オペラ界を彩る、新世代の女性オペラ歌手5人。【アール ドゥ ヴィーヴルへの招待】

Paris

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.13
モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきたフィガロジャポン。
アールドゥヴィーヴルの結晶であるフランスの美学を、さまざまな視点からお届け。

卓越した才能を持ちながらも決して傲慢ではない新世代の歌姫たちは、オペラ界に新風をもたらしている。クラシックなレパートリーに情熱を注ぎながら、モダンな感性で舞台を彩り、観客と共鳴し、役柄を超えて感動を生み出す。そんな“リリック世代”と呼ばれる5人に注目。

ジュリー・フックス、レア・デザンドレ、ニコル・カー、エヴ=モード・ユボー、サビーヌ・ドゥヴィエル。声はメゾソプラノ、ソプラノ、コロラトゥーラソプラノ。この5人は、オペラ歌手として年齢的に最盛期を迎えている華やかな存在だ。

彼女たちの共通点は、ナタリー・デセイに憧れて育ったということ。でも、気まぐれなディーヴァはいまや存在しない。リハーサルに遅刻したり途中で帰ったりするなんてありえないこと。マリア・カラスやモンセラート・カバリェの時代ではないのだ。彼女たちの望みはただ、専用の楽屋で練習したり寛いだりできること、声に悪影響を与えるものを拒否できること、それだけだ。大事なのは最高のパフォーマンスを見せることなのだから。

現代は機転が利いて機敏であること、時にはすぐに代役ができることが求められる時代だ。だがそれは単に従順であることとは違う。スターであることよりも芸術と生活を両立させ、自分らしさを大切にし、“居心地のいい状態”を彼女たちは目指す。ジュリーは南フランス・ガール県で音楽フェスティバル「Nos Jours Heureux(私たちの幸せな日々)」を創設して自ら運営。レアはカルティエとコラボレートしている。エヴ=モードはフランスのランス市の親善大使を務める。彼女たちの多くが母親でもあるから、子育てと自分のキャリア、すなわちソリストとして世界中を飛び回る状態をどう両立させるかが彼女たちにとっての優先事項なのだ。

ミラノ・スカラ座、ザルツブルク、ウィーンなど世界中の舞台で成功を収めながらも、彼女たちの“ホーム”はパリ・オペラ座バスティーユ。偶然にも昨シーズンは、5人全員がパリ国立オペラや欧州の名だたる歌劇場の公演に出演した。

1. Julie Fuchs/ジュリー・フックス(ソプラノ歌手)

躍動感にあふれた、肉感的な歌声

今年3月11日までアン・デア・ウィーン劇場で上演されていた、ガスマン『オペラ・セリア』©Theater an der Wien _ Katharina Schiffl

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2. Lea Desandre/レア・デザンドレ(メゾソプラノ歌手)

情熱的に、伸びやかでふくよかに。

2025年12月27日までパリ・オペラ座ガルニエで上演されていた、モーツァルトの『フィガロの結婚』©Franck Ferville ‒ OnP

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3. Nicole Car/ニコル・カー(ソプラノ歌手)

情感が込もった、しなやかな高音。

2025年10月14日までパリのオペラ座バスティーユで上演されていたプッチーニの『ラ・ボエーム』©Monika Rittershaus ‒ OnP

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4. Éve-Maud Hubeaux/エヴ=モード・ユボー(メゾソプラノ歌手)

低音から高音まで響く、異彩の主。

2025年11月30日までパリのオペラ座バスティーユで上演されていたワーグナーの『ワルキューレ』©Herwig Prammer ‒ OnP

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5. Sabine Devieilhe/サヴィーヌ・ドゥビエル(ソプラノ歌手)

強さも弱さも共存させる、信念の人。

2025年12月27日までパリ・オペラ座ガルニエで上演されていた、モーツァルトの『フィガロの結婚』©Franck Ferville ‒ OnP ©Franck Ferville ‒ OnP

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  • photography: Laura Stevens (Madame Figaro)
  • text: Laetitia Cénac (Madame Figaro)

*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋