渡辺翔太の舞台裏。
渡辺翔太を形容するのなら、静かな色香と多くの熱量。
自分を磨くことに長け、強い気迫で周囲を巻き込んでいく人だ。ただ彼のカリスマ性はそれだけに留まらないらしい。これまでヴェールに包まれていた、自らの素顔を明かす。
舞台に向けて、自然な目力をつけたい

渡辺翔太の取材は、芳根京子とのW主演舞台『ウェンディ&ピーターパン』の稽古場で行われた。ここは、本人いわく「これまでの舞台キャリアとは、まったく勝手が違う環境」で稽古を重ねているスポット。彼にとってまさに舞台裏であり、鍛錬の場である。
心地よくいるコツは、丁寧に継続すること。
「よろしくお願いします」
静かに挨拶をしながら、渡辺は撮影現場に現れた。気のせいだろうか、締まった身体を動きにくそうにしている。
「実は稽古の準備をしていて、筋肉痛で足腰が重たいんです(笑)」
そう話していたものの、シャッターを切り始めると瞬時に顔貌を変えた。モニターに映る澄んだ肌は、艶やかな光を放っている。彼といえば周知されているのが「美容番長」としての顔。数々の女性美容雑誌で特集が組まれてきた。どんなきっかけで美容の虜に?
「25歳くらいまでは化粧水と乳液といった最低限のスキンケアだけでした。でも仕事で1カ月間、地方に滞在する機会があって、『1カ月間もこの部屋で過ごすなら、いいものを揃えたい』と好奇心が湧いたんです。その後、初めてデパートのコスメカウンターに足を踏み入れました」
仕事柄、肌や髪の毛を酷使してしまうものだけれど、どうすれば彼のような美肌を保つことができるのだろうか。
「こだわっているのはメイクを残さないこと。現場でまず拭き取りをして、自宅に戻ったら、もう一度クレンジング。疲れていても必ず洗顔フォームを泡立てて、きっちりオフすることだけは徹底しています。スキンケアは基礎的なことだけ。今日みたいに撮影の多い日は、アイクリームを塗ったり、シートマスクを加えることはありますが、何か特別なことをやるよりも、丁寧に継続することを大事にしています」
美容のことを話す彼の表情は、少年のような可愛らしさと、潤いのあふれたしなやかさが共存している。そして聞く側に対して、しっかりと視線を合わせてくる。
ヘアメイクをはじめ、美容に詳しい周囲のスタッフから、常に情報を聞き込むのも習慣。Snow Manのメンバー同士でも、情報を共有するそう。
「頻繁に話すんですよ。『いま、この施術がいいらしい』『この成分、知ってる?』とか。専門的なデータも知りたいので、美容外科クリニックにも、月に一度は通って、カウンセリングしてもらっています。時にはスペシャルケアで、プロの手も頼りますね」
リバイズを繰り返し、彼の肌やボディは常にアップデート中だ。
過度な我慢をせずに身体に入れたものを自覚する。

6月から始まる舞台は、フライングなどタフな演出や2回公演の日もある。加えてレギュラーの仕事とグループ活動も兼ねる。ハードワークな日々を前に、どんな準備をしているのか。
「まず基礎を整えることにしました。いまよりも身体を大きくしたいので、ウエイトに自重トレーニングもプラスしています。テストステロン(男性ホルモン)を活発にすると、肌がパリッとして見栄えが良くなりますしね。インナーケアにはBCAAを飲んでいます」
ほかにも稽古場にはプロテイン、アミノ酸、クエン酸を用意しているそう。
「これまでは1日1食にしていたのですが、いまは朝食から始めて、3食は食べるようにしています。あまり食生活には、制限を設けていないんです。食べすぎた翌日にはトレーニングをする、タンパク質や野菜をちゃんと摂るくらい。好きなことを我慢するのは逆にストレスになりますから」
一端を聞くだけでも、相当な自制心の強さが伝わってきた。
「舞台前には美容ケアよりもコアなトレーニングで自然な目力をつけたいと考えています」
他人から見られる意識という、タレント独自の美容法の存在。
自分はイチ商品。美しく見られるに越したことはないし、自分を選んでほしい
美容から一歩踏み込んだ会話のせいもあるのだろうか、彼の眼差しの強さが増しているのを感じる。
「美容のおもしろさは、タレントという職業に繋がっています。常に人から見られているプレッシャーがあるのは大きい。さっぱりとした表現かもしれないけれど、僕は自分をイチ商品だと思っています。もし店頭に新しい商品が並んでいたら、ほんの少しの個体差を気にして、きれいなものへ手を伸ばしたくなりますよね。それなら美しく見られるのに越したことはないし、自分を選んでほしい。だからコツコツと美容を続けているんでしょうね」
彼の言うとおり、自意識という美容液ほど効果の高いものはない。ライブでは1回の公演で約5万人のファンの視線を浴び、365日、世間への露出が続く。ただそれらは負荷ではなく、彼にとっては誉れ。
「見られている緊張感で、自然と背筋も伸びますし、纏うオーラや迫力も違ってきますよね。それは人から見られる回数、人数が多ければ多いほど、効果が高い気がします。この職業独自の美活なのかもしれません」
さらに自意識そのものも、止まらずに推移していくと続ける。
「見た目だけではなく、口調、佇まい、所作ひとつで、すべてが変わってくると思います。今日のインタビューでも『こういう話し方や言葉遣いをするんだ』と、自分の評価が決定するもの。だから、振る舞いには注意を払うようにしています」
ここで彼の口から、私たちにとって予想外なコメントがあふれ出した。
「人に会うと、誰かにその話をしたくなりますよね。『渡辺翔太と仕事をしたけど、こんな人だったよ』とか。舞台やライブに出かけると『行ってきたよ』とか。そういう時に自分がどんな評価を受けているのか、ネガティブな想像をしてしまうことがあるんですよ。そんなシーンも想定して、あえて迫力を出すこともあります。僕、テレビのフィルターが入ると、おもしろくしようと思って、少し尖った発言をすることもあるんですけど、あれも、迫力なんです」
メディアで見かけるSnow Manの渡辺翔太は勝気でキレのいいコメディ要素を兼ね備えている。それはファンや視聴者を笑わせてくれる、核心要素。でもこの日に出会ったのはシビアな世界に立ち続け、緻密な配慮を念頭に置いている、繊細な男性だった。
たまには好きなものを並べて、食べて。
緊張をほどく小休止も必須。
ただそんな渡辺にも心安らぐ、ネバーランドが存在するそうだ。
「最近、よく映画館に行きます。ひとりでも行きますし、友人を誘うこともあります。観るジャンルはおもしろそうなら、なんでも。アニメも好きだし、目黒蓮の主演する『SAKAMOTO DAYS』も楽しみ。あと映画館で、もっと楽しみなのが……(ニヤリとして)好きなものを食べることです。映画館でだけは好きなものを思いきり食べて、自分を解放しています」

眼差しの強さが解けて、いたずらな笑顔で密かな愉しみを語る彼は、とても愛らしかった。と、ここで多忙なピーターパンこと、渡辺とのトークにタイムリミットが訪れた。
「あ、すみません。僕が(質問に対して)長くしゃべったせいで、途中で終わっちゃって……。ありがとうございました。またよろしくお願いします」
彼の締めくくりの言葉に詰まっていたのは、迫力ではなく、最上級のホスピタリティ。耳に心地いい余韻を残してくれた。
Shota Watanabe
1992年11月5日生まれ。Snow Manのメンバー。群抜の美容ノウハウが認知され「アルビオン」「湘南美容クリニック」のアンバサダーを務める。その他、テレビ番組の司会、ドラマや映画でも活躍中。俳優の芳根京子とW主演を務める舞台『ウェンディ&ピーターパン』は、6月12日から7月5日まで東京・THEATER MILANO-Zaにて、7月13日から20日まで大阪・フェニーチェ堺にて上演。長年にわたり、国外で愛された作品のワールドツアー版が、ジョナサン・マンビィの演出により、日本で再演を迎える。
問い合わせ先
トッズ・ジャパン
0120-102-578(フリーダイヤル)
https://www.tods.com/jp-ja/home/
- photography: Teruo Horikoshi (Tron)
- styling: Mayu Yauchi
- hair & makeup: Takai (Undercurrent)
- text: Hisano Kobayashi
*「フィガロジャポン」2026年7月号より抜粋