名建築に触れる、特別な休日——。葉山で泊まれる文化財3選!

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夜の厳かな雰囲気も一見の価値あり。一棟貸しなので、非日常の空間をひとりじめできる。

クラシカルな洋館や歴史的な建造物の見学に行くと、この空間でもっとゆっくりしていたいと思う人も多いはず。できることなら誰の目にも邪魔されずに。葉山には、国登録有形文化財に指定された建物に泊まることができる施設がある。一棟貸しで束の間でも暮らしているような感覚を味わえるので、贅沢で貴重な体験となるはず。


葉山の自然と建物が調和する、こだわり抜かれた空間
#01. 葉山 加地邸

2017年に国登録有形文化財に指定。まわりの木々と調和した、風格のある外観が美しい。幾何学模様のように美しく積み重ねられた大谷石にも注目。

一色海岸のほど近く、小高い丘へと向かう坂道を少し登ると木々の深い緑に包まれるように現れる、銅葺き屋根の美しい建築。実業家・加地利夫の別荘として1928年に竣工された加地邸だ。

エントランス前の憩いの空間。緑が映り込む水盤が美しい。

設計を手掛けたのは、フランク・ロイド・ライトに師事し、ライトが設計した帝国ホテルを完成に導いた建築家・遠藤新。水平ラインを強調し、自然と一体になるようなライトの空間づくり「プレーリースタイル」を継ぎ、加地邸も水平線を強調したデザインが基調となっている。

暖炉も家具も水平ラインが強調され、重厚感のある居間。暖炉や壁の大谷石は窓から見える外にも使われているので、外とつながっているような一体感を味わえる。

随所に「六角形」や「三角形」といった自然界に存在する幾何学モチーフが取り入れられている加地邸。サンルームは部屋自体が六角形となっており、扉や家具にも六角形のデザインが繰り返し用いられている。

庭に張り出すような作りのサンルーム。籐張りの家具は、この部屋のために遠藤新がデザインし、100年前から置かれていたもの。

書斎、展望室、ライブラリーなど、数え方によっては15部屋以上あるので、探検気分で部屋をまわりながら、空間の変化を味わえる。それぞれの部屋ごとに細部までこだわり抜かれており、見どころの多い邸宅。

例えば照明はその部屋に合わせて異なるデザインで、配置している高さもさまざまなので、どのような違いがあるかを見てまわるだけでも楽しい。

清潔感があり、落ち着いた雰囲気の主寝室。

建築家や建築好きの方が一度は泊まってみたいと、遠方からも足をのばすケースが多いのだそう。キッチンつきなので自由に料理もできるが、出張料理人によるディナーや少しカジュアルなデリバリーでの夕朝食のプランなども。

日が暮れて室内の灯りを灯すと、日中とはまた違った顔をみせてくれる加地邸。葉山の潮風を感じながら、時代を超えて受け継がれてきた美学を受け取る、特別な休日が過ごせる。

葉山 加地邸(はやま かちてい)
神奈川県三浦郡葉山町一色1706
料)1泊¥382,200(1棟の料金/6名まで/朝食付き)
https://kachitei.link/
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白亜の洋館で優雅に流れる時間を。
#02. 旧東伏見宮葉山別邸

部屋を囲むように続くゆったりとした2階の回廊。ここから眺める葉山の街並みは格別。photography:enjoyworks(以下同)

「葉山のカサブランカ」の愛称で親しまれてきた、白亜の優美な洋館。戦後はイエズス孝女会による管理運営に引き継がれ、修道院として使われていたそう。

近年老朽化が進み解体の危機にあったが、この貴重な文化を守ろうと不動産クラウドファンディングや観光庁の補助金、地元の方々の寄付などで資金を調達し、改修を経て1階はウエディングやコンサートなどのスペース利用、2階は宿泊施設として生まれ変わった。

2017年に国登録有形文化財に指定。緑青と言われる銅が酸化した深みのある色の屋根と、白色の端正なドイツ下見板張りの外壁が特徴的。

大正3年竣工し、今年で112年の歴史をほこる旧東伏見宮葉山別邸。設計は葉山御用邸増改築などを手がけた宮内省内の技師、木子幸三郎。

葉山町に現存する唯一の皇族の別荘とあって、風格のある外観に、広い応接間や相模湾を望む回廊など、随所に威厳と優雅な雰囲気がただよう。

当時は8500坪の敷地を誇り、洋館と和館があり、洋館の前には車寄せのほか池や松並木が続いていたそう。いまでも、その気品に満ちた姿は変わらない。

2階の廊下にある鉄製の螺旋階段は高さ15mの塔屋に上がるためのもの。

2階には大きく4部屋があり、2室は和室の和洋折衷。寝室のベッドは新設され、シャワー室や空調などはリノベーションしているので、歴史を感じる空間で快適に過ごすことができる。

天蓋付きのベッドがクラシカルな印象の主寝室。ベッドは新設されたが、ほかの調度品は当時のまま。

食事は出張シェフを呼んだり、ケータリングを頼んだりすることもできるが、まわりには葉山のおいしいお店もたくさんあるので外食を楽しむ人も多いそう。

大きな窓のある回廊に設けられたテーブルで午後のティータイムや、夜は葉山の夜景を見ながらお酒を嗜むなど、贅沢で忘れられないひとときが待っている。

旧東伏見宮葉山別邸(きゅうひがしふしみのみやはやまべってい)
神奈川県三浦郡葉山町堀内1968
料)平日¥44,000~(2名利用)
※幼稚園が併設されているため許可なく立ち入りや見学は不可。必ず予約を。
※利用に関しては「La Casa Blanca Hayama会員」への登録(代表者1名)が必要。
https://bettei-hayama.com/
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昔ながらの日本の四季が味わえる。
#03. 平野邸Hayama

長い時を受け継いできた木のぬくもりを感じる居間。

大きな庭とその庭に面して広がる縁側が主役。長くゆったりとした縁側に腰掛けて庭を眺める。室内にいても庭とゆるやかにつながり、葉山の風や光を楽しめる。それが、平野邸Hayamaの魅力だ。

木造の平屋建てで、昭和11年に材木商が自邸として建てた家だからこそ、随所に上質で珍しい木材が贅沢に使われている。柱や床の間など、一本一本異なる木目や色合いが楽しめ、いまどきの住宅では味わえない、長い時を受け継いできた木の深い表情やぬくもりを感じることができる。

冬でも陽の光が入り、暖かかく過ごせる縁側。

珍しいのは「MEET LOCAL」というコンセプトを掲げているところ。日中は葉山の地元の方がマルシェやヨガなどを行い、地域の交流拠点となっている。夕方からは宿泊施設に変化するのだ。

宿泊のチェックインの16時からスペース貸し終了の18時までの2時間ほどは、両者が重なることもあり、運営スタッフがつなぎ役となり、ローカルと宿泊の方が自然と交流する姿も見られるとか。葉山の日常に少しおじゃまする感覚で、好評だそう。

映画やドラマに出てきそうな可愛らしい土間キッチン。

小さいお子さんがいるご家族などに特に人気で、仲良しの2、3家族で一緒に利用するというパターンも。「昔ながらの夏休みっぽい感じ!」「自分が小さい頃のおばあちゃんの家に来たみたい」という声が多く上がり、若い人達までもが「なんだか懐かしい!」と口にするという。

伝統的な瓦屋根の日本家屋。2023年11月に国の有形文化財に登録された。

最近の家にはあまり見られない、日本の伝統的な建築様式や装飾が取り入れられているのも魅力。天井と鴨居の間に設けられた「欄間(らんま)」もその中のひとつ。木材をくり抜いてつくられる立体的な絵柄は部屋によって異なるデザインで、差し込む光と影に美しい表情を与えてくれる。

季節の手仕事などにも自然と触れることができ、庭でとれた柿が縁側に吊るされているなど、風情のある景色も楽しめる。複数の家族や仲間同士で泊まって、どこか懐かしい日本の夏休みを過ごしてみたくなる。

平野邸Hayama(ひらのてい はやま)
神奈川県三浦郡葉山町堀内1833
12:00〜18:00レンタルスペース、16:00〜翌11:00一棟貸し宿泊施設
料)一律平日¥45,000、土日祝¥65,000~(10名まで/GWや夏期など時期によって価格が異なる)
https://hiranoteihayama.com/
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エディター兼ライター。鎌倉在住、3児の母。大学卒業後、出版社に入社。女性ファッション誌の編集に携わる。現在はフリーランスとして活動中。