ジョナサン・アンダーソンによるディオールのエレガンス革命。
Fashion 2026.04.13
これまでにないほどクリエイティブディレクターの交代が相次いだ2026年春夏。新任者たちは、メゾンの伝統をどのように引き継ぎ、発展させていくのか。ジョナサン・アンダーソン流ディオールのエレガンスを解説。
DIOR
by Jonathan Anderson
ジョナサン・アンダーソン

ジャケット¥1,050,000(参考価格)、ピアス¥94,000/ともにディオール(クリスチャン ディオール)
アイコニックな「バー」ジャケットが、ウエスト下にボリュームを持たせたクロップト丈に。ツイード素材の表面にはスパンコールが刺繍されている。
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革命を起こしたディオール、「ニュールック」の現在地。

1947年春夏 オートクチュール コレクションで発表された「バー」ジャケット。© Association Willy Maywald/ADAGP, Paris, 2026
2026年春夏コレクションで、自分らしいシュールなテイストを薫らせつつも数々のアーカイブを反映させ、エレガンスも漂わせた新クリエイティブ ディレクター、ジョナサン・アンダーソン。参照したアイコンのひとつが、「バー」ジャケットだった。

クリスチャン・ディオールによる「バー」ジャケットのスケッチ。All rights reserved, Christian Dior Collection
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クリスチャン・ディオールは友人と一緒にギャラリーを経営していた。やがてイラストレーターを経てクチュリエとなり、経験を積んだ後にパリはモンテーニュ通り30番地にメゾンを設立。1947年、42歳の時にそのサロンで発表した初のコレクションで、V字のラペル、なだらかな肩のライン、絞り込まれたウエスト、ふくらみを強調したヒップの、シルクシャンタン製ジャケットを登場させたのだ。それは、パリのディオール本社の傍にあるホテル プラザ アテネのバーで女性がひとりでカクテルタイムを楽しむシーンのために提案されたジャケットだったため、「バー」と名付けられた。そんな輝かしいデビューを目の当たりにした「ハーパーズ バザー」の編集長、カーメル・スノーは、「これは素晴らしい革命よ! まさにニュールック!」と言ったとされる。
以降何度も再解釈され続けているジャケットを、鬼才ジョナサンはどのようにアップデートしたのか。メンズコレクション同様、故郷の北アイルランドを彷彿とさせるツイード素材を採用し、タキシード風のラペルに。ウィメンズでは表面にスパンコールをあしらい、ウエスト下にボリュームを持たせたシルエットや、メゾンのコードのひとつであるボウを融合したデザインも披露した。

1947年、「ヴォーグ・パリ」誌に掲載されたアーティスト、クリスチャン・ベラールによる「バー」ジャケットのデッサン。Christian Dior Museum collection, Granville, © Christian Bérard
第2次世界大戦中節制を強いられていたがゆえに、女性らしさを強調してエレガンスと贅沢を思い出させ、ショーの観客たちを魅了した「バー」ジャケット。性別のカテゴライズ自体に疑問を投げかけるようになったいまではメンズウエアとしても展開され、伝説的な美しいデザインとして、より一層自由に解釈されている。
*「フィガロジャポン」2026年4月号より抜粋
photography: Masaya Tanaka (TRON) styling: Tomoko Iijima hair: Kenshin (EPO LABO) makeup: Suzuki text: Itoi Kuriyama





