ディオールのPRマネージャー マチルド・ファヴィエ、恋人と交通事故で死去。ふたりの棺が並んだ、涙の葬儀。
ブリジット・マクロン、カーラ・ブルーニとニコラ・サルコジ、カトリーヌ・ドヌーヴ、そしてクラウディア・シファー……。8月31日(月)、パリ社交界の名だたる人々が、8月17日に亡くなったディオールの広報ディレクター、マチルド・ファヴィエに最後の別れを告げた。マチルド・ファヴィエらしい、深い祈りと精神性に包まれたセレモニーとなった。

午後13時30分。サン=シュルピス教会の前では、何人かの見物人が、カメラマンたちと並んで、警備用の柵の後ろに集まり始めている。気まぐれな天候のなか、太陽が顔をのぞかせ、太陽のように明るい存在感を放ったファッション界の大物、その葬儀に少しばかりの光をもたらしていた。8月31日(月)、マチルド・ファヴィエの葬儀が、パリ6区にあるサン=シュルピス教会で執り行われた。葬儀は、マチルド・ファヴィエのパートナーだったプロデューサー、ニコラ・アルトマイヤーの葬儀から数時間後に執り行われた。彼の葬儀は同じ日の午前中、サン=ジェルマン=デ=プレ教会で行われていた。ふたりは8月17日(月)、ドゥー=セーヴル県のトゥアールとパルトネーの間に位置するエールヴォーで、県道988号線を走行中に起きた激しい交通事故に遭い、亡くなった。
黒い服に身を包んだ多くの著名人が、ディオールの広報ディレクターを務め、同メゾンのVIP対応を一手に担う「大物ゲスト担当」として、14年にわたり世界中のスターたちを迎え、衣装を用意してきた彼女に最後の別れを告げるために集まった。教会の前では、家族が母親の親しい人々を迎え入れた。なかでも、ロベルト・アゴスティネッリとの間に生まれた子どもたち、カルロとエロイーズの姿があった。また、彼女の姉妹であるヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ(ディオール ジュエリーのアーティスティック・ディレクター)とポーリーヌ・ファヴィエ=エナン(ブランド「ブルーム・パリ」のディレクター)も加わった。
マチルド・ファヴィエの葬儀に参列した著名人たち
パリ社交界で欠かすことのできない存在だったマチルド・ファヴィエには、親しい友人として多くの著名人や、ファッション界を代表するクリエイターたちがいた。そのひとりが、現在プッチのアーティスティック・ディレクターを務めるカミーユ・ミセリだ。彼女とは幼い頃からの大親友で、パリ16区のリュベック校で同級生として出会った間柄だ。そのほかにも、クリスチャン・ルブタン、ファリダ・ケルファ、そして現在ディオールのアーティスティック・ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンら、名だたる人物たちと親交があった。同じ学校には、親友のカーラ・ブルーニも在籍していた。カーラはニコラ・サルコジ元大統領とともに、またセシリア・アティアスも参列。マチルドは当時プラダのコミュニケーション・ディレクターを務めており、2007年、セシリア・アティアスが元夫のサルコジ氏の大統領就任式で大胆なプラダのドレスを選んだ際には、彼女のスタイリングをサポートしていた。
ブリジット・マクロン、アルノー家、スザンヌ・リンドン、カミーユ・コッタン、サンドリーヌ・キベルラン、クラウディア・シファー、オードレ・クレスポ=マラ、グザヴィエ・ニエル、ギヨーム・ガリエンヌ、アレックス・ルッツ、ローラ・スメットらも、サン=シュルピス教会で故人の家族に加わった。マチルド・ファヴィエの白い柳細工の棺(ブリジット・バルドーの棺も同じタイプ)が教会内へと運び込まれた。14時30分。鐘が鳴り、葬儀の始まりを告げると、空は次第に暗くなっていった。カトリーヌ・ドヌーヴは、ちょうど間に合うように到着し、扉が閉められる直前に教会へ入った。同じく、両シチリア王家のマリア・カロリーナ王女、マリア・キアラ王女、そしてふたりの母親であるカミラ妃も姿を見せた。

幸せの象徴
葬儀は約2時間にわたって行われた。ジャーナリストで作家、そしてマチルド・ファヴィエの友人だったソフィー・フォンタネルは、彼女の恐れ知らずな性格を振り返りながら、「彼女はせっかちな人だった」と愛情を込めて語った。「彼女そのものが人生だった。本当に太陽のような人だった」と付け加えた。この胸を打つひとときには、故人の姉妹や子どもたちも言葉を寄せ、母親について、「自分を愛してほしいとは思わない人だったけれど、誰もが互いに愛し合うことを望んでいた」と語った。厳かで、胸を打つ、深い精神性に満ちたミサ。その最後は、この上なくロマンティックな演出で締めくくられ、参列者全員の目に涙を浮かべさせた。というのも、16時になると、サン=シュルピス教会の扉が再び開かれ、今度はニコラ・アルトマイヤーの棺が迎え入れられたのだ。ふたりが永遠にともにいられるよう、参列者の前で合同の追悼が行われた。偉大なオペラ歌手プリティ・イェンデが歌う「アヴェ・マリア」が、教会内に響き渡る。胸を締めつける、あまりにも感動的な瞬間だった。
「これほどロマンティックな形で行われたことはありません。最後には、愛する人の遺体が彼女のもとへやって来ました。まさに純粋な詩のようでした。彼女はこれだけの追悼を受けるにふさわしい人です」そう語ったのは、教会を出たところで姿を見せた、イヴ・サンローランの偉大なミューズ、ベティ・カトルーだった。「彼女は本当に稀有な女性でした。幸せの象徴でした。いつも幸せで、いつも前向きだった。誰のことも傷つけないようにしていました。みんなを救いたい、そしてみんなに幸せになってほしいと思っていた。魔法のような魅力を持った人でした」そう締めくくった彼女は、深い感動に包まれていた。
やがて教会の扉が再び開かれると、そこにはふたつの棺が姿を現した。マチルドの棺は、白とピンクの花束で覆われていた。参列者たちはその場を離れることなく、教会の前の広場に長い間とどまり、ひとつになっていた。そして、拍手が沸き起こった。ファッションと映画の世界を代表するこのカップルに敬意を表するための拍手だった。そのあまりにも悲劇的な死は、これから長く人々の心に残り続けることだろう。
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Leonie Dutrievoz and Marion Dupuis (madame.lefigaro.fr)
- translation: Hanae Yamaguchi