「手には釘が打たれている」アーミー・ハマー、ハリウッドからの追放を“磔刑”になぞらえる異例の告白インタビュー。

Culture

2021年に性的暴行疑惑が持ち上がり、さらに暴力的かつカニバリズムを思わせるメッセージが流出したことで、ハリウッドの表舞台から姿を消していたアメリカ人俳優アーミー・ハマーが、「ハリウッド・リポーター」誌のインタビューで沈黙を破った。

『君の名前で僕を呼んで』などの作品でアメリカ映画界の期待の若手俳優として長く注目を集めてきたアーミー・ハマーだが、2021年にそのキャリアは大きく揺らぐことになった。同年、複数の女性が彼の虐待的な行為を告発。また、過激な性的嗜好やカニバリズムへの関心をうかがわせるプライベートメッセージのスクリーンショットがSNS上で拡散された。さらに元交際相手の女性は、2017年にハマーから性的暴行を受けたと訴えた。一方で、ハマー本人はこれらの疑惑を一貫して否定している。2023年には、ロサンゼルス郡地方検事局が、合理的な疑いを超えて有罪を立証するのに十分な証拠がないとして、刑事訴追を行わないと発表した。

今回のインタビューは、スキャンダル以降のアーミー・ハマーによる発言のなかでも、最も踏み込んだもののひとつだ。39歳のアメリカ人俳優であるハマーは、6月16日に「ハリウッド・リポーター」誌に掲載されたロングインタビューで、自身の転落、人生を大きく揺るがした数々の疑惑、そしてハリウッドから離れて過ごした年月について率直に語った。近年、ハマーはポッドキャストや小規模メディアでのインタビューなどを通じてたびたび公の場で発言してきた。しかし、ハリウッドを代表する業界誌「ハリウッド・リポーター」との今回の対談は、パブリックイメージの回復を目指す取り組みにおける新たな節目となるものだ。また、再び表舞台への復帰を果たしたいという彼の強い意思を示す機会ともなっている。

このインタビューのなかで、アーミー・ハマーは、自身に向けられた疑惑が公になった際の父マイケル・ハマーの反応についても語っている。「父は激怒していました。何人かに電話をかけて、公の場で反論したいと考えていたんです」とハマーは振り返る。しかし、彼自身は別の道を選んだという。「私は父にこう言いました。『聞いてほしい。私はもう十字架にかけられているんだ。手には釘が打たれている。私たちが何をしようと、その十字架から降りることはできない』と。」この発言からは、世論がすでに形成された状況のなかで、自らの力では流れを変えられないと感じていた当時の心境がうかがえる。当時、ハマーはメディアの騒動から距離を置くため、ケイマン諸島で静かに暮らしていた。

転落を受け入れ、再出発するために

アーミー・ハマーは、自身についてのコメントや批判を読み続けることに多くの時間を費やし、執着ともいえる時期を過ごしていたと説明した。その後、彼は「もはや現実とは言い難い世界」と表現するものから距離を置くことを決意したという。「事態を好転させるために、私が何を言ったとしても意味はなかったと思います。私は自分自身、子どもたち、健康、そして自己成長に集中することを選びました」と彼は語る。こうした内省の過程を通じて、彼はこの状況における自らの責任の一端を認めるようになった。一方で、自身に向けられている最も深刻な疑惑については、現在も否定し続けている。

「私は自分で問題を招いたのです。これは偶然、自分の身に降りかかった出来事ではありません」と俳優は語った。「人々から非難されているようなことはしていません。しかし、私は危険な人物たちを自らの周囲に受け入れ、その結果、身近な人たちを傷つけてしまいました。」また、アーミー・ハマーは、スキャンダルが表面化する以前から深刻な心の不調を抱えていたことも認めている。「心身ともに健全な状態の人間なら、当時の私のような振る舞いはしないでしょう。」彼はこのように振り返り、自身の過去の行動の背景には精神的に苦しい状態があったとの認識を示した。

数年間にわたる孤立した生活を経て、アーミー・ハマーは2024年に再びロサンゼルスへ戻ってきたと語っている。俳優によれば、その後およそ1年半にわたり、仕事のオファーはまったくなかったという。しかし、ある1通のメールが状況を一変させた。挑発的な作風で知られ、辛辣な批評を受けながらも低予算映画の数々をカルト的人気作品へと押し上げてきたドイツ人映画監督のウーヴェ・ボルが、『Citizen Vigilante(原題)』という作品への出演をオファーしたのだ。この提案は、彼にとって5年ぶりとなる仕事の機会だった。「思わず涙がこぼれました」と彼は米誌「ハリウッド・リポーター」に明かしている。そして、率直な言葉でこう続けた。「たとえキャットフードのCMだったとしても、喜んで引き受けていたでしょう。とにかく、もう一度仕事がしたかったんです。」

スキャンダルが表面化してから約5年。アーミー・ハマーはいま、過去を乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとしている。彼はハリウッドへの「復帰を果たしたい」と語っている。映画界での将来がどうなるかは依然として不透明だが、映画界での将来がどうなるかは依然として不透明だが、彼はかつての奔放な生き方から決別し、新たな人生を歩んでいきたいと考えているという。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Chloé Multon
  • translation: Hanae Yamaguchi