大聖堂の裏、「ル・バジリック」はシックでおいしい7区ならではのブラッスリー。
高級住宅地の7区。聖クロチルド大聖堂が聳え、緑あり広場ありという静かな一角にレストランのLe Basilic(ル・バジリック)が初夏にオープンした。この名前のレストランはここに1980年代からあるけれど、フォンテーヌ・ドゥ・マルスやカフェ・アルマといったパリ7区で雰囲気も味も安心できる店と同じブードン家という新しいオーナーによって魅力的なルネッサンスを遂げたのだ。

仕掛け人はパリにおけるブードン家三代目の若きジャンヌ。パリの多くのオーヴェルニュ出身のファミリー同様に、彼女の祖父がオーヴェルニュからパリに来てカフェを開いたことから始まるファミリー・ストーリーを秘めたレストランなのだ。20世紀初頭のパリには仕事を求めてオーヴェルニュ人が集まってきていた。働き者の彼らは水や石炭といった重いものをアパルトマンの上階に暮らす住民たちに運ぶ労役を物ともせず……やがて倉庫を活用してカフェを営業し、徐々に飲食店営業の分野で成功を果たして行ったという歴史がある。オテル・コストやカフェ・コストでお馴染みのコスト家もオーヴェルニュ出身。故玉村豊男氏の名著『パリのカフェをつくった人々』にその辺りが詳しく書かれているので、手に取ってみてはどうだろうか。

ル・バジリックが生まれたのは80年代ながら、創設者はアール・デコ様式で内装をまとめた。ジャンヌ・ブードンは店に宿る魂を守りつつ新装。しっかりとした柱、ランプ、床のタイル、ボワズリィ……アール・デコのモダニティ、そして温かみのある雰囲気は変わらず。大聖堂の裏手の緑に面した側のヴェランダ席の快適さは一段とアップ。またいまの時代にふさわしく食事も取れるバー・カウンターが新たに設けられている。


シェフのニコラ・ストレによるメニューはフレンチ・ブルジョワ料理をベースに、そこに現代性を加えてツイストしている。サーモン、牛フィレ肉、仔羊モモ肉といったクラシックな素材が的確な調理法で、軽く味の良いソースとともに、見た目も美しくテーブルに登場。前菜はラングスティーヌのカルパッチョ、モツァレラ×ナスのキャビア×ピーマンのコンフィ、赤マグロのタルタル……と、シンプルなクリエイションが味わえる。チーズは7区の住民たちの御用達とも言えるグルネル通りのBarthérémyから。シェフ・パティシエのフランク・ペルティエによるデザートは、クレーム・ブリュレ、バニラクリームのシュー×シャーベットなどどれも繊細で甘さ控えめだ。




お腹を満たすというだけではなく、レストランで食事をする時間もパリの思い出にしたい時は、7区の静けさが魅力の場所にあるル・バジリックへ。ランチなら、食後に大聖堂の向かいの19世紀半ばに作られたサミュエル・ルソー辻公園で憩いのひと時を過ごして見るのもいいだろう。中には19世紀後半に大聖堂のオルガン奏者だった作曲家セザール・フランクの記念碑がある。

Le Basilic
2, rue Casimir-Perrier
75007 Paris
営)12:00〜14:30、19:00〜22:30
休)日、月
https://le-basilic.paris/
@lebasilicparis