葉山の暮らし その4 さよなら葉山・大片付けの巻

Lifestyle
誰かが家にやって来ると、片付けもそこそこに、すぐ海に出て、お茶を沸かしたくなっちゃう・・・浜辺って曇っていても楽しい。

静かな夕暮れ、銀色に輝く冬の海・・・北欧の白夜のようです。「今日は富士山が見えないね~」と友。しばらくすると、赤い空にふわっと浮かび上がってきた。

そして、花火まで!今日もついてる。


片付けをしていると、逗子の友、元女優のMちゃんが、陣中見舞に。庭での簡単なランチは、サザエの壺焼き南仏風、地元の大根としらすのサラダ、ガーリックトーストとかぼちゃと栗のポタージュ・・・また、なごむ。

最後まで片付けを支援してくれた古い友・・・心から感謝。


しばらく前から始めた、ウォーキングと称して、毎朝海岸を歩いています。
ある日は、子宝に恵まれるという「子産石」(こうみいし)まで。

ふと向かいを見ると、「子産石地蔵」という看板が。気になって坂を登ってみると、小さなお堂が2つあり、微笑んでいるようなお地蔵さんを見たとたんに、どっと涙が溢れる。後で、友にそう話すと、「きっと何かがやってくるのねえ!」と、うれしい予感。

気が付くと、山の頂上へ。

こんなささやかな畑を見ても、涙が出てくる・・・いつか、海を望むこんな丘に小さな野菜畑を持つのが、私の夢。帰りに近くの熊野神社のお社を訪ねると、祀られていたのは、お伊勢様と同じ、天照大御神でした。

そこを下りると、長者が崎。嵐の後の海には、サーファーがちらほら。


またある日も片付けをしていると、友達が差し入れ付きで、遠方から訪ねて来てくれた。

早速、いただきま~す。きゅうりの梅和え。桜えびとごぼうのチジミは、ごぼうの歯ごたえが頼もしく、えび香ばしい。庭のみかんを搾ったポン酢とラー油で頂く。やっぱり、人が心で作ってくれるものって、何でもおいしいなあ・・・。


またまた東京から、友達が泊りがけで応援に来てくれた・・・この日の賄いごはんは、青菜めしにしらすのっけ・・・刻んだ大根の葉としょうがをオリーブオイルで炒めて酒かみりんを振りかけて、鍋肌に醤油をひとたらし、炊き立てごはんに混ぜて、上にごまとしらすを。余ったら、おにぎりもいい。くりかぼちゃのポタージュ、豆乳ベースに酒と白みそを少々。

赤・白だいこんとわかめ、ゆずのサラダ・・・みんなで食べるとおいしい。

食後は、友が庭にあった大きな木の根っこを掘り返してくれて、現状復帰・・・頼もしいなあ。なんだか、犬って、居るだけでなごむ・・・。

原宿から、はるばる来てくれたクロちゃん。うちにも居た居た! 散々、この家で留守番をしてくれたこの子ともお別れ・・・

よく見ると、怒ってるみたい・・・ブスなだけかしら。

帰途につく友達の後ろ姿を見送りながら、心の中で手を合わせる。随分前に、”デレクの庭”(デレク・ジャーマン)と称して、塀沿いの石ころだらけの場所に植えてくれた水仙が並んでる。友達って本当に有難い、宝物。右はこの家で、一番好きだった庭。

縁側のなごみルームと台所。

あれも・・・これも・・・長年慈しんだもの、ガラクタも売り払い・・・

ここにも、さようなら。

いつも心新たな気持ちにさせてくれた早朝の富士さん、たくさんの思い出が胸に詰まって、また涙。

パリに移り住むと同時に借りた家のあっという間の7年。
一生の中のほんのひと時、こんな処に住めて、本当に幸せだったなあ・・・お世話になった人達、友達にも感謝。そして、私の気晴らし人生は続く・・・

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l’écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/series/harada-sachiyo/-4.html