なぜ猫は1日中寝ているの?
Lifestyle 2022.02.13
文/松岡由希子
猫がよく眠るのはなぜだろう。家畜化によって猫の行動や生活様式の一部は変化したが、睡眠覚醒周期はほとんど変わっていない……。
一般的な猫の睡眠時間はおよそ15時間……。 photo:ramustagram-iStock
猫がよく眠るのはなぜだろう。これにはいくつかの理由がある。
猫は、ジャガーやヒョウなどの他のネコ科の動物と同様、主に明け方と夕方に採食や生殖などの活動を行う「薄明薄暮性」だ。ネズミなどの獲物も同じく薄明薄暮性であるため、ネコは夕方から明け方まで起きていて、狩りをしなければならなかった。狩りには多くのエネルギーを要する。猫は広範囲にわたって狩りをするため、次の狩りに備えて昼間にたくさん眠る習性が身についたようだ。
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子猫や高齢猫ではより長く20時間程度眠るものもいる。
家畜化によって猫の行動や生活様式の一部は変化したが、睡眠覚醒周期はほとんど変わっていない。一般的な猫の睡眠時間はおよそ15時間だが、子猫や高齢猫ではより長く20時間程度眠るものもいる一方、12時間しか眠らない行動的な猫もいる。
猫には12~14時間の睡眠は必要で、レム睡眠と浅い眠りの両方が重要だ。良質な睡眠は、エネルギーの貯蔵や筋肉の修復、免疫力の改善など、猫の健康に寄与する。また、猫の食事の多くは肉、魚などのタンパク質だ。摂取したタンパク質を完全に消化するためにも適度な睡眠が必要となる。
しかしながら、長時間の睡眠が必ずしもよいとは限らない。1日15~16時間以上眠る成猫は肉体的な痛みや甲状腺機能亢進症、うつなどの可能性がある。
睡眠のタイミングは一定ではない。摂食パターンに合わせて睡眠時間を定められるほか、飼い主の行動に合わせて睡眠のタイミングを調整する猫もいる。
猫が深い眠りに入るのは睡眠時間のうちわずか25%程度だ。レム睡眠に入って夢をみることもある。四肢をぴくぴくさせたり、ひげがわずかに規則的に動いているとき、猫はおそらく夢をみている。
Dreaming Cat (Fuu)
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雨の日や寒い日には、より長く眠る。
天候や気温は猫の行動や睡眠パターンに影響をもたらす。恒温動物である猫は、雨の日や寒い日には、体温のバランスを保つため、より多くのエネルギーを必要とし、より長く眠る。一般に、猫は晴天を好む一方、雨季を好まない。温かく過ごしづらいうえ、雨音も嫌うからだ。また、雨に濡れると、皮膚や毛に水分が残り、風邪をひきやすくなってしまう。
猫も私たち人間と同じく、睡眠パターンから健康状態に関するヒントが得られる。私たちの体が正常に機能するためには夜の睡眠が欠かせないのと同様に、猫の健康には昼間の睡眠が必要なのだ。
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1973年生まれ。米国MBA(経営学修士号)取得。起業支援や経営戦略の立案など、経営のプロフェッショナルとして約10年にわたる実務経験を積んだのち、2008年、ジャーナリストに転身。欧米、アジアでの現地取材のもと、持続可能な社会づくりに向けた技術イノベーションや次世代ビジネスの動向を、グローバルな視点から追う。
text: Yukiko Matsuoka