東南アジアの闇と闘う日本人女性の姿を描く映画『レディ・ノワール』

Culture 2026.03.20

編集KIM

観光客を惹きつけてやまない東南アジア。タイやカンボジアは日本からの距離も近く、安近短の手軽な旅先として男女問わず人気の旅行地だ。そんなカンボジアを舞台に、日本人の姉妹がアジアの闇の世界に巻き込まれ奮闘する姿を描いたのが『レディ・ノワール』だ。

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普通の生活を送る女性・紗希がカンボジアで犯罪に巻き込まれる。

姉妹でアジアを旅する。旅費もちゃんと考えて贅沢しすぎずに楽しもうと案を練った旅だ。
姉妹がそぞろ歩く市場の風景が熱を帯びている。鮮やかな果物や、屋台ごはんのおいしそうな風情、大らかな振る舞いをしてくれる暑い国の人々。

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紗希を演じるのはTX時代劇「逃亡者 おりん」シリーズで主演した青山倫子。

でもそこには麻薬に関わる日本人の男がいて、妹・詩織はふらりと闇の世界に惹かれてしまうが、姉の紗希は必死でそれを止める。性格もタイプもまったく逆方向の姉妹は、まじめな高校教師の姉、何かと軌道を外れて家族に迷惑をかけてしまう妹という設定。

カンボジア旅行の初日のディナーで、紗希は、「結婚する」と詩織に伝える。病気で亡くなった母の遺産を分けて妹のために準備した銀行の預金通帳は紗希から突き返され、楽しいはずの旅は別行動となった。

東南アジアでは臓器売買が闇のビジネスとして幅をきかせていて、特に10代20代の健康な女性の臓器の価格は吊り上がるらしい。姉妹は売買に関わるグループに目をつけられていて、20代の詩織は誘拐されてしまう――。紗希は何としても妹を救おうと、フィアンセがいる自身の未来も顧みず、麻薬を売っていた男を頼ってまで臓器売買グループに立ち向かい、壮絶なチェイスを繰り広げる。

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妹の詩織役は大塚怜央奈が熱演。

バイクで走り抜けるカンボジアのローカルな街並みと、臓器売買で巨大な利益を得ているグループの滞在する瀟洒なホテルのコントラストが激しい。いわばこれが現代社会の縮図なのかもしれない。

姉も妹も互いに対して、そして麻薬密売人の男も日本に残してきた家族に対して、澱のような罪悪感が心の片隅にある。闇や悪と格闘するとともに、登場人物たちは自分の中にある悔恨とも闘い続ける。

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麻薬の売人を頼って妹を探す紗希。

結末を記すことは避けるが、自国の外で事件に巻き込まれた時、物事はどう進行していくのかが見える作品でもある。通常ルートだけでは難しいことは確かにある。でも、レディ・ノワールとして悪の組織と闘うのは無謀だということも作品を見ればよくわかる。ただし、それをエンタメとして見せ切ってしまうのは、湿気のある空気感が画面から伝わってくるカンボジア、その熱量が持つエキゾティックな魅力、そして、美しい姉妹を演じた青山倫子と大塚怜央奈の魅力だ。清楚で不器用で優しい姉と、はすっぱだけれど伸びやかで甘えん坊な妹。姉妹を持つ人なら、そして両親がいる旅ではなく、姉妹だけで旅に出たことがある人なら「あるある」を感じるかもしれない。ふたりの喧嘩や関係性、互いへの心配や嫉妬など、人としてのリアルな感情がそこにはある。

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家族のために戦う紗希。慣れない銃を使うことまで覚える。

『レディ・ノワール』
●監督・共同脚本/室賀厚
●出演/青山倫子、寺中寿之、大塚怜央奈ほか
●2025年、日本映画 ●90分
●2026年3月20日より、シアターギルド代官山ほか、全国にて順次公開
https://theaterguild.co/store/ladynoir

©2025 LADY NOIR PRODUCTION COMITTEE 

編集KIM=編集長森田聖美 2024年よりフィガロジャポン編集長。フィガロ歴約30年。旅、ファッション、美容、カルチャーなど、現場時代はマルチで担当。多趣味だが、いちばん大切にしているのは映画観賞。格闘も好きでMMAなどよく観戦に行く。旅は基本的にひとりで行くのが好み。チミーグッズをこよなく愛する。

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