大村真理子の今週のPARIS
「モンテーニュ・マーケット」はその名前からも分かるように、モンテーニュ通りにある。世界中のインなブランドをセレクトしているので、フランスだけでなく近隣国の女性たちからも注目されている。この店ではメゾン・ミッシェルの帽子が入手できるので、とても、うれしい。春夏物が揃ったところである。のぞいてみようか。

メゾン・ミッシェルの春夏コレクションより。メラニーと名づけられたカンカン帽。プレス用資料から。イラストはCedric Rivrain。
ミッシェルというのは帽子業界では老舗中の老舗というアトリエで、開業は1936年に遡る。オートクチュールの帽子やパリジェンヌのオーダー帽にみせる職人仕事の確かさで勢いよくやってきたものの、時代とともに仕事の量は先細るばかり……。
そこへシャネルが登場する。オートクチュールを支える職人技術を護り、未来に向かってより発展させようという意図のもと、21世紀の声を聞くや、帽子のミッシェル、靴のマサロ、羽とカメリアのルマリエ、アクセサリーのデリュ、そして刺繍のルサージュという5つのアトリエを傘下に収めたのだ。その後、今に至るまでクチュール・ジュエリーのゴッサンス、ファブリック・フローラルのギエが仲間に加わっている。
この7つのアトリエの卓越した職人技は、シャネルのメゾンだけが独占するのではない。どのアトリエも他のクチュールメゾンやプレタポルテの仕事を継続している。そしてミッシェルのように、1つのブランドとしてコレクションを発表するようになったアトリエもあるのだ。デザインはシャネルでカール・ラガーフェルドのアシスタントを務めるレティシア・クラエに任された。彼女は帽子だけでなく、ヘッドアクセサリーもこのブランドで多数デザインし、キュートでモダーンなセンスを発揮している。
シャネルに話を戻そう。
点数の極めて限られたプレタポルテ”メティエダール”コレクションが毎年発表されるが、これこそが傘下に収めた伝統的技術を持つアトリエの仕事をフルに活用したものである。例えばミッシェルが帽子をつくり、そこにルサージュが刺繍を施す、といった具合に。初回は2002年、パリのカンボン通りのクチュールサロンにて。これは「サテライト・ラブ」と題されていた。その後、NY、東京・・・と都市をテーマにシャネルの解釈をみせる方法でコレクションは続けられ、昨年末の最新コレクションは上海でショーが開催された。ココ・シャネル自身は上海に行ったことがないが、もしも1930年代に彼女が……、という発想がデザインベースである。

シャネルのアパルトマンの入口。コロマンデルの屏風に似合うパリ・上海コレクション。

ブルーのスーツとアパルトマンの青い壺が偶然にも調和。
今回、ゴッサンスとギエを除く5つのアトリエが、素晴らしく繊細な職人仕事をしている。シルエットはチャイナドレス、色は赤やアーミーグリーン、袖のフォルムはパゴダスリーブというように、中国を意識。中華料理のケータリング・ボックスの型に似たバッグからはカールの遊び心がのぞける。そして10月に発表した春夏プレタと同様、ここにも小さなスマートフォーン用のバッグが。モダーニティを大切にするカールとしてはデザインせずにはいられないのだろう。このコレクションのパリでの内覧会はカンボン通りのシャネルの建物内にある、ココのアパルトマンにて行われた。彼女が所有していたシャンデリア、ブロンズの置物、そして中国のコロマンデルの屏風が今も飾られていて、このパリ・上海コレクションは部屋の雰囲気に絶妙にマッチ。

帽子のフォルムにも、中国をとりいれて。
このコレクションのブティックでの販売は、日本も含め、6月から。オートクチュールのドレスを店頭で手にとることはできないので、メティエ・ダール・コレクションは買わずとも、見るだけでも価値がある。

ミリタリー・グリーンのツイードがきれい。
31、rue Cambon,
75001 PARIS
tel 01 42 86 28 00
営) 10時~19時
休) 日・祝
メゾン・ミッシェル(モンターニュ・マーケット内)
57、avenue Montaigne,
75008 PARIS
tel 01 42 56 58 58
営) 10時30分~19時
休) 日・祝
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/travel/post-373.html