フィガロジャポンで毎年恒例のパリ特集を担当すること10数年、グルメページを担当する中で近年一番気になっているのが、MoSuke(モスケ)などを率いるモリー・サッコシェフの店。パリを訪れることがあっても、日程が合わずに何度も涙をのんできました。
それがなんと、 彼が来日するという情報が舞い込んできたではありませんか! 舞台はマンダリン オリエンタル 東京。2月末の3日間限定でしたが、いまこそチャンスと日本橋へ向かいました。
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この夜体験したのは、計10品に小菓子が付いた「シェフズメニュー」(¥39,600)。一品目を待つ間、乾杯でいただいたのがヴーヴ・クリコのプレステージキュヴェ「ラ・グランダム 2018」。サッコシェフとも繋がりの深いシャンパーニュです。
最初に提供されたのは「キャビアと出汁 コウイカ ウニ キャビア 仔牛のジュ」。イカ×ウニを食べると、反射的に鮨を食べているような感覚に。けれどそこはやっぱりフレンチ。仔牛のジュを使ったソースが合わさることで、深味が増します。
3品目のホタテ貝の料理は、たっぷりの焦がしバターでフレンチフレーバーを感じさせながら、加えられた酒粕がどこかほっとさせてくれる味。続く燻製牡蠣の前菜は、小さなパンケーキのような生地に沖縄県産バナナと昆布のフレーバーが加わり、なんともエキゾティック。
さすがサッコシェフ、日本食材の使い方が興味深い! もともと漫画好きだったり、自身の店名MoSukeは、モリーの「Mo」&織田信長に仕えた黒人の侍・弥助から「Suke」をとっていたりするなど、日本好きならではのアプローチ。
続くタコのグリルもスパイスの使い方が絶妙! 甘辛な"焼肉風"の味付けに、添えられたオリジナルかんずりがマッチ。もうひと口、もうひと口、と後を引きます。
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魚料理、ブイヤベースをツイストした「ぺぺスープ オクラ ニンニクのコンフィ」などが供され、いよいよメインへ。
この日、最も感激したのが和牛のひと皿。聞き慣れない"マフェ"というのは、マリなど西アフリカの家庭で定番の煮込み料理のこと。両親がマリ出身ということで、自身のルーツでもある西アフリカの料理や調理法をフレンチに落とし込むのがシェフの真骨頂。ピーナッツバターを使ったコクのあるソースに、サッコシェフはタマリンドソースも添えてアレンジ。タマリンドの酸味が味蕾を刺激し、和牛の脂とも相性抜群。アフリカ料理はまだまだ経験不足で未知ですが、このじわじわくるコクや旨味は日本人の口にも合いそう!と新発見。
西アフリカからフランス、そしてアジアと旅する気分で楽しんだサッコシェフのコースを彩るのは、素晴らしいアルコールペアリング。シャンパーニュ地方から始まり、ロワールやブルゴーニュ、ボルドーといったフランスの銘醸地を中心に、時には富山のセイズ ファームのアルバリーニョや、なんと静岡の銘酒、磯自慢が登場することも。
特別なペアリングコースを手がけたのは野坂昭彦ディレクターオブワインが率いるマンダリン オリエンタル 東京の「ソムリエチーム」。ポメリー・ソムリエコンクール2023で優勝した山本麻衣花ソムリエールなど、最強のメンバーが集結しているのです。フィガロワインクラブ部長(愛称)としては、「やっぱりワインは楽しい!」と再認識することに。ただ"飲む"だけでなく、プロによる魅力的な紹介、美しいサーヴで食事の時間がより楽しく、記憶に刻まれます。
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コース終了後、ついに憧れのモリー・サッコシェフとご対面! 身長2メートルと知ってはいましたが、本当に大きい!そしてとってもフレンドリーで笑顔が素敵。来日経験はこれまでにあったけれど、日本で料理をしたのは初めてだったとか。今回は3日間のみのエクスクルーシブな会でしたが、日本ラバーのサッコシェフ、きっとまた来てくれるはず。日本滞在を経て、ますますパワーアップすること間違いなしです。

小中学校を北京で過ごしたアジア系帰国子女。幼少期から年に4〜5回海外旅行を繰り返す生粋の旅好き。大学時代に時間が有り余り、自転車で東北や四国&中国地方を周遊。ダイビングサークル出身で離島フリーク。ワインエキスパートを取得後、フィガロワインクラブの部長(愛称)に就任。



