ピカソに杉本博司、6月に訪れたいアート展。
1. カラフルに響き合う、時代を超えた創造性。
『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』

青の時代の『男の肖像』や、『アルルカンに扮したパウロ』など、パリ国立ピカソ美術館の所蔵品約80点を緩やかな時系列で紹介する本展。その核となるのは英国のデザイナー、ポール・スミスによる会場構成だ。ピカソ作品から着想を得て、各セクションで異なるコンセプトの空間を創出し、色彩と遊び心に満ちた展示を展開する。20世紀美術の巨匠ピカソの名作に、現代を生きるポール・スミスの視点が軽やかな風を送り込み、時代を超えたふたりの創造性が響き合うことだろう。
『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』
会期:6/10~9/21
国立新美術館 企画展示室2E
050-5541-8600(ハローダイヤル)
開)10:00~17:30最終入場(月、水、木、日)、10:00~19:30最終入場(金、土)
休)火、8/12 ※8/11は開館
料)一般¥2,400
https://art.nikkei.com/picasso_ps26/
2. 絶滅危惧の写真技術と、作家の思考に迫る。
『杉本博司 絶滅写真』

建築、書、陶芸、和歌、料理など多様な領域で活動し、常に写真の本質を問い続けてきた現代美術作家・杉本博司。本展はその原点である銀塩写真に焦点を当て、1970年代後半から現在にいたる約65点を紹介。その精緻な技法と明確なコンセプトに支えられた作品は、写真がデジタル化されたいま、「絶滅が危惧される」ものと言える。本展ではさらに70年代以来、杉本が撮影・暗室作業の工程を記した未公開資料「スギモトノート」をサテライト展示し、作家の思考の軌跡に迫る。
『杉本博司 絶滅写真』
会期:6/16~9/13
東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
050-5541-8600(ハローダイヤル)
開)10:00~16:30最終入場(火~木、日)、10:00~19:30最終入場(金、土)
休)月、7/21 ※7/20は開館
料)一般¥2,300
https://art.nikkei.com/sugimoto/
3. 批評性と笑いに満ちた、黒い木版と油彩の新作。
『風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼』

黒一色の木版画で日本社会の矛盾や違和感を鋭く描いてきた風間サチコ。オリンピックや原子力を巡る出来事や学校など身近な風景まで、日常と地続きの社会を独自のユーモアと批評性を交えて表現してきた。東北での初個展では、近年の大型木版画に加え、弘前での一冊の本との出合いから生まれた「白鳥」のシリーズなど、新たに取り組む油彩画を初公開。青森の風景が歴史や文学、伝説のイメージと重なり、思わず笑いながらも気付きを得るような唯一無二の作品世界だ。
『風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼』
会期:6/5~11/15
弘前れんが倉庫美術館
0172-32-8950
開)9:00~16:30最終入場
休)火、8/12、9/24、11/4 ※8/4、11、9/22、11/3は開館
料)一般¥1,600
https://www.hirosaki-moca.jp/
4. 虚実の境界に誘い、意表を突く作品体験。
『ウルス・フィッシャー 間違い探し-Spot the Difference』

ユーモアと不条理を想起させる軽やかな作品を通して、彫刻や絵画の本質に潜む哲学的な問いを喚起するスイス人アーティスト、ウルス・フィッシャーの日本初個展。「間違い探し」の構想のもと、大胆にも壁を切り取られた展示室には、蝋でかたどられ火を灯された作家自身の像が鏡合わせに置かれ、時間とともに溶解していく。一方、地下空間では床のシミや工事の痕跡を精緻に反転させた壁紙が張り巡らされ、現実と虚構、意識と無意識の境界で視点を遊ばせる体験に誘われる。
『ウルス・フィッシャー 間違い探し-Spot the Difference』
開催中~7/4
ファーガス・マカフリー東京
03-6447-2660
開)11:00~18:30最終入場
休)日、月、祝
入場無料
https://www.fergusmccaffrey.com/
- text: Chie Sumiyoshi
*「フィガロジャポン」2026年7月号より抜粋