「使い古された手口か、それとも真の挑発?」マドンナ新曲の「過激すぎる」MV、話題を呼ぶ。

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ポップ界の女王マドンナが、新たなミュージックビデオを公開した。その中で彼女は、ナイトクラブのトイレで性行為を思わせるシーンを演じている。これは67歳となったいまも話題の中心であり続け、新作アルバムの発売を前に人々の注目を集めるための戦略なのだろうか?

2026年6月4日、ニューヨークのタイムズスクエアでサプライズライブを行ったマドンナ。photography: Reuters / Aflo

マドンナは再び世間の注目を集めるためなら、どんなことでもするつもりなのだろうか。ここ数年は比較的目立った活動を控えていた“ポップ界の女王”だが、彼女が最も得意とする挑発的な手法を武器に、華々しいカムバックを果たしている。40年以上にわたるキャリアのなかで、数々のヒット曲とスキャンダルを生み出してきたマドンナは、挑発と品位の境界線を巧みに行き来しながら、非常に扇情的なポーズをとる自身の姿を映した動画を次々と公開している。プライド月間に合わせて、彼女は最近、自宅のバスルームのタイル床に横たわり、深く胸元が開いたスリップドレス姿でシガリロをくゆらせる様子を撮影した動画を投稿した。この動画は、インスタグラムで約2000万人のフォロワーを大いに喜ばせた。

彼女の最新の話題作は、7月3日に発売予定のニューアルバム『Confessions II』をプロモーションするために制作された約10分間の映像だ。その中でマドンナは、「I Feel So Free」や「Love Sensation」を含むアルバム冒頭6曲を披露。ハイヒール姿でテーブルの上をひとりで踊ったり、ニューヨークのレイヴパーティーのダンスフロアでパフォーマンスを繰り広げたりしている。その後、ターコイズブルーのコルセットとニーハイブーツ姿で再び登場した彼女は、ナイトクラブのトイレで30代ほどの男性とふたりきりになる。カメラは、マドンナがその男性の胸元から太ももへと手を滑らせながら、ゆっくりとひざまずいていく様子を追う。隣の個室からは若い女性がその光景を目撃しており、驚きと戸惑いを隠せない表情を浮かべている。

トイレから出てきたマドンナは、ケイト・モスとふたりきりになり、鏡の前で一緒に体を揺らす。続いて登場するのは、イギリス人俳優のベネディクト・カンバーバッチ。彼もまた、この短編映像の出演者のひとりで、作品にはマドンナが「自らの後継者」と言うポップスターのサブリナ・カーペンターや、映画でマドンナ役を演じることが決まっている女優のジュリア・ガーナーなど、数多くのセレブが顔をそろえている。さらに、長女のローデス・レオンも参加しており、このプロジェクトがマドンナにとって特別な意味を持つことがうかがえる。まばゆい照明、絶え間なく光るフラッシュ、そして半裸に近い姿で熱狂的に踊る人々。この映像は、クィアカルチャーと退廃的で挑発的な美学を軸に自らの神話を築いてきたマドンナの世界観そのものを映し出している。では、この作品はこれまで以上に挑発的なのだろうか。そうとも言い切れない。なぜなら、それはマドンナが長年貫いてきた表現の延長線上にあるからだ。

挑発のアイコン

1980年代、マドンナのキャリアは爆発的な飛躍を遂げた。自身のセクシュアリティを隠さず、欲望を堂々と表現したからだ。当時、女性ポップスターがそのような姿勢を公然と示すことは極めて珍しかった。彼女は、誰も越えられないと思われていた境界線を次々と押し広げ、楽曲やパフォーマンスを通じて数々のタブーを打ち破りながら、世界的なスターへと上り詰めた。1984年、当時26歳だったルイーズ・チッコーネ(マドンナの本名)は、MTVビデオ・ミュージック・アワードのステージに花嫁姿で登場。腰には「Boy Toy(ボーイ・トイ)」と記されたベルトを巻き、「ライク・ア・ヴァージン」を歌いながら自慰行為を思わせるパフォーマンスを披露し、保守的なアメリカ社会に衝撃を与えた。さらに5年後の1989年には、ヒット曲「ライク・ア・プレイヤー」のミュージックビデオがバチカンの怒りを買う。映像の中で彼女は黒人のキリスト像に触れ、クー・クラックス・クラン(KKK)の儀式を連想させる燃える十字架の前で官能的に踊った。この映像に激怒した教皇ヨハネ・パウロ2世は、楽曲のボイコットを呼びかけた。騒動はさらに拡大し、ペプシはマドンナとの500万ドル規模の契約を打ち切る事態となった。

こうした数々の瞬間はポップカルチャーに強い印象を残しただけでなく、性的・宗教的な規範に挑み続ける“挑発のアイコン”としてのマドンナの伝説を形づくってきた。反骨精神にあふれる彼女の本質は今も変わっていない。しかし、その挑発的な表現は、かつてほど過激で常識を覆すものには映らなくなっている。おそらくそれは時代が変わり、身体の表現や女性の欲望をめぐる価値観が大きく進化したからだろう。

それでも、マドンナの新しい短編映像はすでにSNSで大きな話題となっている。ただし、その理由は露骨な性的シーンではない。67歳の彼女がそうした表現を行っていることに対し、「年を取りすぎている」と批判する声が上がっているためだ。案の定、彼女を批判する人々(その多くは男性)は、「その年齢にしてはセクシーすぎる」「露出が多すぎる」と非難している。

年齢差別との闘い

一部のネットユーザーは、マドンナがこのような演出をするのは、「注目を集め続けるためであり、音楽業界でより大きく取り上げられている若い女性シンガーたちに対抗しようとしているからだ」と指摘している。しかし、それに対して長年のファンのひとりはXでこう反論する。「彼女はこれまでにやったことのないことをしているわけではありません。人々はただ彼女の年齢を理由に批判しているだけ。でも、彼女の才能は今もまったく衰えていません。」そのファンにとって、マドンナは一度も第一線から脱落したことなどなく、むしろ今なお時代を代表する最大級のスターの一人であり続けている。また、彼女と同様に、多くのファンがマドンナの「音楽的な天才性」を称賛している。

英紙『デイリー・メール』によると、あるファンはXにこう熱弁した。「2分程度の楽曲やスマホで撮影された15秒の素人動画があふれる時代に、マドンナは芸術性と物語性に満ちた10分間のシネマティックな音楽体験を私たちに届けてくれる。」

この新しいミュージックビデオでマドンナは、また別の形で既成概念に挑戦している。年齢を重ねた女性はこうあるべきだという世間の決めつけや批判に屈することなく、自分の好きな服を着て、自分の好きなように踊り続けるという揺るぎない姿勢を示しているのだ。2023年、マドンナはすでにインスタグラムに投稿した熱のこもったメッセージの中で、年齢差別と女性蔑視を強く非難していた。「私たちは、45歳を超えた女性を称賛することを拒み、彼女たちが意志を持ち、懸命に働き、冒険心を持ち続けると、それを罰しようとする世界に生きています。」美容医療を利用していることへの批判を受けた後、彼女はそう憤りをあらわにした。さらに、自分はこれからも長年にわたって「挑発的な存在」であり続け、「人生を楽しむために、常に家父長制の限界を押し広げていく」と宣言した。そして、その約束を彼女は今も変わることなく守り続けている。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Solene Delinger (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi