30歳を超えて掴んだ夢。ハ・ヨンスが体現する自分に正直な生き方。【私のパリシック。vol.2 ハ・ヨンス】

Fashion 2024.08.09

自分らしく人生を謳歌するパリジェンヌの生き方には、いまの私たちが力強く生きるためのヒントが詰まっている。そんなパリジェンヌのスタイルに共鳴する現代のアイコンにフォーカス。vol.2は、NHK連続テレビ小説「虎に翼」での好演が話題のハ・ヨンスが登場。

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韓国で俳優としてのキャリアがありながら、30歳を超えて日本へと活動の場を移したハ・ヨンス。日本での活動が長年の夢だった彼女が、NHK連続テレビ小説「虎に翼」への出演で掴んだ夢と新しい一歩。苦しい瞬間があっても、どんな自分でありたいかを考え続けることが大切だと人生哲学を語る。

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正直なことは自分を幸せにするいちばんの近道。

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──人生を謳歌し、自分らしく生きるパリジェンヌ。パリジェンヌと聞いて、ハ・ヨンスさんはどのような姿を想像しますか。
数年前パリを旅した時、夕方にお花を少しだけ買う人々の姿を見かけました。その人々が買うお花は、夕食の時間に自宅のテーブルに飾るためのものだったと思います。集中して仕事を終わらせて、夕方からは自分のための自由な時間を過ごしたり、好きなことを思うままにしてみたり......、パリジェンヌは自分に正直である人たち。その代表として思い描くのは、ジェーン・バーキンですね。正直でいることは、自分を幸せにするためのいちばんの近道のような気がします。

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Tシャツとデニム、ベーシックなアイテムをノンシャランに纏うフレンチシックなスタイルは、ジェーン・バーキンの真骨頂。彼女にオマージュを捧げ、ミュウミュウのTシャツとデニムをコーディネートに選んだ。

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「いま決断しなければこの夢は掴めない」活動の場を韓国から日本へ。

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──ハ・ヨンスさんといえば、NHK連続テレビ小説「虎に翼」での好演が話題です。30歳を超えてから日本に活動の場を移しましたが、新しい場所で挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。
20代の頃から日本で活動することに興味がありました。子供の頃から絵を描いていたのですが、日本のアニメーションや映画、ドラマが好きで、日本の作品に出演してみたいと思っていたんです。韓国の芸能界で活動を始めたのが20歳頃だったのですが、その時は韓国でのキャリアもまだ始まったばかりだったので諦めるしかありませんでした。10年ほどキャリアを積んで30歳を迎えた時に、いま決断しなければこの夢は掴めないかもしれないと思い、勇気を出して活動を日本に移すことにしました。

ただ、大きな壁となったのは語学。旅行では30回以上日本に訪れていたのですが、全然喋ることができなくて......。だからまずは、独学で日本語を勉強してみて、伸びなかったら諦めようと勉強をスタートしました。大切にしていたのはシャードーイング。日本の友達にしょっちゅう電話をかけて練習して、半年くらい経った頃に少し手応えを感じられようになったので、そのタイミングで日本に行くことを決めました。いまの事務所も自分で調べて、オーディションを受けたんです。来日したばかりの時は、仕事がなかったらどうしようとか、大きな病気になったらどうしようとか、怖さや不安しかありませんでしたが、いま、こうやってお仕事ができて嬉しいです。

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心が動く瞬間は芸術や文化に触れる時。

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──日本のドラマの撮影現場で、新しく手に入れた価値観や学びはありましたか。
日本に来て約2年が経ちましたが、「虎に翼」の撮影が始まってから「あ、私って本当に演技が好きなんだ」ということを感じています。韓国で活動している当時はそんな気持ちはなかったのですが、演技することをどこかで仕事の一部と考えていたのだと思います。「虎に翼」は、海外で初めて手に入れたドラマの仕事で、自分にとっては考えるだけでキュンとする気持ちになる大切なもの。たくさん努力をしてチャンスを待ち、ついに出合えた作品で「演じることが幸せ」と思えることが嬉しくて、いまの一瞬一瞬を大切にしようと、さらに思うようになりました。

──逆に、日本での活動で困難や苦しさを感じることはありますか。そんな時はどんな風に乗り越えますか。
私の日本語で演技がうまく見えなかったらどうしようと心配や不安に思うこともあります。けれど、自分が選んだ道ですし、いまでなければできないことだと考えて集中するようにしています。やらなくて後悔するよりは、やってみて「ちょっと大変だったけどやってよかった」と思えることが、本当に大切だと思っています。

──ハ・ヨンスさんが豊かさを感じる瞬間はどんな時でしょうか。
芸術と文化が日常生活の一部にあること。そして、楽しんでいる時。もともと美術をやっていたので、絵はもちろんですが、写真や建築にも興味があります。日本の美術館もすごく好きです。芸術に触れているとインスピレーションやエネルギーもらえて、心が動いているんだと実感するんです。

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どんな自分でありたいかを想像しながら、学び続ける。

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──年齢を重ねることは、ハ・ヨンスさんにとってどんな意味を持ちますか。
年齢は自分の人生を記録するもので、それ以上でもそれ以下でもないものだと思います。年齢を重ねていくことを怖がらなくてもいいし、ワクワクした希望を持って50、60歳を迎える必要もない。だけど、その年その年をきちんと、幸せに生きていたということを世の中に記録して進んでいくことが大切だと思っています。

──年齢を重ねても変わらずに大切にしたい思いはどんなことでしょうか。
学ぶことをやめないこと。生きることは、仕事を頑張って、ご飯を食べて寝て、このシンプルな生活をベースにしながら、自分がどういう人間になりたいか、どういう姿で過ごしたいかを考え、続けていくこと。自分がどういう姿でありたいかを考えて続けていないと、絶対に自分にちょっと苦しくなる瞬間がきてしまうと思うんですよね。私の場合は、お芝居や絵で表現し続けるために、年齢を重ねても学ぶことを恐れずに、勇気を出してそこに手を伸ばせる人でありたい。30代で日本語の勉強を始めたので、40代になったらいまより何倍も上手になっていると思います。そんな風にいろんなことに対して、自分の中の恐怖や不安と向き合いながら、乗り越えていけたらと思います。

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【ハ・ヨンス着用】Tシャツ¥80,300、パンツ¥308,000、ベルト¥77,000、バッグ¥291,500(すべて予定価格)/以上ミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス) 「トリニティ」ネックレス¥962,500、「カルティエ ダムール」ネックレス¥190,300/ともにカルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)

Profile
ハ・ヨンス
1990年生まれ、韓国・釜山出身。2012年に韓国で俳優としてデビュー。日本でも人気を博したドラマ「リッチマン、プアウーマン」の韓国リメイク作「リッチマン」(2018年)でヒロインを務める。2022年より、日本での活動を本格的にスタート。NHK連続テレビ小説「虎に翼」で留学生、崔⾹淑役が話題に。
問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00(フリーダイヤル)
https://www.cartier.jp

ミュウミュウ クライアントサービス
0120-451-993(フリーダイヤル)
https://www.miumiu.com/

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photography: Sakai De Jun, shutterstock styling: Kotomi Shibahara hair & makeup: Misato Funato

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