【シンガポール旅】レトロ可愛いカトンと最先端リバーサイド、注目の2エリアを散策。
プラナカン文化を味わえるカトン、シンガポール発展の中心地リバーサイド。代表的なふたつの街を散策して、モザイクのようなこの国の魅力を肌で体感したい。
Katong(カトン)
プラナカン文化が息づくカラフルな街でカルチャー散歩。

多民族国家シンガポールを語る時に、欠かせないのがプラナカン。マレー半島に暮らす中国系移民と、現地のマレー系女性の間にできた子どもや子孫のことで、7世紀にわたる歴史がある。そのプラナカン文化が最も色濃く残るエリアがカトンだ。
都心から東に位置し、ビーチも近いため“イーストコースト”とも呼ばれる長閑な場所だが、週末はカフェのテラスでブランチとおしゃべりを楽しむ若者や、愛犬を連れた地元民で賑わう。自宅の壁に窓を作ってコーヒースタンドにしたマダムの店や、カラフルにペイントされたアートな小径など、寄り道するたびに楽しい発見がある。
訪れた旅人をときめかせてくれるのが、クーン・セン・ロード沿いのカラフルなショップハウス。西洋風の建物にあしらわれた草花や中国の吉祥文様はプラナカン文化の象徴だ。通りを眺めていると、ここから通学する小学生の姿や、いつもの肉ちまきを買いにプラナカン食材店に向かう主婦など、市井の人々の暮らしが感じられる。
「カトンにはLiving Culture(生活に根付いた文化)があります」と語るのはキム・チュー・クエ・チャンのオーナー。1945年に祖母が創業し、いまは黄(ウォン)兄弟が店を切り盛りする。プラナカンで受け継がれる菓子(クエ)の販売のほか、「若い人も気軽に着てもらえれば」と簡単に着られるようにアレンジした伝統衣装、ニョニャ・ケバヤの体験コースも人気だ。ビーズ刺繍のワークショップでは、家で過ごす時間が長かったニョニャ(プラナカンの女性)の手仕事に対する想いや歴史を体感できる。
シンガポール旅の始まり。カトンをそぞろ歩き、プラナカン文化を体感すれば、カラフルなこの国の魅力が見えてくる。
【キム・チュー・クエ・チャン】
ショップからアクテビティまで展開、カトンを代表する老舗。

肉ちまきやクエなどプラナカンならではの食品を販売し、地元民に愛されて80年。3代目が受け継ぐ現在は、創業当時から続くアイテムも大切にしながら、旅人や若い人に向けてプラナカン文化を発信するショールームのような役割も担う。そのひとつがビーズ刺繍体験。蝶や鳥、花の柄に沿ってカラフルなビーズを1粒ずつ縫い付けながら、歴史や文化についてオーナー兄弟に解説してもらえる。
Kim Choo Kueh Chang(金珠肉粽)
111 East Coast Road, 428800
tel:6741-2125
Ⓜ︎MARINE PARADE
営)9:00〜21:00
休)旧正月
※体験プログラムは要予約
https://www.kimchoo.com/
【プラナカン・マンション】
学んで体感できるカルチャーセンター。

プラナカンのオーナーによる私設博物館。長年コレクションしてきた家具や食器、ビーズ刺繍のアイテムを展示し、生活感のあるインテリアも好評だ。カラフルな色合いは欧州への輸出に適していたから、龍や鳳凰の柄は中国にルーツを持つプラナカンの縁起ものだから……など、ガイドツアーで豆知識を聞けるのも魅力。クエのアフタヌーンティー体験やニョニャ・ケバヤの試着もできる。
Peranakan Mansion(新加坡娘惹博物館)
283A Joo Chiat Road, 427537
tel:9789-7628
Ⓜ︎MARINE PARADE
開)11:00〜18:00
無休
料金)12Sドル
※一部の体験プログラムは要予約
https://singaporeperanakanmuseum.com/
【チン・ミー・チンコンフェクショナリー】
街歩きの始まりは、イーストコースト的朝食から。

1952年創業、レトロな雰囲気が漂う喫茶店で食べられるのは、シンガポール朝食の定番、カヤトースト。店内で焼きあげたさっくり軽やかなバンズに、ねっとり濃厚な自家製カヤジャムがマッチ。上にのった有塩バターが甘さをほどよく引き締めてくれる。セットにはコンデンスミルク入りの「コピ」と温泉卵が付いているので、地元っ子のように卵にディップしながらトーストを頰張って。

Chin Mee Chin Confectionery(真美珍)
204 East Coast Road, 428903
[email protected]
Ⓜ︎MARINE PARADE
営)8:00〜15:30L.O.
休)旧正月
予約不可
https://www.chinmeechin.sg/
【コピクー】
元幼稚園教諭の女性が自宅をコーヒースタンドに改装! 一杯ずつ丁寧に入れたコーヒーは、テイクアウト限定なので街歩きのおともに。

Kopikhoo
112C Tembeling Road, 423606 @kopikhoosg
【バーズ・オブ・パラダイス】
バタフライピーやココナッツなど南国フレーバーが充実したアイスクリーム専門店。タイムが入った手焼きのワッフルコーンもおいしい。

Birds of Paradise
63 East Coast Road, #01-05, 428776
https://birdsofparadise.sg/
Riverside(リバーサイド)
“シティ・イン・ネイチャー”を感じる、最旬のアドレス巡り。

立ち並ぶ高層ビルや、マリーナベイ・サンズに代表されるユニークな建築。大都市シンガポールの建国&発展の熱気を感じたいなら、中心地を流れるシンガポール川沿いのエリア散策がぴったりだ。
高校の校舎をリノベーションした複合施設、ニュー・バルは最旬スポットのひとつ。教室や体育館が店舗やレストラン、事務所に生まれ変わり、その多くがサステナビリティを意識した国内ブランドというのもおもしろい。
ニュー・バルを出て、川沿いを海に向かって歩く途中で高層ビルを見上げると、壁面や中層階がたくさんの草木で彩られ、独特のアートのような風景が広がっている。“シティ・イン・ネイチャー”を謳う国を挙げての政策の賜物で、建物と同じだけ、もしくはそれ以上の緑地を作るルールが、豊かでグリーンな景観の都市化を実現している。

2022年にオープンしたキャピタ・スプリングは、シティ・イン・ネイチャーを体現する51階建ての高層複合ビル。オフィスが主だが、低層階にはホーカー(シンガポールの屋台)センター、屋上には大きな庭園がある。ランチタイムには、日中忙しく働くさまざまな民族のオフィスワーカーたちがラクサやチキンライスでお腹を満たし、この屋上庭園で息抜きする姿も。
アジア随一を誇るビジネス街のエネルギー、多種多様な人々、そして緑あふれるサステイナブルな風景が混じり合う。リバーサイドを歩くと、スマートシティ・シンガポールのいまに出合える。
【キャピタ・スプリング】
庭園とオフィスが融合した、都市国家の新たな顔。

シンガポール川と海のほど近く、ビジネス街にそびえ立つ、高さ280mの高層ビル。シンガポールを代表する大手企業が入居するオフィスビルだが、スカイガーデンやホーカーが並ぶマーケットストリート・フードセンターなどもあり、旅人も楽しめるニュースポットに。入場予約制のスカイガーデンには、南国ならではの草花や館内のレストランで使われるハーブなど150種以上が育てられ、植物園のよう。マリーナベイ・サンズなどビル群を見下ろす風景との対比も新鮮だ。吹き抜けになったビルの17〜20階にもグリーンオアシスが広がり、都心にいながら森林浴気分が味わえる。
CapitaSpring
88 Market Street, 048948
tel:6983-5118
Ⓜ︎RAFFLES PLACE
開)8:30〜10:30、14:30〜18:00
休)土、日、祝
入場無料
※スカイガーデンは要予約
https://www.capitaland.com/sg/en/lease/commercial-space-listing/capitaspring.html
【ニュー・バル】
生まれ変わった校舎で、国内ブランドをクルーズ。

2024年に複合施設として誕生したニュー・バル。高校の校舎として活用されてきた建物にインテリアショップや食のセレクトショップ、園芸店など約50の施設が出店し、その多くが地元企業やシンガポール発のブランド。サステイナブルを理念に掲げるリュクスなスキンケアブランドのオムノや、ファッションブランドのライなど、EC販売中心だった店が旗艦店として展開している点も地元民の注目の的だ。陶芸やアップサイクルな素材を使ったワークショップなど、クリエイティビティを刺激する施設も充実している。
オムノ|Ømno
ラッフルズホテルでも採用されるブランド。初の実店舗では、ベルガモットやラベンダーが香るハンド&ボディソープやヒマラヤ岩塩を使ったボディスクラブを販売。


Ømno
School Block, #02-05 @omno.store
ライ|Rye
女性のためのサステイナブルな日常着を提案。白や黒をベースにしたミニマルなデザインのシャツなどを展開。


Rye
School Block, #03-07 @r__y__e
スタジオ・ヨノ|Studio Yono
オランダ人デザイナーによるセレクトショップ。アジアや欧州で買い付けた食器や雑貨のほか、国内のニッチなデザインブックも充実。


Studio Yono
School Block, #03-01 @studioyono
New Bahru
46 & 58 Kim Yam Road, 239351
[email protected]
Ⓜ︎FORT CANNING
営)10:00〜22:00
無休 ※営業時間と定休日は店舗により異なる
https://www.newbahru.com/
●1シンガポールドル(Sドル)=約125円(2026年7月現在)
●日本から電話をかける場合、シンガポールの国番号65の後、掲載表記どおりかけてください。シンガポール国内では掲載表記どおりかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂ︎は地下鉄の駅、Ⓢはセントーサ・エクスプレスの駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間など、取材時から変更になる可能性もあります。店や施設によって、別途サービス料等がかかる場合があります。ご了承ください。
- photography: Aya Kawachi
- collaboration: Singapore Tourism Board
*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋