前衛芸術家の草間彌生、「亡くなる直前まで絵筆を手放すことなく」97歳で逝去。

Culture

前衛芸術家である草間彌生が、2026年8月14日、都内病院にて多臓器不全のため永眠した。97歳だった。

東京のスタジオで「わが永遠の魂」シリーズ作品を制作中の草間(2014年)©️YAYOI KUSAMA

1929年、長野県松本市に生まれた草間は、幼少期に幻視・幻覚を体験し、それを超克しようと水玉模様や網模様などをモチーフに、水彩、パステル、油彩を用いて独自の表現を早くから形成した。

第33回ヴェネツィア・ビエンナーレ会場にて『ナルシスの庭』に立つ草間。(1966年、イタリア)©️YAYOI KUSAMA

1957年に渡米。翌年よりニューヨークを拠点にネットペインティング、ソフトスカルプチャー、鏡や電飾を使ったインスタレーションなど、革新的な作品を次々と発表し「単一モチーフの強迫的な反復と増殖による自己消滅」という芸術哲学を打ち立てた。また、ボディペインティング、ファッションショー、反戦運動を含むハプニング、映画制作、新聞発行など活動の領域を自ら切り開き、前衛芸術家としての地位を確立した。

73年に体調を崩し帰国、以降は東京を拠点に活動。新たに詩や小説の執筆にも取り組み、小説『クリストファー男娼窟』(83年)では第10回野生時代新人文学賞を受賞。野外彫刻、大型インスタレーション、『インフィニティ・ミラー・ルーム』シリーズを制作。正方形の絵画『わが永遠の魂』シリーズ(2009〜21年)は約900点に及び、21年には新作絵画シリーズ『毎日愛について祈っている』の制作を開始。

訃報は草間彌生記念芸術財団事務局から発表され、「亡くなる直前まで絵筆を手放すことなく、愛による世界の救済という信念を貫き通した97歳の生涯だった」と告知された。葬儀は近親者にてすでに執り行われ、後日、お別れの会が開催される予定だ。

  • text: madame FIGARO japon