



展覧会のグラフィックデザインはenamel.。テキスタイルをカットしたような3種類のデザインが楽しい。会場構成はマリメッコの店舗もデザインしている設計事務所imaの小林恭さんと小林マナさん。展示には映像デザインで活躍中のWOWも参加します。
5月8日(木)~5月18日(日)11:00~20:00
スパイラルガーデン(スパイラル1F)、入場無料
http://www.spiral.co.jp
トークイベント
「鈴木マサルが語るテキスタイルの魅力と可能性」
5月10日(土)15:00〜16:30、無料
(予約は定員となりましたがトークは会場内でお聞きいただけます)
OTTAIPNU
http://www.ottaipnu.com
Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami




