ドナルド・トランプの復活を影で画策した女性政治ストラテジスト、スージー・ワイルズとは?

Society & Business 2024.11.08

ドナルド・トランプが頼りにする「最強の政治コンサルタント」は現在67歳の共和党員の女性だ。

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プライベートジェット機「トランプ・フォース・ワン」に乗るスージー・ワイルズとドナルド・トランプ。(2023年6月10日) photography: Getty Images

ドナルド・トランプが共和党候補として復活し、再選された裏には、政治コンサルタントのスージー・ワイルズという女性の存在がある。公の場にはほとんど姿を現さず、目立たないように行動しているが、この67歳のアメリカ女性は共和党候補の「最重要アドバイザー」としての地位を確立している。ドナルド・トランプはパームビーチでの勝利演説で、彼女に賛辞を送った。「スージーとクリス(・ラチヴィタ)が成し遂げてくれた仕事に対して、いくら感謝してもしきれない」と、彼は選挙活動を仕切った2人のコンサルタントにお礼を述べるとふたりを演壇に招いた。マイクに向かって喋りたがらないスージーの姿を見て、ホワイトハウスの主になることが決まったトランプは、「スージーは目立つのを好まない。だが言わせてほしい。アイス・ベイビー、それが彼女のあだ名だが、アイス・ベイビーは控えめなんかじゃない」と紹介すると「彼女はシャイだな、シャイな彼女を見たのは初めてだけど」と続けた。

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プレッシャーで成長するタイプ

スージー・ワイルズはクリス・ラチヴィタとともに、何カ月も前から舞台裏で周到な計画を練ってきた。最終目標はドナルド・トランプが米国大統領に返り咲くこと。そのためにやるべきことはいくつもあった。そのひとつが期日前投票を呼びかけることだ。スージーは2016年と2020年の大統領選でもトランプに協力しており、毎回フロリダ州を制した実績がある。さらに選挙活動をよりプロフェッショナルなものにして、以前ほど攻撃性を薄めるための様々な提案をおこなったと伝えられている。

ドナルド・トランプの勝利により、スージー・ワイルズの戦略は見事な成功を収めた。もっとも彼女が選挙参謀を務めるのはこれが初めてではない。過去にはリック・スコット上院議員やフロリダ州知事のロン・デサンティスなど、数々の市長や知事、議員を支援してきた。「良くも悪くも、私には優れた能力があり、多様性を好み、プレッシャーで成長するタイプです」とLinkedIn(Linkedin)のプロフィール紹介に書いている。「何よりも、変化をもたらす機会を大切にしています。ホワイトハウスや国会議事堂、取締役会、市役所などでキャリアを積む過程で、政府がどのように機能し、どのように物事が成し遂げられるかを学んできました」

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NFLのスター選手の娘

スージー・ワイルズが政治に関わるようになったのは1979年のことだ。パット・サマーオール(プロアメリカンフトボールリーグの「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」の選手からスポーツキャスターに転身)の娘であるスージーは22歳のとき、父親の元チームメイトだった共和党のジャック・ケンプ下院議員のアシスタントとして政治の世界に足を踏み入れた。1年後、ロナルド・レーガンの大統領選活動に選挙プランナーとして参加する。レーガンが第40代大統領に選出されると、若いスージーは労働省に入省し、レーガンの側近のひとり、「メディアの達人」と呼ばれたマイケル・ディーバーの下で多くを学んだ。この時期には夫となるラニー・ワイルズとの出会いもあった(その後2017年に離婚)。ラニーは共和党員で、同じくレーガン政権で働いていた。結婚したふたりは1985年にジャクソンビルの近くに引っ越し、スージーは娘2人を育てるかたわら、政治や共和党に関わり続ける。当時のジャクソンビル市長であったジョン・ディレイニーの首席補佐官となり、その後ティリー・ファウラー議員の下で働き、やがて歴代のジャクソンビル市長のアドバイザーを務めた。

共和党全国委員会会長を務めたロンナ・マクダニエル委員長はCNNの取材に対し、「スージーは、男性優位の環境にあって、極めて有能でした。困難な政治環境のなかで目標を達成し、共和党候補を勝たせる手腕は、他の追随を許しません」と語っている。

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側近中の側近

スージーはいまやドナルド・トランプの側近中の側近だ。そもそもとほとんどの時間を、ニュージャージー州ベッドミンスターにあるトランプのゴルフクラブのオフィスか、トランプが所有するリゾート施設、マー・ア・ラゴ・リゾートで過ごしているようだ。トランプの周囲の人の話によれば、スージーと話すからと、トランプから電話を切られることもよくあるそうだ。8月初め、ベッドミンスターでハンガリーのヴィクトール・オルバン首相とトランプが会談した際、トランプの右隣に彼女が座っていたことも、その影響力を物語る。

「(トランプの)周りの人たちは、スージーが好きか嫌いかはともかく、彼女は問題を起こさない人物だということは認めています」と、かつてトランプ政権で高官を務めていたマイケル・カプトはCNNに語った。スージー・ワイルズが次期ホワイトハウス首席補佐官に起用されたのも当然の成り行きなのだ。

From madameFIGARO.fr

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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