来た! 3月21日午前、BTSの5枚目となる、カムバック後初のアルバム『ARIRANG』が届き、20時のライブ開始までに5回ほど聴くことが叶った。
そして20時、Netflix独占配信が始まった。
7人全員が身体をかなり絞ってきている。兵役でついた逞しい筋肉を削ぎ落し、ブラック&ホワイトの衣装をそれぞれのスタイリングで身に着けていた。RMはシルキーなロングジャケットに白いハイカラーのブラウスでボウをなびかせている。JinはボウブラウスにV開きのコンパクトジャケットにボリューム感のあるレザーパンツ。SUGAはハイカラーの長いブラウスにノーカラーのレザーブルゾンとレザーパンツ。j-hopeはイラストが入ったレザーブルソンの下はオーバーブラウスにパネルデザインのレザーボトム姿、スタッズを効かせて膝のあたりがカットアウトされたパンツからは素肌がのぞく。Jiminはインナーの白を見せながら光る素材のツイードジャケットにパネル装飾のあるボリュームパンツ。Vはラメニットの上にハイカラーのノースリーブトップを重ね、ボトムはパンツの上に白い刺繍を施したスカートをカバリング。最初に纏っていた白いブレードが効いたジャケットは途中で脱ぎ捨てた。Jung Kookはバイカーブルゾンのインナーに長いフリンジをアタッチしたジップアンプインナー×シンプルなパンツ。同じブラックでも異なる素材感の衣装は、個々の在り方を表現するのに素晴らしいスタイリングだ。
「Body to Body」からスタート。アリランという民俗の歌声がBTSの音楽とシンクロする曲。金色の長い髪をなびかせながら踊るJimin。いままでと同じように、パフォーマンス中の移動がとても多いJiminなので、髪の動きがとてもセクシーに映る。『ARIRANG』のアルバム内では、Vのボーカルがとても効果的に働いている印象があるが、パファーマンスを見てそれを確信した。
「Hooligan」は昔のハリウッド映画のようなエレガントな曲調のパートとヒップホップ、そして剣がぶつかり合う音を重ねたものすごくユニークな曲。ハハハハハ!と笑い声を入れ込む演出もあいまって、非常におもしろい。
「2.0」の舞台上のパフェ―マンスは秀逸で、「貯めて放つ」アクションが限りなく美しい。かつてのエネルギッシュなダンスもいいが、メンバーのほとんどが30歳をこえた現在、「2.0」のダンスのような細やかな動きに配慮が行き届いたアクションこそ、エレガンスが宿っていると感じた。全員ラップという構成も好きだ。
エレガンスを感じるのはヘア&メイクアップにも。メンバー全員、ポイントメイクはほとんどない。ただ、肌は驚くほど滑らかで美しい。SUGAの短めのヘアスタイルも似合い、Jiminのウルフっぽいカットもいい。
「Butter」でもRMは踊ることはできなかった。が、練習・リハーサル中に足首の捻挫を含め怪我をしたにもかかわらず、本公演に前向きに臨んでいた。リーダーRMは堂々としていて落ち着いていて、やはりこの人物こそがBTSの軸を担っている、と思う。
「MIC Drop」はj-hopeの単独ライブの時にも歌われた楽曲。コリオグラフィの個性も伴って、BTS史のなかではやはり特別な曲なのかもしれない。
「Aliens」。スタートに置かれたSUGAのラップが映える。JiminやJinの声が伸びやかで、以前よりも声がより強くなったようにも思えた1曲だった。「FYA」では、j-hopeとJiminの向かい合っての掛け合いが特に素晴らしかった。
そして、アルバム『ARIRANG』の表題曲でもある「SWIM」。アルバム内でも、この曲が転換ポイントで、とてもナラティブになってゆく。Jung Kookが歌い出しをするが、舞台上でも彼のアップからスタートする映像は物語性にあふれた演出だ。実際、振り付けもとてもナラティブで、コンテンポラリーダンスの舞台表現を見ているかのよう。
「Like Animals」はSUGAの「ラップではないボーカル」がとても素敵。「Normal」のようなスローテンポの曲が挟まれると、街中で立ちっぱなしで聴いているオーディエンスも落ち着けるのではないか。ARMYへの思いやりとも受け取れた。オーディエンスが時折映るが、ローカルのみならず多国籍で、この日のために世界中からBTSの姿を一目でも見ようと集まったのだとわかる。
MCの時に、RMの椅子に自然と座っちゃうVの様子を見ながら、この人の伸びやかで周りを穏やかにする人間性は変らない、と思った。
ライブはクライマックスへ。世界中を虜にした「DYNAMITE」。軽やかだ! 椅子に座りながらもRMもできる限りダンスに参加する。6人はRMのぶんまで大きく激しく動こうとしているよう。そしてパフォーマンス後、RMだけ残して、「ありがとう」と去って行こうするおふざけも含めてBTSカムバ!と感激した。
アンコール曲は「Mikrocosmos」。この曲は、いまこの瞬間をオーディエンスと共有しようという想いで選ばれたのだろう。たくさんの涙を誘ったラストソングとなった。
このライブはソウルの街の光化門の広場と大通りを使って、BTSのカムバをセレブレートする華々しい機会となった。パリオリンピックが街全部を使って競技を魅せたことを思い出す。BTSという「奇跡のグループ」が、韓国という国をあげて応援するエンターテインメントであることを証明した時間ともなった。この後、彼らは世界を周ってライブツアーを行う。チケットは入手困難で、彼らにライブで会いたいARMYの中でもよほどの幸運の持ち主でなければ望みは叶わない。
だからこそ、画面を通してだけでも、BTSの素晴らしいパフォーマンスと出合うチャンスを見逃してはならない。






