無声映画を生演奏で楽しむシネコンサート。

最近、ジワジワと再び注目度が高まっている無声映画。その新しい楽しみ方を提案する「ビヨンド・シネマ」が、2015年に開催された東北復興支援のための『笑う男』上映以来、この秋、再び日本へ帰ってくる。

10月23日（水）から30日（水）の間に、東京（2会場）、奈良市、坂井市（福井県）、高松市、盛岡市で開催される、シネコンサート「ビヨンド・シネマ」では、1920年代に制作された無声映画の名作『笑う男』と『オペラ座の怪人』を、フランス八重奏団の生演奏とともに上映。今回上映される無声映画『笑う男』は、長く「幻の名作」と言われていたが、1997年に70年ぶりに復元。1998年のカンヌ国際映画祭監督週間のオープニングにおいて、カナダの作曲家ガブリエル・ティボドーによるオリジナル楽曲とフランス八重奏団の演奏とともに上映され、大成功を収め、フランス八重奏団のシネコンサートの代表作品と言える。また、ティボドーは、2001年に無声映画『オペラ座の怪人』のためのオリジナル楽曲も作曲。今回の上映では、ヒロインのクリスティーナによる歌唱シーンで、藤原歌劇団団員で多方面で活躍する佐藤亜希子がスペシャルゲストとして参加するのも見どころだ。「映像と音楽がシンクロナイズした独自の芸術」を、ぜひ実際に体感して。

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『笑う男』は、ドイツ表現派映画監督のパウル・レニがアメリカに渡り、1928年に制作した無声映画。原作はヴィクトル・ユゴーの同名長編小説。17世紀イギリスを舞台に、つねに作り笑いを浮かべる顔にされてしまった貴族の息子の波乱万丈の半生が描かれている。主人公を演じるのは『カサブランカ』でドイツ軍将校を演じたコンファート・ライト。ヒロイン、デアをメアリー・フィルビンが演じている。（1928年/アメリカ映画/サイレント・日本語字幕/115分）

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映画やミュージカルでいまなお世界で愛されている名作だが、今回上映されるのは、ガストン・ルルーの同名小説で描かれた怪奇な世界を忠実に表現した無声映画版。監督はルパート・ジュリアン。無声映画時代の名優・怪奇スター、ロン・チェイニーの代表作。『笑う男』でヒロインを演じたメアリー・フィルビンが、本作のヒロイン、クリスティーナ役で登場。（1925年/アメリカ映画/サイレント・日本語字幕/90分）

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フランス八重奏団は、クラリネット奏者ジャン・ルイ・サジョにより、1979年に設立された。18世紀から現代におよぶ膨大な楽曲のレパートリーをもち、世界各地で演奏を行なっている。また、無声映画の再興を目的に、フランス八重奏団のために特別に作曲された曲を、カンヌ映画祭、ボローニャ映画祭などで演奏し、高く評価されている。第一ヴァイオリンを務めるのは、東京都出身の長沼由里子。