職人技術に、新しい市場を! 鋳造機械メーカーを継ぐ3代目姉妹の挑戦。【BWAピッチコンテスト2026受賞者インタビュー】

Society & Business

「思いを言葉に」をテーマにしたフィガロジャポンBWAピッチコンテスト。7月22日、有楽町のTokyo Innovation Base(TIB)にて10組のファイナリストとゲストスピーカーがその思いを語った。その中からドリームアワード、プロフェッショナルアワード、オーディエンスアワード受賞者に選ばれた、3人の女性起業家の姿勢に触れる。



Professional Award

社会の課題解決に繋がり、今後の事業の広がりが期待できるビジネス。

吉田舞衣(右)・優衣(左)/Mai Yoshida Yui Yoshida
KOROMO STUDIO

国内外のジュエリー製作を支えてきた老舗鋳造機械メーカー、吉田キャスト工業。3代目である吉田舞衣(右)・優衣(左)姉妹はそれぞれブライダル会社、フレンチレストランでの勤務経験を持つ。

「鋳造技術で社会をより良くしたい」と吉田姉妹。

「鋳造を生業にする職人は、技術よりも安さや納期が優先されてしまいます。そんな現状を打破するためには従来のクライアントだけでなく、異業種と協業することが必要だと感じました」と優衣。フランス料理のシェフの世界観を表現するため個性的なうつわを提案したり、廃棄される花を鋳造して商品化し、売り上げの一部をフラワーロス削減に還元したり、外国人にも人気の地元の名産、盆栽を鋳造技術により海外輸出が可能な金属オブジェにしたりと、姉妹のアイデアは新たな需要を広げつつある。

「当初、職人たちからは反対されましたが、私たちが異業種にいたからこそ知ることができた、エンドユーザーが求める価値について説得し、考えの溝を埋められたと思っています」と舞衣。SNS動画を駆使したPRも功を奏し、ジュエリー業界以外からの問い合わせもあるという。

上:繊細なディテールもそのまま再現した金属の花。売り上げの一部を寄付することで、フラワーロスという社会課題の解決を目指す。 右上:鋳造技術で作った金属の煮干し。職人が遊びで作っていたものを見よう見真似で製作、名刺代わりに配り、多様なコラボが生まれた。

「業界の壁を越え、失われつつある価値を再生することで、職人の技は次世代へと受け継がれ、生き続けるはずです」(舞衣)

BWAピッチコンテスト2029 アーカイブ動画 *吉田舞衣さん、優衣さんのピッチは01:45:20〜。

Business with Attitude(BWA)とは?

フィガロジャポンが大切にしている自分の感性や美学で何げない日常を楽しむ「アールドゥヴィーヴル」という価値観をもとに、日本の女性の働き方やライフスタイルをもっと多彩に豊かにしたいと、2021年から始まったプロジェクト。3つの活動を軸に展開。

⚫︎ BWA Award
「こうあるべき」に囚われない、自分らしい働き方、ライフスタイルを通して、社会に良いインパクトを与える女性を有識者審査員とフィガロジャポン編集部が表彰。2026年も、多彩なジャンルで活躍する女性たちのなかから次世代のロールモデルを選出し、27年1月号(26年11月20日発売)にて発表予定。

⚫︎ Seminar & Workshop
毎月1回開かれる定例オンラインセミナーでは、より良い明日を目指して多様な働き方を実践するロールモデルの活動や、豊かに働くためのティップを紹介。登壇者と視聴者がともに考え、学び合い、応援し合えるコミュニティの構築を目指す。フィガロワインクラブと連携したイベントも開催予定。

⚫︎ BWA Pitch Contest
2022年からスタートしたビジネスコンテストで、日常の課題にアプローチし、美しく豊かな暮らしと社会をもたらすビジネスアイデアを募集。事業規模ではなく、各人の起業の物語にフォーカス。受賞者のビジネスの発信をフィガロジャポンがサポート。25年には6組のファイナリストから3組が受賞。

  • photography: Aya Kawachi
  • makeup: Team Athlete Beauty
  • text: Junko Kubodera

*「フィガロジャポン」2026年10月号より抜粋